ロシアは領土獲得欲が大きいなんていわれますが、シベリアの大部分は人跡未踏の大地であり、貪欲に手に入れたというよりどこの国の領土でもなかったし誰も手を出さなかったからロシア領になったようなものです。
ソ連時代はナントカスタンの国々もソ連領でしたが、今は大部分が独立して別の国になっています。国境を接していたりするので政治や紛争に関わることもありますが、それはどこの国でもあることです。
「使える領土」で考えたら、中国と大差はない感じですね。ただすごい寒い国で黒海はトルコによって閉じられているので「いつでも外国に自由に出られる港が欲しい」というのはあると思います。
またなぜかヨーロッパ人は「陸軍大国ロシアが攻めてくる」という恐怖心が強いのですが、歴史上ロシアがポーランドより西に攻めてきたことはほとんどありません。
それに比べるとドイツやフランス(ナポレオン)のほうがロシアに攻めていますから、侵略してるのはどっちやねんという話です。
ロシア人にとってはウクライナは「ロシアの一部みたいなもん」です。なにせあのゼレンスキー大統領は元々ウクライナ語が母国語ではない人です。彼の母国語はロシア語。なにせウクライナ東部の出身ですから。大統領選挙に立候補するにあたってウクライナ語をかなり勉強したそうです。だいたい我々にはロシア語とウクライナ語の聞き分けはできませんからね。同じキリル文字ですし。
ただロシアにとってはウクライナが「ロシアの敵対国の勢力圏」になるのは絶対に受け入れられないんですよ。日本人で例えると静岡県が中国領になっちゃう感覚。新幹線に乗るたびに中国から税金をとられたらたまったもんじゃないですよね。それに静岡県に中国軍が常駐してたら、いつ東京に攻めて来られるか不安です。いくら箱根の山があっても。
そこの琴線に触れちゃったんです、ゼレンスキー大統領は。そこが政治の素人のゼレンスキー大統領は読み間違えちゃったんですね。また侵攻直前のゼレンスキー政権の支持率もどこかの増税メガネさんなみに低かったのです。なので人気復活の逆転劇として「ウクライナのNATO入り」を目指しちゃったのです。
一方のプーチン大統領の読み違えは「全面侵攻をすればゼレンスキーは恐れをなしてさっさとスイスあたりに亡命する」と思っていたところですね。ウクライナ軍の士官も、侵攻当初はゼレンスキー大統領に国外に逃げるようにアドバイスしたそうです。NHKのインタビューに答えていました。
それでウクライナを甘く見て、雑な攻めをして一敗地に塗れる結果になってしまいました。これが東部州への一部の侵攻だったら成功した可能性は高かったでしょうね。
さて一方のイスラエルですが、ユダヤ(イスラエル)人にいわせれば、ここはユダヤ人に対して神様が与えられた土地です。旧約聖書にそう書かれています。
ややこしいのは、そのイスラエルと敵対しているパレスチナ人が信仰しているイスラム教も旧約聖書を経典としている点です。だからパレスチナ人的に「約束の地って、それはお前の神様が勝手にいったことで、俺達の神様はそういってない」とはならないのです。お互いに神様と呼んでる人は同じ人ですから。ユダヤ教のヤハウェもイスラム教のアッラーも、同じお方なのです。
それで第一次中東戦争から、イスラエルはちょっとずつ領土を増やしてきたんですね。都合4度あった中東戦争になんだかんだでイスラエルは勝利して今の領土を獲得しています。
そして今回のハマスの攻勢に対して、イスラエルは完全に油断していました。というのもハマスが実効支配しているガザ地区を除けばパレスチナで大きな衝突は起こっておらず、かつてはイスラエルと激しく敵対し戦争をしたり反イスラエルテロ組織を応援していた中東諸国がイスラエルと平和的な関係を築きつつあったからです。
一方のハマスからすると、このまま自分たちの味方だと思っていた中東諸国がイスラエルと融和してしまうとハマスは後ろ盾を失って孤立してしまい、滅亡してしまうという危機感があったのです。
そんな中でウクライナ戦争が起きて世界の関心がウクライナに集中したのは、ハマスにとってピンチでもありチャンスでもありました。
自分たちの存在に世界が無関心になりつつあるのはピンチでしたし、イスラエルの後ろ盾であるアメリカや欧米諸国がウクライナ支援で手一杯になっていてイスラエルを支援する余裕がないことはチャンスでもありました。
実際、アメリカはイスラエルに対して地上侵攻作戦を行うことを当面止めるように説得しています。現状でもウクライナに対して武器支援を行うことでかなりの出費が強いられている(ウクライナは供与された武器代金を支払うお金はどこにもありません。つまりゼレちゃんは「世界の皆さん、タダで武器と弾薬をくれ」といって回ってるのです)のに、それに加えて死ぬほどお金がかかる空母をイスラエル沖に派遣するとなるとどえらい出費になります。アメリカ軍空母ってやつは、そこに浮かんでるだけで年間何億円もしますからね。警戒するために毎日戦闘機を飛ばしてたら、その燃料代だけで毎日何百万円から何千万円の出費です。そして空母が攻撃されないために、護衛の軍艦や原子力潜水艦が何隻も必要です。
バイデン大統領は「カネがかかりすぎてしょうがない」という理由でアフガニスタンから撤退したのに、ウクライナとイスラエルでアフガニスタンよりずっとカネがかかる事態に直面しているので、大変に頭が痛いところですね。今両手が塞がってるような状況ですから、これで中国が南シナ海とかで強気に出てきたら・・・って状況です。
ガザ地区が完全に殲滅されれば、イスラエルにとっては国防の脅威は大きく減ることにはなりますね。だからイスラエルはガザ地区に対する攻撃を容赦しないのだと思います。イスラエル政府の本当の本音は、ガザ地区のパレスチナ人が根絶やしになればイスラエルへの脅威にはならなくなるということだと思います。ただそれは、かつてナチスドイツがユダヤ人に対して行ったことなんじゃないかと思いますけれどもね。
お礼