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浸炭焼入と高周波焼戻についての疑問
- 浸炭焼入と高周波焼戻について、具体的な情報が見つからず困っています。
- 焼入れの際に生じるマルテンサイトの範囲が浸炭焼入では高周波焼入より深そうなので、その組織を焼戻でどこまで戻せるか疑問です。
- 浸炭焼入後の高周波焼戻の用途や成立について詳しい方からの助言をお待ちしています。
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>焼入れの際に生じるマルテンサイトの範囲が浸炭焼入では高周波焼入より深そう 逆になります。 浸炭の深さは参考?の図4でも2.5mmまで。表面からCを拡散させるので濃度に傾斜があり深さが制限される。これは浸炭方法によらない。 一方、高周波は焼入可能なC量を持つ材料に、加熱/冷却の深さをどうするかの問題。 関連質問『No.40326 金属表面硬化処理について』拙回答(3)の資料では材料により4~8mm。 >「用途として浸炭焼入後の高周波焼戻は成立するのかどうか」 参考? (2)低温焼戻し 保持時間は1時間が原則です。 低温焼戻しによって硬くてもろい焼入マルテンサイトが粘い焼戻マルテンサイトに変化します。 また、焼入れによるストレスが除去でき、経年変化の防止、研磨割れの防止、耐摩耗性の向上 などに役立ちます。 短時間では無理と読める。 しかし、参考?の本では [3-3 焼戻しと残留応力] 焼戻しの保持時間に関しては標準的な推奨は見られない。高周波焼入れは表面的な数?の 深さであるから、その範囲が焼戻しできれば充分という理論もある。 この点に関しては内部で試験することが必要である。。。短時間焼戻しは技術的に高度な技量 を必要とする 焼戻しは焼入、焼鈍しより温度が低く、内部変化が緩やかなのと、ギアは焼入れの残留応力はプラス評価なので、どうなるか慎重に評価すべきと考えます。 >設備のイニシャル、ランニング等のメリットの話 大物なら設備スペース、電気代にメリットがあっても、浸炭焼入のバッチ炉(トンネル炉)と高周波を並べるのはバランスつきにくいし、小物ならほぼメリットないと思います。 >通常の浸炭焼入ではワーク全体の加熱になるため焼入した際に炭素量の多少はありますが、 >マルテンサイトの生成が深くまで起こっていれば、生じたものはすべて焼き戻してやらないといけないものなんでしょうか 炭素量が決定します。内部は焼入性の悪い材料のまま。それに内部は冷却が及びにくい。 なのでマルテンサイトへの変態がおきたとしても僅かで、硬さがあまり増えないから、それへの焼戻しを考慮する必要はないです。 >焼戻について細かく何がベストかを書いた資料 即適用できるようなものは期待薄でしょうね。例えば自動車ギアとかで同じ括りの文献があったとしても使用応力をどう考えるかまでの開示は有り得ないから、硬さ、残留応力、耐久性までテストしなければ使えない。大物で重要箇所に使うとしたら尚更。 回答(2)への疑問。 >貴社使用材料は、SCM440か、S45C程度の浸炭用グレード材でしょうか 他質問サイトの答では<SCM440に浸炭焼入れ自体がナンセンス>。 浸炭部分を超えて中まで焼入され、有害な硬さになるから目的を逸してしまう。 >長時間1回行うことよりも、短時間で2~3回繰返し行う方が効果的です この引用サイトは高温焼戻しについて、二次硬化で更に硬くするSKH、SKDと、硬さを下げて靱性を求める低合金鋼とを一緒に論じており、後者で2~3回繰返し行うことはない。 >低温焼戻しぜい性(300~400℃)となる場合がある その温度を避けるのは妥当。しかし靱性の低下を受容するならやってもよい。 高温焼戻し(ギアではやらないハズだが)では急冷して通過を早める。 私がこのサイトの低温焼戻しを引用したのは、時間は既述のとおり疑問を呈するが、それ以下の 低温焼戻しによって、硬くてもろい焼入マルテンサイトが、粘い焼戻マルテンサイトに変化 します。 また、焼入れによるストレスが除去でき、経年変化の防止、研磨割れの防止、耐摩耗性の 向上などに役立ちます が妥当で、時間縮めるにはこれら検討を怠るべきではないとの主旨です。
