シャープについて
先日テレビにシャープの戴社長が出演し、消えかけていた会社をV字回復させた要因は、と尋ねられ、戴社長は「経営能力の差」とこたえた。
まさにその通りなのだが、これを言われた嘗てのシャープの経営をになっていた者どもはどう思っているだろうか。まさに、無能と言われたに等しいのだが、しかしながら、彼らが特別というわけでは無いのが一番の問題点のような気がする。
日本人の多くは、エリートは勉強ができて優秀だという思い込みを持っている。
かつて、司馬遼太郎と言う作家がエリートは勉強はできても経営者としては無能であることが多いと言っていた。
司馬さんはエリートというのは、言わば番頭さんで、番頭さんは主人になっても能力を発揮できないからだ、といっていた。
所が、日本人の殆どがエリートは勉強ができて優秀だという思い込みから抜け出せない。
かつて、日本が高度成長を続けていた頃には、その多くが創業者が経営をになっていた。シャープも創業者が斬新で独創的な製品を次々と発表していた。
それが、創業者が次々にこの世を去ると、どこの会社も停滞し始めた。
ソニーにしてもあれほど次から次へと見たこともない製品を生み出していたのに、創業者がいなくなった途端にただの会社になってしまった。
儲けが出ても、それを内部留保と言うことでため込むだけ。
日本経済が地盤沈下を起こしていると言われて久しいが、このままエリートに頼っていたのでは経済の地盤沈下は治まらないだろう。
大学を卒業し、エリートとして企業人として漫然と日々を重ね、年功序列で経営のトップにつくと言ったようなことではだめなのだ。
このことに気がついて、嘗てのような勢いを取り戻すにはもっと落ちるところまで落ちてしまわないとだめなのかも知れない。