韓国とは軍事同盟を結んでいるわけでもなくまた歴史的な反発から自衛隊が韓国の領海領土に入り込むことが許されない状態なので戦略的価値があるとか無いとか判断する前提が無いです。しいていうと日本は韓国を安全保障上の戦略の中に十分に組み込めていないと言うことだと思います。
ひとつ言えることは韓国が隣国で非常に近いところにあることから日本の安全保障に取って重大な影響を与える国だと言うこと。
現在は日韓で軍事情報保護協定が結ばれていて、軍事上の情報を共有することができます。これがどれだけ役立つのかは機密事項でもあり一般にはわかりませんが、おそらく北朝鮮の動きを知る上で日本政府に取っては重要な情報源になっていると思います。韓国は中国の反発を押し切ってTHAADを配備しましたが、韓国にTHAADの基地があって日本がそこからの情報を入手できるとしたら非常に有用です。THAADのXバンドレーダーシステムは北朝鮮のみならず中国の北東沿海部でのミサイル発射をいち早く察知することができるだけではなく、日本に到達する前には後ろからミサイルを見ることができ、弾頭がどう言う状態か、つまり実験用のダミーなのか本物の弾頭が搭載されている可能性があるのかまで知ることができます。韓国は韓国で日本が5機飛ばしている情報収集衛星(要はスパイ衛星)の情報を入手することができるので、アメリカの情報と合わせると北東アジアで起こっていることをかなり事前に知ることができます。北朝鮮のミサイルが北海道を飛び越えた時に安倍総理や小野寺防衛相が繰り返しミサイルの発射から着水まで完全に追跡できていると発言していましたが事実だとすると韓国のTHAADからの情報がリアルタイムで入っていたと考えられると思います。
重要な情報源ですが、戦略的価値は現在はその程度とも言えます。
将来を考えると、韓国のことだけでなく中国、ロシアがどう動くかまで考えないといけません。地政学的には日本は韓国が日本と親密な関係であるべきだと思います。明治時代から昭和初期にかけてずっと朝鮮半島がアジアから突き出て日本の喉元を狙う短刀にたとえられて来ましたが、日本が中国、ロシアと親密で不可侵な関係にならない限りはその状態は続くと言って良いと思います。
北朝鮮に関してはここ1-2年で緊張が大幅に増しましたが、少し前は米韓、中国の緩衝地帯に例えられることがありました。得体の知れない危険な国であっても実害がない限りは北朝鮮が間にあることによって中国が韓国に影響力を増して日米にプレッシャーをかけることもなく、逆にアメリカ、韓国が北朝鮮、中国国境まで影響力を広げて緊張を増すと言う自体を避けるために、北朝鮮が当時の状況を維持して緩衝帯になってくれているのが一番良いと思われていたところがあります。今は北朝鮮はアメリカだけでなく中国にとっても厄介者になってしまい、もし有事が現実のものになったらその後朝鮮半島でアメリカ、中国、ロシア、韓国がどう平和的に折り合いをつけるのか、誰が何を手に入れるのかが重要かつ火急ななテーマになります。その時に朝鮮半島全体が反日になって中国の影響力をそのまま対馬海峡、九州にまで広げるような事だけは避けたいです。
で、韓国はどうしたいか。おそらく国内の意見がバラバラだと思います。南北統一が理想だと思いますがおそらく現実的でないしいざとなったら韓国民は賛成しないでしょう。東西ドイツのときも統一後の地域の経済格差が大きな問題になりましたが、南北朝鮮の場合格差はその比ではなく、統一などしたら政治経済が大混乱に陥ります。文政権からはその辺の現実的なビジョンを聞いたことが無い。一方で、前朴槿恵政権に思想的な影響を与えていたいわゆるニュー・ライトと言う政治団体は、北の体制が崩壊したときには北をしばらく日米韓で共同管理体制に置くべきと言う事を提唱しています。経済的には現実的かも知れませんが、中露が黙っているわけはないですからそれも実現しないでしょう。北朝鮮が崩壊したらそれはそれで喜ばしいことですが、すぐにとても危険な事態が起こり、下手すると中露 vs. 米韓 に日本を巻き込んだ第二次朝鮮戦争が起こる可能性だってあると思います。
文在寅が以下に南北融和主義で話し合いを優先しているからと言って、その先に統合、融和がある事はあり得ず、あくまでも軍事圧力の強化に対して、話し合いのきっかけを作るくらいのレベルと思います。
北朝鮮が崩壊するとしたら話し合いではなく、軍事的な攻撃によるものか、内部崩壊かどちらかでしょう。是非内部崩壊して欲しいと思います。
お礼
ご回答ありがとうございました。