ダンダンダンダンという音は、車輪の一部がすり減っているために発生している音だと思います。
ガタンゴトンはレールの継ぎ目から発生する音ですので音量は一定ですが、ダンダンダンダンという音は電車の接近とともに大きくなり、電車が離れると小さくなっていくのではないでしょうか。そうだとすれば車輪です。
車輪は丸いので、線路の上を走っていてもダンダン音はしません。しかし、非常ブレーキや雨の日のように線路が滑りやすくなっている状態で強いブレーキをかけると車輪が滑走することがあります。滑走とは車輪がブレーキでロックした状態で滑る事を言います。自動車でも急ブレーキをかけるとタイヤがロックしますね。あれと同じことです。
車輪が滑走すると、そのとき線路と接している部分だけがすり減って平らになってしまいます。これを「フラット」といいます。自動車や飛行機などのゴムタイヤの場合はフラットスポットと言うことが多いようですが、鉄道用語ではフラットといいます。
丸い厚紙の端っこの一部をはさみで平らに切ってタイヤのように転がしてみると、平らになった部分で衝撃を感じます。この平らな部分、すなわちフラットによって発生する衝撃音がダンダン音の正体です。
電車によっては、車輪の滑走を検知してロックしないようにするABS(アンチロックブレーキシステム;車輪のロックを検知してブレーキ力を一旦弱めてロックしないようにするシステム)を搭載しているものもあります。
フラットによる騒音は、鉄道各社とも環境問題として取り組んでいますが、滑走を完全に検知することは今のところ困難ですので、少しでも軽減できるように配慮しています。また、あれだけの音がすることからわかるように、軌道(線路)に対する衝撃も無視できません。そのため、保線の面からもフラットは好ましくありません。さらに、フラットのできた車輪は削って円形に戻す必要があるので、車両保守コストの増大を招くなど、マイナス面が多くあります。
ちなみに、すべての車輪が一斉に滑走してフラットを作ることはあまりありません。たいていは一部の車輪のみにできます。どの車輪にできるかは各車輪にかかるブレーキ力やそのときの線路の状況(濡れやカーブなど)によって異なります。このようなことも滑走を完全に検知することの難しさの一端を示していると言えるでしょう。
簡単な計算をしてみましょう。車輪の直径はいろいろありますが、代表的な86cmとすると、車輪の円周は約2.7mとなります。時速60kmで走る電車は毎分1kmの速さで進みますから、車輪は1分間で370回転します。ということで、1秒で約6回転することになりますから、フラットの部分で毎回音がするとすれば、1秒あたり「ダン」が6回鳴ることになります。列車のスピードによって聞こえ方も違いますが、いつも通過する列車のおおよそのスピードに対応する回数を計算し、時計の秒針とにらめっこしながら机を爪の先で叩いたりして見て下さい。だいたいいつも聞くようなダンダンダンダンのリズムになると思います。(1秒間に6回程度なら何とか叩けます)
長くなりましたが、参考URLに2つほどフラットに関するページを紹介しておきます。
また、googleなどの検索サイトでキーワードに
フラット 車輪 鉄道
を入れて検索してみて下さい。多くのページが見つかります。このことからわかるように、フラットの撲滅は鉄道会社にとってかなり重要な課題となっています。