問題はNHK総合の日曜夕方6時5分から放送される「これでわかった!世界の今」の中で、出てきたアニメ。この番組は、NHKが世界各国に送っている特派員からの報告を元に、世界で起こっている出来事を、とてもわかりやすく解説する番組で、問題になったアニメもアメリカの大規模な抗議活動の背景を、説明した物。格差が背景にあると言うことと、新型コロナウィルスでもっとも被害を受けたのが黒人層で、その怒りが爆発した様に表しています。
この時の放送見ていたのですが、正直またNHKは問題を勝手に解釈して単純化していると思ったものの、このアニメだけの問題じゃ無いので、「またか」くらいにしか思いませんでした。ただ言われてみると、アメリカの複雑で大きな問題を、子供にもわかりやすい形で不正確に広めていることに怒りを覚える人も多かったのでしょう。
それまでにもNHKは、報道番組で、問題の背景にコロナの影響があると解説したり、抗議活動で参加者が膝立ちする行為を、白人警官が黒人容疑者を死にいたらしめた時の行為を表しているとか、ピント外れの報道をしていて、私自身もクレームの投書しようと思ったくらいです。問題の根元は、黒人の貧困でもコロナの被害でも無く、警官による黒人への暴力です。それが日常的になっていて多くの黒人が普通に暮らしているだけで警官に犯罪者の様に扱われ、抵抗すれば殺されると言う恐怖感を持って生活していると言う事実と、過去にも警官による黒人の不当な殺害が発生し、そのたびに大きな抗議運動が起こっているにも関わらず、時間がたてば忘れ去られいっこうに改善されない怒りと悲しみです。膝たてのパフォーマンスは、2016年に一人の黒人のNFLプレーヤーが、黒人への差別、暴力に抗議して始めた国歌斉唱時の抗議のパフォーマンスで、その後NFLプレーヤー全体に拡がったのですが、結局NFLに禁止され、最初に始めたプレーヤーはその後干されてしまったと言う出来事から来ている物です。抗議デモが掲げる"Black Lives Matter"(黒人の命は重要だ)も、数年前にやはり警官による黒人殺害が起きた時に全米で大きなデモが起こったのですが、その時に使われたスローガン。今回新たに使われている、"No Justice, No Peace" (正義なくして平和無し)は、直接的には警官による暴力、不当な扱いに対する抗議。過去から一貫して警官による黒人への暴力が問題視され抗議の対象になっています。
アメリカの白人の多くも、黒人差別に対する同情と怒りを共有しているのですが、どこかに他人事の意識もあると言う批判もあり、今回は多くの白人や他の人種、特に若い人たちが他人事にしたく無いとデモに参加しています。
アメリカの格差の問題は大きいし、コロナの影響が低所得層で大きくその被害を被っているのは黒人に多いのは事実ですが、だからと言ってそれが抗議デモの拡大の背景だと言うのは明らかに間違った解釈。NHKも謝罪するのであれば、アニメの内容が不適切だからお詫びするだけじゃなく、正しい報道内容を報道して誤認識を修正した上で謝罪しないと、視聴者に真実が伝わらないまま終わってしまいます。
お礼
ありがとうございました。 悪意があるかどうかは分かりませんでしたが、 分かりやすくするために事実も人物も 極端化していますね。