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イギリスのEU離脱について
イギリスのEU離脱について議会が解散して政治的に混乱している様ですが、何故そんなにもめているのでしょうか?
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発端はアイルランドとイギリス領の北アイルランドの国境問題。EUでは加盟国間での人、物の移動の自由を保証していて、域内であれば関税なしで物やサービスを他国で自由に展開でき、また労働者や住民は自由に他国に移り働いたり、生活したりする事ができます。 一方、アイルランドとイギリスは歴史的に長い紛争・対立があり、特に1970年代には激しい北アイルランド独立紛争がありました。この血塗られた紛争を解決するために、アイルランドとイギリスはアイルランドと北アイルランドの国境の人と物の移動の自由で合意して平和的に解決を行いました。この時点では、人、物の移動の自由と言ってもアイルランドとイギリスの間の話だけで、他のEU域内から人、物が流れ込む心配はありませんでした。 ところが、今はアイルランドがEUに残りますから、アイルランドとの合意を残したままだと、せっかくEUを離脱しても、アイルランド国境を通って人と物がイギリスに流れ込むことになり、Brexitがなし崩しになります。かと言って、長年の血みどろの争いの結果のアイルランドとの平和条約を破棄もできず、良い解決策がないままこの問題を先送りにしてBrexitしようと言う事で当時のメイ首相がEUと合意したのが1年ほど前。この先送り条件がいわゆるバックストップ条項で、離脱後ある期間内にアイルランド国境問題を解決できなければ、イギリスはEUの関税同盟にそのまま残ると言う期限付きの物です。EUを離脱して、関税同盟に残ると言うのがどう言う事かと言うと、イギリスはEU議会に議員を送らないにも関わらず、EUが他国(アメリカ、日本、中国など)と締結した貿易協定に従い、またEUの域内とは関税なしの貿易を行うと言うこと。イギリスの都合や意思と無関係に他国の商品を無関税、低関税、同一条件で受け入れなければなりません。悪い言い方をすれば、貿易的にはEUの属国になるようなもんなので受け入れがたいかもしれませんが、ノルウェーなどはEUに加盟せず関税同盟に入っていて、面倒な交渉をEUがやっといてくれてイギリスはタダ乗りできると思えば必ずしも悪くないと思うのですが、イギリス国民や議会には受け入れがたかった。メイ氏が辞任した後、ボリス・ジョンソンが首相になったのですが、その時点では合意なき離脱も辞さない構えでした。ただ、合意なき離脱はそれまでEUとの間で合意してきた様々な決め事を全部チャラにしての独立なので、輸出入やEU圏内に住むイギリス人やイギリス内に住むEUの市民の権利保護など何もない状態での離脱。その上、北アイルランドの問題を解決しないので、イギリスにとっても EUにとっても最悪のシナリオで実行されるといきなり経済や生活に不安、混乱、打撃を与えます。何が何でも離脱に突っ走るジョンソン首相に国民や議会からの批判が集まり、結果ジョンソンも合意なき離脱以外の案でEUと交渉せざるを得なくなり、新しい案でEUと合意、離脱期限の再再々延長を決めました。ところがその新しい離脱案は、アイルランドと北アイルランド間の特定品目の自由な流通を認めた上で、アイルランド島とイギリスの主要な領土であるブリテン島の間で輸出入管理をすると言う物で、メイ前首相の時には悪い案として葬り去ったものに近い。でも時間的な制約もあり、イギリス議会では方向性としては合意されています。ただ、10月末の前の離脱期限ギリギリで出てきた案で、十分議論、精査が必要と言う事で議会での承認に至っていません。 もしこのまま、ジョンソン首相の離脱案の審議を続けると、これまでと同じように野党や与党・保守党無いので反対勢力によって、永遠に離脱案の承認が得られないのではないかと言う事で、ジョンソン首相は議会の解散・総選挙を提案し、反ジョンソンの勢力も、それだったら国民の民意で勝負しようと言う事で12月12日の総選挙が決まりました。 これからどうなるかですが、ジョンソン首相の思惑通り、今の離脱案に賛成する候補者が多数派になればジョンソン案に多少の修正を加えて離脱。 もし、多数派になれなかった場合、まだ混迷が続きます。ただ、野党第1党の労働党や党内で離脱派、残留派が割れていて、今の主張は離脱案を議会で決めた上での国民投票。一方、元々離脱に反対のスコットランドの主要政党SNPは、スコットランドのイギリスからの独立を再び主張しています。与党・保守党が世論調査の上では有利とされていますが、どう転んでも混乱が治るとは思えない状況です。 今にして思えば混乱の元は、どう言う結果になるか良く検討、議論もしないまま、まさかBrexitが勝つとは思わないまま国民投票をしてしまった事でしょう。Brexitと言っても、人の移動の自由、移民問題だけが問題なのか、輸出入も問題なのか、結果どう言うメリットとデメリットがあるのかを全く想像が付いていなかったと言う事で、今の状況がわかっていたらBrexit派が国民投票で勝つことはなかったと思います。ただ、もうここまで議論に費やした長い時間と経済的な犠牲も払ってきているし、EUからも完全に呆れられている中で、後戻りできないと思う人も多く、国民の世論調査の上では離脱派、残留派はいまだにほぼ半分で拮抗しています。
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- NOMED
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イギリスには、ごくごく簡単に表現すると、日本のような憲法が存在しません いわゆる不文憲法ですが、憲法典が一般の法律改正と同じ作業で変更できる国です(軟性憲法) 日本や他の国場合は、まず憲法があって、その規範に伴って司法も刑法も民法も存在し、その元で、議会制民主主義体制・象徴天皇制・議院内閣制によって、政治が行われています しかしイギリスは、軟性憲法の元、議会主権の原則を規範としていますら、世相や世論などの時事に大きく左右される中で、政治が行われています もともと今回のEU離脱は、いろいろな理由があった中で、イスラム国(ISIL)などの紛争による難民問題(難民流入による失業率など)が発端のひとつなっていましたが、現在の世相ではその問題も下火になり、政治の道具のような面が強くなっています つまり、もともとの問題が軟化している中で、日本のような憲法規範がありませんから、投票により大きく政治が変わる下地(メリットも多い)が裏目にでた状態であると言えます
お礼
ありがとうございます。
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