Windowsにおいては、MBRの管理は特殊な作業とされていたと思います。
Linuxにおいては、MBRはパソコン自体を管理する人にとって
ごく簡単な管理対象にすぎません。
Windowsには、MBRや、そこにあるブートローダーやパーティションテーブルを
まとめて、あるいは個別にバックアップするツールが標準搭載されていなかったと記憶しています。
ですから、これらにおいて、その管理は特殊な作業で
特殊なツールを追加導入することによってのみ可能となります。
そして、場合によっては、PCメーカーが独自に提供する
特殊なブートローダーが破壊されることによって
せっかくのHDD内のリカバリーシステムが起動不能になるようなこともあります。
(この現象は工人舎PAで体験しましたしSXでも同様の症状の報告事例があるようです)
Linux系OSでは、ほとんどの場合、標準採用のツールとしてddコマンドがあります。
これはLinuxが参考にしてきたUNIX系OSでの標準的なツールの一つで
ストレージ装置や、多様な装置を、デバイスファイルとして管理した上で
デバイスファイルやファイルの間で、読み出しと書き出しを任意に行うツールです。
たとえば、/dev/zeroという特殊なデバイスから読み出し
それをHDDのMBR領域に書き込めば、MBRはゼロクリアされ
ブートローダーもパーティションテーブルも失われます。
事前に、HDDを示すデバイスファイルを指定し
ブートローダーの占める範囲(先頭446bytes)を指定して一回だけ読み出し
それをファイルに書き出すことで、ブートローダーのバックアップが可能です。
HDD自体のクローンや、パーティション単位のクローンなどもddコマンドだけで行えます。
実際の利用には、デバイスファイルというUNIX系OSでの装置管理の機構と
ddコマンドの実際の操作方法を、充分に理解する必要があります。
コマンドラインのツールですから、ウェブの記事をコピーアンドペーストして
同じ操作を行うことは簡単です。
ですが、個々のPC環境が違えば、あるいはウェブの記事が書き間違えていれば
致命的なデータ破壊や、システムの破壊を起こす恐れもあります。
そういう意味では、たしかに特殊なツールですが…
人を刺し殺すこともできる包丁を
日常生活で、普通に使っている人は多いと思います。
すべては、正しい認識と知識と、冷静な判断といったところでしょう。
Windowsは、PCメーカーがリカバリーをしきりに薦めてくることで知られているように
PCメーカーなどの技術者を前提に開発が行われています。
こういった技術者向けであるWindowsでは、MBRのバックアップ一つをとっても
特殊だから、そのためのツール(包丁やddコマンドのようなもの)は不要という考え方になってしまうようです。
いわば「素人は牛丼屋にでも行ってろ」ということなんでしょう。
お礼
詳しくありがとうございました。