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マルタの鷹について(ネタバレ注意)
ダシール・ハメット著、「マルタの鷹」という本の中で、 主人公のサム・スペードが関わった仕事として、 フリット・クラフトという人物の話が出てきます。 読んでいて印象に残る話だったのですが、 みなさんは、あの話はどういう意味で出てきたと解釈していますか?
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- Postizos
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回答No.1
おそらくですが、これは実際にあった話でハメット自身が実際にあったことの不思議さ、不条理さに強く魅かれていたのではないかと思います。 それまでの探偵小説、推理小説は猟奇的な興味は本音の隠された伏流として下地にあるものの、大筋は当時の世間の「正義」、社会常識(例えばキリスト教的な道徳だとか)に沿って誘導される物であったのではないでしょうか。わかりやすく言えば勧善懲悪のような建前です。 ハメットは小説全体においてはそれまでの正義ではなくてハメットの考える社会正義を提示したりはしているものの、作者の考える正義へ読者を誘導する定型からは離れられていないように思います。 しかし実際の話をはさむことでそのような誘導から離れたものを入れ込んでいるように思うのです。 こういう手法は短編ではもっと徹底していて、単純にどちらが正義とも言えないような作品が多いように思います。 そしてそのことがハメットの作品を単なる推理小説ではない、何か割り切れない物陰のようなものが心に残る優れた作品にしているように思います。
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