まず、多くの客が誤解していますが、指定席の切符は本来はその指定された列車の指定席のみに有効であり、指定された列車より前の列車はたとえ自由席であっても、無効の紙切れとなります。
指定席を頼んだ時点で、その指定された席はその客のためにあけてあるのですから、変更の手続き等なしに勝手に別の列車に乗って座られたら、1人の客が2席を占用するのと同じことになります。みんなが同じことをすれば大変なことになります。
ただ、多くの列車では、実際に前の列車に乗る客なんかほとんどいません。
ですので、東海道新幹線以外の新幹線や一部の特急列車等では指定席で売れているはずの席に人が座っている場合、その人がその席の正しい指定券を持っていると推定しやすいのです。そこで、売れているはずの席に座っている場合は車内改札を省略する(売れてないはずの席に座っている人のみ改札する)という制度が問題なく運用できるのです。
ところが、東海道新幹線の場合、10分間隔程度で走っている時間帯もあり、臨時列車を含めると数分後に次の同方向・同種別の列車が出る場面もあります。
そのような場合、指定券を持って少し早く駅に着いた場合、意図的にあるいは誤って前の列車に乗ってしまう事例がかなり発生します。そういう人たちが、違う列車だからと遠慮して自由席に立ってくれれば問題は起きにくいのですが、堂々と指定席に座ります。ヘビーユーザーも多いので、「この状況で本来の客が来ないと思われる席」を直感的にかぎ分けて座ってしまうのです。つまり、売れているはずの席に人が座っていてもその人が正しい指定券が持っていると推定することができない状況なのです。
しかも、ヘビーユーザーと言うのはより得をしたり、便利に使うことに敏感です。(本来は無効な)前の列車に乗っても何のお咎めもないと知れば、指定列車に関係なく乗車する客が今以上に増え、指定席制度が根幹から崩れる状況が生じる可能性もあります。
そこで、全席車内改札をするのです。
自由席も同様で、本来無効な前列車の指定券で乗車している客がかなりいると考えられ、これを見過ごすと客、特に利用機会の多い客に不公平感が生まれ、次回からは正しく切符を買ってもらえなくなることにすらつながります。ですので、自由席もできる限り改札を行い、不適切な使用をできる限り排除するのです。
このような事情で、車内改札が廃止できないとされています。どうせ車内改札を廃止できないのなら、のぞみを利用できないなど、特定の条件を付けたツアーや割引切符を設定することができ、閑散時間帯、閑散期の列車利用を増やす策を行うこともでき、ますます車内改札を廃止できないのです。
どうせ、客が多いと、何かしらのトラブル発生リスクも生じるので、改札必要性の有無に関係なく、車内の巡回はしないといけません。であれば、車内改札を必須にして頻繁に巡回するのも不自然でないようにするという考えもあります。
ちなみに、東海道新幹線以外の多くの新幹線は上述の事情により、車内改札を原則省略している例が多いです。しかし、自由席は完全に省略しているわけではありません。悪知恵を画策して乗車区間より安い区間の切符で不正を成功させようとする客も少なからずいますし、他の回答にあるような折り返し乗車客も発生しやすくなります。そこで、不定期に車内改札を行い、不正を抑止するのです。
車内改札による不正の抑止は、その時実際に不正を行っている客から正規の運賃・料金を回収する意味もありますが、東海道新幹線の事例を除けば、不正客と言うのは意外と生じないものです。しかし、そのような車内改札があると見聞きした人が他人に話すことで、これから乗車する客が少しでも不正をしようとしなくなることについてかなり期待している部分があるようです。
そういう意味では質問者様のような質問があるとJRはある意味ありがたかったりする(新幹線は自由席でも車内改札があるので不正はできないと思ってもらえる)わけです。
補足
それの摘発のためです?