語源は1970年代、男性同性愛者向けの雑誌『薔薇族』編集長の伊藤文學が、男性同性愛者を指す薔薇族の対義語として、百合族という言葉を提唱したことによると言われている。同誌には女性読者の投稿コーナー「百合族の部屋」が設けられた。また、従来日本においては「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と、美しい女性を百合に例えることがしばしばあったが、男性同性愛者が真っ赤な薔薇に例えられていることから、伊藤はそれとの対比で女性的なイメージの強い白百合を当てたという説もある。
また、1864年に出版された『胡麻と百合』(ジョン・ラスキン著)の中で、男性同性愛を「胡麻」、女性同性愛を「百合」に象徴させたのが初出とも言われる。
当初は、女性同性愛を意味する隠語であったが、1983年にレズ(レズビアン)作品である日活ロマンポルノ映画『セーラー服 百合族』(現在は『制服 百合族』に改題)が人気を得たことにより、百合は隠語ではなく、女性同性愛を意味する言葉になったという。ただし、現在の意味で普及したのは2000年代前半以降のことである。『マリア様がみてる』ブーム、百合ブーム[注 3]があり百合という言葉が使われるようになった。性的指向を率直に表す「レズ」という言葉に比べ、「百合」は軽めの女性同性愛を意味する言葉として定着していった。しかし時には、官能的な女性同性愛のことも百合と称される場合がある。