説明が不足していたので、補足します。
自動車競売の流れを説明しますと、申立書が出て、書面審査(申立書に必要事項が記載されているか、添付書類はそろっているか、債務名義が提出されているか。)をパスすると、自動車競売開始決定という決定がされます。この決定によって、自動車登録ファイルに、差押の登録がされ、債務者に対して、自動車を執行官に引き渡す命令がされます。ここで1つ、手続上の裁判がされるわけです。
その他にも、必要に応じて細々した裁判がされながら、手続が進みますが、その中に、評価命令という裁判がされます。この評価命令によって、自動車の査定がなされるわけです。そして、査定が出されると、執行裁判所は、査定を基にして、売却基準価額の決定という裁判をします。
この売却基準価額の決定の際、執行裁判所は、前の答えで触れた、執行費用の見込額を試算し、それと売却基準価額の2割引の金額を見比べて、剰余が出そうだとなると、売却実施命令という裁判をします。この売却実施命令を受けて、執行官が、自動車の入札や競り売りをするという流れになります。
他方、剰余が出そうにないということになると、執行裁判所は、債権者に、剰余がなさそうだという通知をします。この通知に対して、債権者が、通知を受けてから1週間以内に、買受額の申出をして、担保を積まない限り、執行裁判所は、競売手続取消決定という裁判をして、競売の手続を打ち切る、という流れになるわけです。
競売の手続が、執行裁判所の裁判1個で決まるように考えるのは、法律の仕組みを正確に認識しているとはいえません。実際の手続は、このように、いくつもの裁判の積み重ねで進んでいくことになるわけです。
競売の手続が終わると、債権者の請求により債務名義は債権者に返還されます。ただし、債務名義の債権の全額が支払われた時は、債務名義は債務者に交付されます。配当まで行かずに競売の手続が終わった時は、債務名義には何も書かれませんが、競売で配当を受けた場合には、その配当額が債務名義に付記されて、強制執行によって、いついくらを回収したかが分かるようになっています。(民事執行規則62条)
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