GE (Graphic Equalizer) は下図のように隣り合う Control 周波数と重なり合うように制御されていますので、並んでいる Slider の形と同じように周波数特性 Curve が出来上がるわけではない事に留意する必要があります。
例えば 1 Octave Step 20Hz~20kHz 10 素子の GE で 40Hz を 6dB Boost すると、半 Octave 上の 57Hz 付近も 3dB ほど Boost されています。
ここで 80Hz を 6dB Boost すると半 Octave 下の 57Hz 付近も更に 3dB ほど Boost されますので、結果として 40Hz から 80Hz まで全ての領域が 6dB Boost される事になります。……PC (Personal Computer) Software の GE でもない限りはそこまで正確ではないのですが、Hardware GE でも概ねこのような感じになってしまいます。
そのため「40Hz 付近の重低音がズシンと腹に響くようにしたいものの、Boost するとボンボンと低域が柔らかくなってしまう 60~100Hz までは Boost させたくない」 という場合は Boost している 40Hz の隣にある 80Hz の Slider を心持ち下げてやる必要があります。
左から右までの各 Slider を波のような Curve を描くようにすれば周波数特性も波のような Curve を描くかと言えばそうではないのです(^^;)。
Slider 全体の形が実際の周波数特性の形に近くなるのは直線的に上昇または下降させた時で、中域部分を中心に低音域から高音域に向かって直線的に少しずつ上げるような形にすればメリハリとか Contrast を強くする事ができ、逆に少しずつ下げるようにすると角が取れた柔らかい感じにする事ができるのですが、直線部分の傾きは 1dB/oct 以下の僅かな傾きにしないとパキパキの硬い音色になったりフニャフニャの眠たげな音色になったりしますので、あまり傾きを付け過ぎないように気を付けてください。……この「直線的な調整」は Enhancer と呼ばれる Effector の原理とは異なるものの、それに近い音色にする事ができるので知っておいて損は無いと思いますよ(^_^)/。
80~160Hz 以下と 4k~8kHz 以上は音色感が判る領域ではなく、重低音域 (或いは極低音域) 域及び超高域 (或いは極超高域) の Energy 感の調整に用いるもので、この領域は最初に紹介したように隣り合う Slider 域まで Energy 感が被ってくる事に留意しながら調整してください。
所謂ドンシャリと呼ばれる音色感はこの重低音域と超高域を Boost 気味にした音なのですが、重低音域や超高音域まで被る Boost を押さえて極低音域と極超高音域のみの Boost に調整したものはボンついたりシャリシャリすることがなく、広帯域に感じさせることができる手法とも言えます。
GE の使い方は先ず特定の周波数帯域に集中する Flattering Echo 等の反射音との合成音量を減じて聴収位置での聴感周波数特性を Flat にする事でして、この使い方に於いては「基本は『引く』事」と言えるのですが、聴感上の周波数特性を Flat にしたら、次は好みの音色感の調整する事となり、この段階では「足す」も「引く」も使います。
但し、何処かの Slider を「基準点」としてその左右の Slider を動かす事になりますので「基準点」となる Slider だけは ±0 の位置に固定されます……基準点を 1kHz にするか 400Hz にするかといった決まりはありませんので、基準点の位置決めは人によって、或いは曲によって異なります。(私は 400Hz~1.4kHz ぐらいに±0dB の Point がくるようにしていますが、曲によってこの範囲の間で微妙に異なっています(^^;))
PC Software ですと最初の「聴感上の Flat 特性」にする段階はどの曲でも自分の耳の特性を補正する Curve で決まっていますので Memory から一発で呼び出して補正後の Data を書き出しておき、それを再度読み込んで、次の段階である「聴きたい音色感に調整する」時には GE Slider を全て Flat な状態から始められるので楽ですね。
Digital 保存された聴感補正 Data は殆ど劣化していませんので次の「音色調整」に演算を重ねても全く問題ありません。
PC Software ですと更に Compressor/Expander、Enhancer、Phase Shifter を含む多彩な Echo Control、Distortion 等と言った Effect も Noise 上昇等の問題を起こさずに行えるので便利ですね(^_^)/。
Hardware 式 GE ですと部屋の音響特性補正だけで既に Slider が上下に動かされていますので、そこから次の段階である「好みの音色間に調整する」のは大変です(^^;)。
素敵な Audio Life を(^_^)/
お礼
詳しいご回答ありがとうございました
補足
PCオーディオの再生ソフトのグライコの場合は、隣り合った素子の中間の周波数は倍になるのでしょうか