税理士と行政書士では、業務範囲が異なります。
相談内容によっても、相談先の資格者が異なるものなのです。
ですので、起業にかかわる税務手続きや税金の相談であれば、税理士となります。税理士の業務を行政書士が行うことはできませんが、個別の相談ではなく、制度説明だけであれば、行える場合もあります。ただし、そもそも業務が行えない別な業務範囲の専門家である行政書士のアドバイスが必ずしも正しいとは限りませんし、税法や判例等による法令の条文だけで判断できないようなところもありますし、複数の法制度の中から有利なものを選ぶ必要のある税務では、アドバイスや回答は一つとは限りません。専門家によっては漏れることもありますし、相談者の相談の仕方や定時資料によっても変わる場合もあります。
設立関係や許認可届出事業に関する相談であれば、原則行政書士の業務範囲となります。ですので、税理士は相談を受けることはできず、制度説明や商会程度になると思われます。ただし、税理士は無試験で行政書士となることができるため、税理士が行政書士登録をしていることも多いことでしょう。その場合には相談が可能となります。しかし、行政書士専業の資格者でない税理士になると、業務範囲が狭かったりすることも多いことでしょう。
税理士と勘違いする公認会計士という専門家もいます。公認会計士は監査や会計の専門家であり、他の資格者の上位の存在というわけではありません。しかし、制度上、無試験での税理士登録や行政書士登録が行える場合も可能となっています。ですので、公認会計士による総合事務所も存在します。
行政書士による設立関係について可能と書きましたが、行政書士は司法書士業務となる設立登記関係業務を行うことはできません。登記申請まで依頼することを想定した相談であれば、許認可届出の専門家である行政書士のほかに司法書士への相談や依頼も検討が必要です。
行政書士と司法書士は、名称が似ているため混同されやすいものですが、まったく別な資格制度となっています。税理士や公認会計士といえども、司法書士業務が行えませんし、無試験での登録も認められていません。ただ、公認会計士に限っては、商業登記を行えるという考えもあるようです。
このように説明するとさらに行動されるかもしれませんが、事業にかかわる各種制度上において制度の専門家というものは、数多く存在します。上記のほかに人事採用や社会保険という分野などであれば社会保険労務士が専門家となります。
したがって、どのような制度が関係するかをご自身で考えて専門家を選ぶか、一番身近な専門家に必要な専門家がどのようになるのかを相談することも必要かもしれません。
面倒だとお考えになるのでしたら、多くの資格者の共同事務所である総合事務所などに行かれることをお勧めします。総合事務所というのは2つ以上の業務を行っている通称ですので、関係しそうな資格者が多くいるようなところへ相談されるとよいでしょう。
どのような専門家へ行っても、悪質なところでない限りは、提携先の他士業事務所を用意していたりするものです。ですので、大きな心配は不要です。
ただ、大きな事務所ほど固定費が大きいため、専門家への報酬の単価も高くなる傾向があるかもしれません。だからと言って、紹介などを利用すると、紹介や手配のための費用がどこかの請求に加算されて、必要以上の費用がかかる場合もあります。
専門家の利用方法を上手に行わないと、想定外の不利益が生じる場合もあります。
私は税理士事務所の職員の経験がある立場から言えば、顧客が税理士への相談をせずに行政書士や司法書士だけで設立したような法人では、税金対策を考えた設立となっていないことも多いです。
司法書士だけで設立したような会社の場合には、許認可申請をする際に要件を満たさないようなこともあります。
専門家を上手に利用すれば、将来の不利益などを考えると、専門家の費用以上の効果を生み出すこともあります。
起業を考える場合には、いろいろな検討や調査などをお勧めします。