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アルコールについて
「お酒を飲んで顔がすぐ赤くなる人はアルコールを分解する力がなく、アセドアルデヒドという発がん性の物質を体に貯めこんでしまう」という話は本当でしょうか? ご存知の方がおられましたが、詳しく教えて下さい。
専門家の回答 ( 2 )
- 専門家ココカラファイン 薬剤師(@cocokarafine) 薬剤師
こんにちは。追加のご質問に回答いたします。アセトアルデヒドに「発がん性がある」と仮定しての回答です。 (1)酢酸に変換されたアセトアルデヒドはその時点でアセトアルデヒドではなくなるので発がん性は失われます。 (2)最終的には発がん性を失いますが、「アセトアルデヒド」として体内に存在した時間は発がん性を持っていたことになります。 発がん性とは遺伝子(DNA)を損傷する可能性を言います。動物実験レベルではアセトアルデヒドはDNAのたんぱく質に結合して何らかの影響を与えることが分かっています。 DNAは様々な理由で損傷を受けますが、そのほとんどは完全に修復されます。しかし、この修復の過程でエラーが発生して本来と違うDNAができてしまった時に癌化する可能性が高まります。 DNAの損傷が多ければ多いほど、修復時のエラーの可能性も高くなりますね。 ということは、アセトアルデヒドが何らかの影響を与えるとした場合、体内に長時間存在していると発がんリスクは高まります。 いずれ排泄されて体内からなくなるとしても、酢酸に変換されるまでの間、尿や汗に排泄されるまでの時間が長くなるほどDNAを損傷する可能性は高まります。 アセトアルデヒドの代謝が苦手な方(GAタイプやAAタイプ)が大量のお酒を飲むとそれだけDNAがアセトアルデヒドに晒される時間が長くなり、DNA修復エラーが起こる確率が上がり、癌化する確率も高まるということです。 酒粕のアルコールについては寡聞にして存じませんので、回答は控えさせていただきます。 ご参考になりましたら幸いです。
ココカラファイン 薬剤師(@cocokarafine) プロフィール
ドラッグストア・調剤薬局を全国約1300店舗展開しているココカラファインのWEB担当薬剤師です。 健康、美容についての気軽な相談相手として「お友達以上お医者さん未満」のような存在を目指してます。 ...
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こんにちは。お酒を飲んだ時にお酒に強い人弱い人、赤くなる人ならない人様々ですよね。 飲酒によって体内に入ってきたアルコールは肝臓を通過する際に「アルコール脱水素酵素」という酵素の働きによってアセトアルデヒドに変化します。 顔を赤くする物質の正体がこのアセトアルデヒドです。 アセトアルデヒドは再び肝臓に戻ってきて「アセトアルデヒド脱水素酵素」によって酢酸(いわゆるお酢)に変換されて無毒化されます。 アルコール脱水素酵素はそれほど個人差なくみなさんが持っているものですが、アルデヒド脱水素酵素は人種差や遺伝的な差が大きくあります。 アルデヒド脱水素酵素(以下ALDHと省略します)には3つの種類があり、それぞれALDH1、ALDH2、ALDH3と呼ばれます。 このうちALDH2は遺伝によってタイプが異なり、人種や遺伝的な分解能力の差につながります。 遺伝子は両親から一つずつ受け継いで二つが組み合わさります。ALDH2も同じように、両親から一つずつ受け継いで組み合わせが決まります。血液型のようなものとお考えください。 遺伝情報にはGとAがあり、GGタイプ、GAタイプ、AAタイプの3種類が生まれることになります。 GGタイプは欧米人に多い(ほぼ100%)タイプでアルデヒドを代謝して酢酸にする能力が非常に高いものです。 このタイプの人は赤くなりにくいしお酒をたくさん飲めるし比較的二日酔いになりにくい体質になります。(限度はあります) GAタイプはお酒に弱いタイプです。Aが一つ入るだけでアルデヒドを酢酸にする代謝能力は1/16にまで落ちてしまいます。 AAタイプになると欠損型と言われ、ほとんどアルデヒドを酢酸にできません。このタイプの人はお酒が「飲めない」人です。 日本人を含むモンゴロイドと呼ばれる人種ではGGタイプが約50%、GAタイプが約45%、AAタイプが約5%となります。 そこで質問への回答ですが、お酒を飲んですぐに顔が赤くなるけど、全く飲めないわけではないという場合、アルコールを分解する力がないのではなくアルデヒドを分解する力が「弱い」ということになります。 もう一つ、アセトアルデヒドについてですが、国際がん研究機関による評価ではグループ2Bに分類されており「発がん性の恐れがある」となっています。 アルデヒドだけを人に投与したケースの研究が少ないことからこのような評価になっていますが、それでも発がん性の可能性を否定していないということです。 ちなみに「アルコール」はグループ1に分類されており「発がん性がある」と評価されています。 アルコールを飲むという事例は大量にありますから、研究には事欠かないのでしょう。しかしこれはアルコールについての評価なので、摂取後のアセトアルデヒドの影響なども含まれていることになりますね。 しかしGAタイプの「飲むとすぐに赤くなってしまう人」も弱いながらも分解能力はもっているので、分解に時間はかかるし二日酔いで苦しむことはあっても貯めこんでしまうということはありません。 まとめると、 ・顔が赤くなるのはアルデヒドが原因 ・アルデヒドを分解できないのではなく、分解する力が弱い ・アルデヒドの発がん性は否定されていない。アルコールは発がん性物質 ・GAタイプの顔が赤くなりやすい人はアルデヒドを分解するのに時間がかかるため、その分アルデヒドに長時間晒される ・時間はかかるがアルデヒドを分解できないわけではないため貯めこむことはない ちなみにAAタイプの人は肝臓での分解はできませんが尿や汗、呼気から排泄されるので永遠にアルデヒドが残るということはありません。 ご参考になりましたら幸いです。
お礼
ご丁寧に、詳しく説明していただきありがとうございました。 少しわからない点があったので、もう少し詳しく教えていただけると助かります。 (1)「アセトアルデヒド脱水素酵素」によって酢酸に変換され無毒化されるなら、アセトアルデヒドは発がん性物質ではなくなるということですか? 私はお酒をあまり飲んだことはないですが、恐らくAAタイプだと思います。ワインを一口飲んだだけで顔が赤くなりすぐほろ酔いになっていました。 (2)「AAタイプの人は肝臓での分解はできませんが尿や汗、呼気から排泄されるので永遠にアルデヒドが残るということはありません。」とありましたが、だとすると結局はアルコールを飲んでも、どのタイプであってもアセトアルデヒドは体内には残らない、つまりガンは誘発しないということでしょうか? それから、沸騰させて酒粕のアルコールを完全になくすことは可能かどうか、ご存知なら教えて下さい。 よろしくお願いいたします。
ココカラファイン 薬剤師(@cocokarafine) プロフィール
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お礼
お忙しい中ご丁寧にありがとうございます。 わかりやすく説明していただいたので理解できました。 すみません、確認なのですが・・・ 私はお酒を1口飲んだだけでもすぐ顔が赤くなるタイプですので、「アセトアルデヒドの代謝が苦手」になりますね。そうだとすると、発がん性を持っているアセトアルデヒドが分解できずに、体内に残っているという状態が長時間あるということでよろしかったでしょうか?