マズローの段階説ではありませんが、日本も段階を経て現在基地と共存しているのだと思います。日米安保締結時には非常に大きな反対運動がありました。今でも多くの人は基地と共存していますが一部反対運動はあり、米国の一部でもグアムまで防衛線を戻そうという意見もあります。
・駐留から現在までの経緯
戦後すぐは米軍が駐留することに異議を唱える人は少なかったです。
そこには戦地からの引き揚げがあったり、それに伴う食糧難があったためです。
その当時日本は配給制にして耐えつつ、戦後賠償を行いました。
沖縄が日本でなかった時期(1945-1971)もこの頃です。
この頃に朝鮮戦争(1950-53)が起こり、在日米軍のほとんどは朝鮮に出払うことになります。
この米軍が出払った中に結ばれた(1951)のが通称旧安保条約「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」です。
この条約の前文にはこう明記されてあります。
「日本に独自の防衛力が充分にいないことを構築されていないことを認識し、また国連憲章が各国に自衛権を認めていることを認識し、その上で防衛用の暫定措置として、日本はアメリカ軍が日本国内に駐留することを希望している。また、アメリカ合衆国は日本が独自の防衛力を向上させることを期待している。」
ちなみにこの旧条約には日本防衛義務はなく、日本の内乱にも介入できるとされていました。
要するに表向き「独立国なのは分かってるけど暫定として駐留して守ったるわ、はよ防衛力付けろよな」です。
軍の空白地帯となった日本の赤化を恐れてか、この条約を日をおかずに即日発効させています。
ちなみにこの旧安保条約には「暫定処置として」と明言されていますが現在の新安保条約からは消えています。
このような経緯で駐留を明文化したため、日本が破棄しない限り米軍には現在も駐留権があります。
現在の改定された安保条約の破棄には一年前の破棄通告が必要とされています。
日本側としても用心棒として日本に駐留し続けるアメリカは非常に便利な存在でした。
アメリカはこの後ベトナム戦争(1960-75)からキューバ危機を経て東西冷戦へと突入します。
日本はその間その最前線に居る同盟国という立場を生かして軍事費を節約でき、貿易面でも最恵国待遇を勝ち取り、大幅な経済成長を成し遂げました。
日本はその間貿易黒字をどんどん増やして、双子の赤字の片方を担いアメリカを苦しめていきます。
その結果ゴルバチョフが書記長になって西側と積極的に交流を始めた1985年頃から次の敵は日本と叫ばれるようになり、プラザ合意(1986)が結ばれます。
この結果日本円は暴騰(1US$=235JP\→150JP\)し、日本は一時的にバブル化した後に20年の不況に突入します。
ここからは質問者様も知っている歴史の再確認となりますが、その後もアメリカはイラク戦争をやり、現在は対テロ戦争の最中です。また、中国が台頭してきておりそれに対抗するべくアメリカでの日本の価値が再認識されています。
そのためもあり、日本はアメリカに通貨切り下げを容認して貰って現在の景気回復につながっています。東京オリンピックもその流れからでしょう。
・日本側メリット
安保条約を結んでいる間日本の軍事力は非常に少なくてすみました。
自衛隊は現在22万人。隣国の韓国(人口5000万)軍が65万人、同じような島国の台湾(人口2300万)軍が23万人であることを考えるとハイテク化や米軍支援の恩恵もありかなり少なくて済んでいると考えられます。
日本が台湾同様人口比1パーセント程度の軍隊を持つと120万人必要です。ちなみに在日米軍は五万人。
米軍へ支払っている用心棒代は現在年間7000億円です。現在の自衛隊費が4.6兆円。
コストパフォーマンスを考えるとたった7000億円でこれだけの存在感があるのは米軍ならではです。
日本同様の島国である英国(人口6000万)は日本同様30万人前後の兵力がありましたが1970年代からスリム化を断行し現在は10万人です。これは昨今の軍事機器のハイテク化・高騰化のため人員を削っても任務遂行が可能になったため及び削らないと予算的に厳しくなったためです。
同様に日本も人件費が自衛隊予算の4割を占めており、新しい武器を買いたければ人を切るしかない状況です。一部部隊では個人的趣味もありますが装備品を自腹で買う自衛隊員も増えているとか
また、財政面でも赤字が続いている為10年前に比べて自衛隊費は3000億円も下がっています。
この現時点で米軍が居なくなるとこれ以上の予算増額が厳しい為、自衛隊への負担増が予想されます。
・アメリカ側メリット
アメリカの世界制覇を妨げる最も大きな敵は財政赤字である。という言葉が示すとおり米軍は巨大化しすぎたためゆえに莫大な赤字(年間国防予算52兆円。ちなみに日本は予算全部で92兆円。)を発生させており、それが大きな問題となっています。
日本に先んじて駐留解除されたフィリピンではフィリピン政府に対して年間数百億円(年度によって大きく変動)もの基地使用料金をアメリカ政府が払っていましたが、それがアメリカ駐留解除の最も大きな要因だったと言われています。
そのような金銭を要求せず、商業が盛んで部材調達や修理が容易、さらに駐留費の一部を負担してくれ、かつ反米感情が少ないという米軍にとって駐留に適した場所であるといえます。
以上のような経緯で米軍の駐留は行われ、安保条約によってそれが継続され、かつ日米両国にとって現在もメリットがあるため続けられているのではないでしょうか。
質問者様の考察の参考になれば幸いです。
お礼
勉強になりました。 ありがとうございます。 コストパフォーマンスの件から申し上げれば軍事費の増大による日本軍(とりあえず)の増員ならびに米軍の引き上げには世論は賛成するでしょう。 ただ 条約があるのならば米軍駐留がなくなるのは遠い話だと思います。 安保条約は米軍駐留だけの条約ではありません。 政治が動かなければなりませんが今の日本の国難とアメリカの国難を見ているとプライオリティは低いと思います。 ということは米軍駐留はまだ続くというのがわたくしのアドバイスを勘案したうえでの見解です。