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貴殿の上司に以下の内容を確認し、調査内容を絞り込んで確認してみてください。 > 「焼入れの際に生じるマルテンサイトの範囲が浸炭焼入では高周波焼入より深そうなので、 > その組織を焼戻でどこまで戻せるか?」 少し意味が解りませんし、貴殿の上司からの調査内容とも異なると考えます。 浸炭焼き入れは、浸炭深さを指定します。 浸炭深さは、簡単に深くできるものではないし、SCM415のシャフトでは0.8m~1.0程度が 一般的です。 貴社での歯車の浸炭深さは、何mm程度でしょうか? また、高周波焼き入れも高周波で高温になる(焼き入れされる)厚みが略決まっています。 貴殿の調査部品が歯車なので、歯部の焼き戻しであれば焼き入れ同様に専用の高周波冶具で 焼き戻しするので、焼き戻しの厚み(焼き戻し温度に達する厚み)もある程度コントロール できると考えられます。 浸炭深さよりは、高周波焼き戻し温度に達する厚みの方が厚くコントロールできると思うので、 貴社の歯車での浸炭深さ仕様と、貴社での高周波焼き戻し温度に達する厚みを情報収集して、 合致できるかを先ず確認ください。 一般的には、焼き入れ温度で焼き入れを行なった後に、速やかに焼き戻し温度で焼き戻し することは、手段が異なっても問題は無い筈です。 SCM415のシャフトでは0.8m~1.0程度が一般的です。 貴社での歯車の浸炭深さは、何mm程度でしょうか? ↓[訂正] SCM415のシャフトでは0.8mm~1.0mm程度が一般的です。 貴社での歯車の浸炭深さは、何mm程度でしょうか? にて、 貴殿の回答が、1mm前後という訳ですね。 貴社使用材料は、SCM440か、S45C程度の浸炭用グレード材でしょうか。 後は、浸炭しない表面部分の焼き入れに対する、内部応力除去が問題になります。 材料によっては、無視できるので、当該材料の焼き入れ資料を確認ください。 http://mori.nc-net.or.jp/EokpControl?&tid=274739&event=QE0004 の回答(5)が小生の回答で、そのURL“ 焼戻しについて の 特に(3)高温焼戻し 欄 ” に、 焼戻しは原則として、焼入れ直後に行います。焼入れ後長時間放置しておくと、置割れが 発生する場合があるからです。 焼戻保持時間は1時間程度を標準にしていますが、長時間1回行うことよりも、短時間で 2~3回繰返し行う方が効果的です。 また、焼戻し温度においては、ぜい性を起こす温度があるから、注意をする必要があります。 低温焼戻ぜい性=300~400℃ の記述があります。 浸炭していない部分の焼き入れ部分が、高周波焼き戻しで歯の部分の二番が、低温焼戻し ぜい性(300~400℃)となる場合があるので、その内容を使用材にて調べる必要があります。 内容は、解りますね。 尚、そのURL“ 焼戻しについて の 特に(3)高温焼戻し 欄 ”と、 回答(3)の中断のURLは、同じものです。 そして、“二番”とは、歯の部分を高周波焼戻しするのなら、歯の部分から少し内部に入った 歯の部分の“二番”部は、高周波焼戻し温度より少し温度が低くなり、低温焼戻しぜい性(300 ~400℃)となる意味ですし、歯の部分から少し内部に入った部分を“二番”部と云います。 回答(3)のiwanaiの“上から目線”で“相手に配慮が無い”、“批判的”記述にて、 http://mori.nc-net.or.jp/EokpControl?&tid=275094&event=QE0004 の質問者さんは、大変なことになっている。 小生には揚足取りのような記述をしても良いが、将来がある新人の芽を摘むような記述は 慎もう!!。
