失意例ながら、質問者さんは、経済の流れを勘違いしておられます。
安倍首相の前任者、小泉元首相は、郵政選挙で圧倒的多数の議席を獲得し、「デフレ政策」を国政の基本として定め(=大手製造業の労働者は、正社員となっていた法律を改正し、非正規雇用労働者でも良いこととして、賃金の大幅カットを可能にした。)、一年後、デフレ政策の実施を後任の安倍首相に託しました。
この、法制化された小泉デフレ政策の枠組みの中で、安倍・福田・麻生・鳩山・菅・野田内閣が、国政運営を行いました。
つまり、前安倍内閣は、小泉元首相から『デフレ政策実行内閣』(国会は、郵政選挙で選ばれた国会議員)との位置付けを引き継いだのです。
小泉デフレ政策は、財界の大歓迎を受け、「労務費削減による輸出競争力の回復=日本経済再生」との期待から、バブル崩壊後の長期経済不振から脱却できる切り札と看做されました。
しかし、安倍短期内閣後、引き続き政権を担った短期政権の下で、日本の競争力回復の結果、円は、ドルやユーロなどの通貨に対してどんどん高くなり、その結果、競争力は以前と同じになり、労働者の賃金低下だけが残りました。
民主党内閣の時代に、小泉首相の決めた製造業労働者の非正規雇用形態を元に戻そうとする動きもありましたが、反自民だけが同じで考え方のバラバラな民主党政権は、新しい雇用形態を法案化することはできませんでした。
今回の安倍政権は、以前の安倍内閣が実行したデフレ政策とは全く逆のインフレ政策を取る方針に180度方向転換しました。
また、今回の通称「アベノミックス」は、政府・日銀による「官制バブル経済」の様相を呈しています。
実体経済はほとんど変わっていないのに、為替レートが80円から一気に100円直前まで下落、20円:25%も変動しました。
ドル換算では、日本人の円建て資産が25%目減りしたことになり、日本政府の借金規模も同じだけ減ったことになります。
トヨタ自動車などニューヨークの証券取引所でも上場されている日本の一流世界企業の株式は、外国通貨で換算して株価が横ばいになっていても、東京証券取引所では、円換算で25%値上がりすることになります。(世界経済として見ればの企業価値は同じ。円安になれば、円換算で値上がりとなる。)
つまり、販売や生産などの実体経済に動きがないにもかかわらず、マネーゲームとしてお金が動き、高額商品が売れるという「バブル経済」を、政治主導で作っているわけです。
このマネーゲームがなくともあったはずの、消費税値上がり前の駆け込み需要(高額商品の需要先食い)が加わって、ミニバブル経済化しているわけです。
ですから、この様なマネーゲーム経済を長期化すれば、せっかく長期に渡ってスリム化した経済のシステムを再びバブル体質に変えてしまいます。
従って、安倍内閣に本当の意味で経済通が居るのなら、景気のいい話をして参議院選挙に勝った後は、ペースダウンするはずです。
もし、今の状況を本気で長期に維持するなら、高齢者の貯蓄・年金がインフレで実質として大幅に減少し、高齢者・消費者の支持を失うでしょう。
<参考>
消費税3%引き上げ=11兆円の増税
2%のインフレ=1000兆円の公的借金の目減り=実質20兆円=実質20兆円の増税
貯金のない人は増税にならないが、相当額の貯金を持つ高齢者には貯金に対する課税です。