- 締切済み
焼入れ性の悪い材料とは?炭素鋼系の特徴について
- 炭素鋼系材料の焼入れ性が悪い理由や熱処理の影響について知りたいです。
- 引抜き材の種類によっても焼入れ性に違いがあるのか知りたいです。
- 炭素鋼系の材料における焼入れ性に関するさまざまな要素や考えられる影響について解説してください。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
みんなの回答
逆の理解をした方が良いですね。 基本、鉄-炭素だけの炭素鋼系は、焼入温度から急速に冷却することで、焼きを入れることが出来るわけです。 これは、焼なまし材の常温では鉄がフェライトという鉄原子間の隙間にほとんど炭素を溶かせない組織になっており、炭素は炭化物(鉄と炭素の化合物:セメンタイト)という分離した状態で存在し、それらが混合した組織(パーライト)という形になっていますが、これを焼入温度まで温度を上げると、鉄がオーステナイトという炭素を鉄原子間の隙間に多く溶かすことが出来る組織になり、炭素は、鉄原子の隙間に溶け込んだ状態で存在する様になります。 これをゆっくり冷やしていけば、鉄原子や炭素原子が移動して、組織構造を変え、またもとのフェライトと炭化物に分かれるわけです。 しかしこれを移動できないくらいの短時間で冷却してしまうと、本来であれば、炭素が溶け込まないはずのフェライト構造の鉄原子間の隙間に無理やり炭素原子が入った組織(マルテンサイト)になることで硬くなります。 焼入性が良くなる元素を添加した合金は、鉄以外の原子の大きさや物性の違う金属原子が入ると、均一性が失われた分、組織の変化に時間が掛かる様になります。(若い人が沢山乗っている電車に、お相撲さんや、赤ちゃんを連れたお母さんや、お年寄りが乗ってくると、大幅に乗り降りの時間が遅くなることをイメージしてください。) 合金された材料は組織変化に時間が掛かる様になった分、逆にゆっくり冷やしてもマルテンサイトになり易い。つまり焼入性が良くなったということになるのです。 金属について知識が無いと非常に複雑な説明だと感じるでしょうが、正確さよりは、イメージとして理解し易い様に説明したつもりです。 本来は、教科書で何時間も掛けて学ぶべき内容で、こういったところで質問するよりも一般教養レベルの本もあるので、金属、鉄鋼材料の入門書を読むことから始めるべきです。 入門書を読むべきと書きましたが、全くの素人の方に分かり易くという面では、本当のところでは私も満足できる本に出会ったことがありません。 大学の基礎で使われる比較的分かりやすい本はありますが、中学、高校の化学、物理で習った様な万物は原子から成ることだったり、周期律表だったりを当然のこととして完全に理解出来ていることが前提で書かれています。 もしくは実用書として、どの様な材料を選定するべきかは書かれていても、その原理については詳しく書かれていないという本も多いです。 ただ普通の方は、どちらの本を撰んでも中々理解するのは難しいところです。 貴方が工学系大学の一般教養レベルの基礎知識を持っておられる場合であれば、大型書店の専門書コーナーを探せば前者の参考になる本を容易に探すことが出来るでしょう。 私も金属加工に携わるベテラン技術者として、先生役を務めることはありますが、私自身は数十冊の本を読み重ねてやっと理解したことを短時間で基礎知識が無い後輩達に教えようとすると実際のところ非常に難しいです。 ひどい場合は、中学校の教科書のおさらいから始めたこともありました。 それでも何か紹介するとしたら、基礎的な本というよりも実用書の系統ですが、下記します。 「JIS鉄鋼材料入門」 大和久 重雄 著 大河出版 この先生は、沢山の本を書かれていますが、非常に分かり易く、楽しんで読めるので、お勧めです。
素人の言うことですから、信用できそうもないと思ったら読み飛ばして下さ い。 炭素鋼の焼入れ性が悪いというのは、 焼入れに際して、冷却速度が速くないと十分な硬さが表れない、焼き入れ後 の歪みが大きく、また、焼割れなどの問題が発生しやすい・・・などを言う と思います。 炭素鋼は、このような性質なので、大型の部品などは、深部まで焼きが入ら ないなどの課題があり、冷却速度が遅くても焼きが入る材質、また歪みの発 生が少ない材質が求められました。 そして開発されたのが、炭素以外の元素を添加した合金鋼です。 S45CとS45C-Dの焼き入れ性の違い:炭素%などの成分は同等ですから、焼入 れ性に差異は生じないと思います。なお、引抜き材の場合は塑性加工に伴う 応力が残留しているので、この応力が多少の影響を与えるかもしれません。 専門家のご回答を期待します。
補足
早々の御教授有難うございます。 焼入れに際して、冷却速度が速くないと十分な硬さが表れない、焼き入れ後 の歪みが大きく、また、焼割れなどの問題が発生しやすい。 と御教え戴きましたが上記はどのような場面、処理の際に起こり得ますでしょうか?またC量や肉厚によっても多少変わってくるものなのでしょうか? 引き続き御教授お願い致します。
補足
非常に分かりやすく御教授戴き有難うございました。なかなか是ほど細かく説明戴いたことはありませんでしたので・・・。 1つお聞かせ下さい。 本来は、教科書で何時間も掛けて学ぶべき内容で、こういったところで質問するよりも一般教養レベルの本もあるので、金属、鉄鋼材料の入門書を読むことから始めるべきです。 とお教え頂きましたがいい入門書を御紹介頂けないでしょうか?もしありましたら「出版社」と「参考書のタイトル名」をお聞かせ下さい。 宜しくお願いします。