補足
ご返答ありがとうございます。 浸炭深さ自体は1mm前後で、具体的に高周波焼戻しする際の目標があるわけではないのでそれに対する焼戻しが炉戻に劣るということでなければ問題はないということになると思います。 教えていただいた内容であれば、高周波を適用できるかどうかのポイントは ?浸炭しない表面部分の焼き入れに対する、内部応力除去が高周波で可能か? ?高周波焼戻にすることで低温焼戻脆性の影響がでるような焼戻温度にならないか(なる部分がないか)? という部分になってくるわけですね。 昨日は書き落しましたが、弊社の使用材料は現状は 浸炭焼入後、炉戻ししているのでSCM420だったと思います。 詳細な情報ありがとうございます。
>焼入れの際に生じるマルテンサイトの範囲が浸炭焼入では高周波焼入より深そう 方法論よりも前に、所要の物理特性(耐摩耗性、引張強さ)と所要の深さなど を明確になさった方が良さそうに思います。 所要の物理特性が明確であれば、結果はご自身で判断できるように思います。 回答(2)さんが、たいへん解りやすく整理して下さいました。 その上で、改めて「焼戻し」の基本を確認してみると、 http://www.tobu.or.jp/yasashii/book/gj11.htm 1時間の保持時間を確保することが要点です。 焼入れ用の高周波加熱装置は、焼入れに必要な温度まで短時間で上昇させる 機能に特化していますから、1時間もの長時間に亘り焼戻し温度を一定に保 持するような使い方は困難であるように想像します。また、設備の利用効率 としても不利でしょう。 さらに、保持時間を確保するということは、表面の温度と内部の温度が均一 になるということですから、高周波加熱の最大の特徴である表面のみの加熱 ということが意味を失います。 上記のように考えてくると、高周波加熱によって焼戻しを行うことは、 理屈の上で不可能ではないが、現実のメリットは殆ど無さそうと結論づけ できそうです。
お礼
ありがとうございます。
補足
追記ありがとうございます。 ただ資料によって、「焼戻時間は何が最適か」という部分がまったく異なっていて一般的な高周波焼戻しでは通常、焼戻し温度を上げて短時間で処理するような使い方をしてしているようです(高周波焼き入れ後の高周波焼戻しの場合)。私も古い文献の炉戻しでは「1時間程度」という数字をよく見かけたんですが、回答(3)でも記載いただいているように必要条件というわけではないような気がしています。
補足
ご回答ありがとうございます。 >>焼入れの際に生じるマルテンサイトの範囲が浸炭焼入では高周波焼入より深そう >逆になります。 の部分についてなんですが、ある程度の硬度になる層は実用上 ・浸炭では表面から拡散する炭素量により制限される ・高周波では、加熱範囲により制限される ということですよね。改めて考えると確かにそうですね。 ただ、私の意図(素人考えですが)としては通常の浸炭焼入ではワーク全体の加熱になるため焼入した際に炭素量の多少はありますが、焼き入れの影響(機械的性質で言えば、焼き入れ前と焼き入れ後の硬度の違い)が深くまででるのかな?その一部はマルテンサイトの生成なのかな?という部分でした。 浸炭材の焼戻の目的が主に焼入マルテンサイト→焼戻マルテンサイト+ε炭化物という部分であるのなら、硬度はともかくマルテンサイトの生成が深くまで起こっていれば、生じたものはすべて焼き戻してやらないといけないものなんでしょうか?実際は無視できるものなんですかね?それともそもそも通常の浸炭後の油焼きいれではそんなに深くまでマルテンサイトにはならないものなんでしょうか。 資料もありがとうございます。なかなか、焼戻について細かく何がベストかを書いた資料ってないんですよね。教えてもらった本も探して見つかれば読んでみます。