おそらく「アップライトスピン」 っていう技ですね。
少し前だと、村主章枝さんなどが演技のフィニッシュに用いていました。
とても回転が速くて盛り上がるスピンだったと思います。
演技の中のでのスピンは、男女シングル(フリー演技)なら、以下、3つです。
・ コンビネーションスピン
・ フライングスピン
・ 単一姿勢でのスピン
コンビネーションスピンは、複数種類のスピンを組み合わせるもので、フライングスピンは、ジャンプするような入り方からスピンを行うもので、単一姿勢のスピンはどのようなスピンでも構わないのですが、ひとつの種類だけを行うものです。
スピンには、さまざま種類によって『基礎点』があり、またレベル要件といって、そのスピンのやり方の難易度を段階別に『レベル1~4』と4段階で点数を分けています。レベル要件は細かく規定されている(私もよく分からない…)のですが、いくつか分かりやすいものをあげれば、スピンの回転の速さと回転数、スピン姿勢の工夫、スピンの入り方の工夫…などです。
簡単に言えば、スピンは「入り方を工夫し、できるだけ難しい姿勢で、高速回転である」ことが良い、という感じでしょう。
アップライトスピンは、スピンの中でも難易度が低く、基礎点は最大(レベル4)で2.4点です。ただし、通常のアップライトスピンの場合は、姿勢などの工夫がされていない、ということで、あのままでは「レベル4」にならないのです。
そのため、アップライトスピンの変化系(進化系?)として、足を前や横に上げた「I字スピン」や「Y字スピン」にして「レベル4」にしようとしたりするのです。
ちなみに、アップライトスピンから、上半身をやや後方に反らせた状態にすると、レイバックスピンになり、これはアップライトスピンの工夫ではなく、別の技となります。
レイバックスピンからの変化系としてビールマンスピンが有名です。
アップライト → Y字、I字
↓
レイバック → 両手ビールマン → 片手ビールマン
選手としては、できるだけ得点の高いスピンのほうがいいので、アップライトスピンなら、その同系統のY字スピンなどにしていることが多いのですが、しかし、「技の出来栄え」という加点要素が『基礎点』や『レベル』とは別にあり、場合によっては最大1.5点の加点がもらえます。
つまり、簡単なアップライトスピンでも、基礎点(レベル1)1.2 + 出来栄え 1.5 =2.7点 とすることができます。
ただ、たとえば村主章枝さんは、他の選手に比べて背中や股関節が固いと言われていて、また、男子選手の多くも女子選手に比べれば身体が固いでしょう。そのため、I字スピンにするより、基本形のアップライトスピンで目を見張るような高速回転にし、出来栄えによる加点をもらったほうが…という選択をとったのだと思いますが、出来栄え点が試合により変動し過ぎるところがあるので、アップライトスピンより、難度の高い姿勢のスピンができるなら、そのほうが安定して点数を取れる、という選択をしている選手が多いのだと思います。
まあ、流行り、と言えばそうですね。
今は、観客が見て盛り上がれるかどうかより、審査員が見て高得点になる技をやることが『流行』になっているんだと思います。
採点競技としては必然ですが、すこし残念でもありますね。