「習作」とおっしゃられていますので、この絵の、「作品」としての良し悪しではなく、習作としての技術的な練習段階にあるものと判断しご回答します。
リンゴ=赤、という先入観にとらわれ過ぎていると思います。
たぶん、よく見れば、もっとさまざまな色が見えてくると思いますので、まずはモチーフであるリンゴの観察を、もっと入念に。
技法的には、絵の具の塗りかたは油絵らしくて良いと思います。
ですが、先の色の点で述べた通り、油絵は最後の仕上げに見える色だけでなく、下地として色を塗っておくこともできます。
青、紫、また緑など、赤以外の色を下地として塗ることで、赤が少し透けて下地が見えたりと、さまざまな「赤色のバリエーション」ができると思います。
ですので、色をつくるのは混色だけでなく、色を重ねてつくることもできる、と解釈し、工夫してみてください。
また、リンゴの輪郭がボヤボヤ、ボサボサとした感じで、良く言えば素朴、悪く言えば雑に見えます。
穂先の丸い筆だけでなく、平筆などを使うと、輪郭などをきれいに塗り分けられるので、シャープな印象になると思います。
さてさて、他の回答者さまが、リンゴが横に置かれていることについてご意見されていますが、僕はそれほど気になりません。
なぜなら、僕がもしこの習作にタイトルをつけるなら、『落ちたリンゴの習作』となるからです。
『置いたリンゴの習作』や『リンゴの置かれた風景の習作』でないのは、リンゴが横になっているから。
普通、リンゴは芯の部分を上向きに『置かれ』ますが、これは芯が上向きの方が形状として安定して『置きやすい』からです。
しかし、木に生っているリンゴが地面に『落ちた』場合、このように横向きになることが多いです。落っこちた後、芯が下を向いていると、不安定なので大抵は横向きになりますから、横向きに『落ちている』のなら、これは自然な『落ちた』リンゴの姿なのです。
リンゴは上下には凹凸があって、それにしたがって『置けば』安定するのですが、側面は球体に近く、横向きに『置いて』もコロコロと転がってしまい不安定な形状であることが発見できます。
この不安定なリンゴの状態は、人の手の加わらないとても自然な状態だと思うので、とても面白い習作となっています。
このように、1枚の習作でも解釈はいろいろと分かれるから、絵って面白いんですよね。
この習作は、リンゴを描いているようで、実は、『落ちた』と『置いた』の違いを示しているのかもしれない…。
ちなみにアダムとイブの知恵の樹の実は俗説によるとリンゴだそうで。ですから、『落ちた』と『置いた』の区別を発見させてくれる、まさに知恵の実:リンゴの習作です。
余談が過ぎましたが、簡潔に言うと、「リンゴの色彩については、やや先入観が強く観察が不足し技術的な工夫が必要と考えられるが、リンゴの『在り方』については、人の先入観をあぶり出すような面白い仕掛けが(偶然にも)成された『落ちたリンゴの習作』だ」ということです。
お礼
御回答ありがとうございます。 とても分かり易かったです。 先入観は持たないで、見たままをかけるように頑張りたいです。 下地の作り方はまだよくわかっていなくて、試行錯誤中なのですが、他の習作で試してみたいと思います。 私はまだ中学生なので、これからいろいろ試して学んでみたいと思います