まずはネタ探しです。地域、自分、会社、時期から共通するテーマを探し出して、それらを関連付けて話をつくる。「会社の為、企業の為」の話にするのは、その後の作業です。最初から、それを考えようとするとどんな話をして良いかさっぱり浮かばなくなります。発想、連想、着想を起こすには、まず具体的な題材が必要なのです。
例えば質問者さんは10月15日が誕生日ですから、同じく10月15日を誕生日とする有名人を話の種づくりに利用しましょうか。10月15日はエドウィン・オールドファザー・ライシャワーの誕生日です。1961年から1966年にかけて駐日アメリカ大使を務めた人だけど、質問者さんが生まれる前の話だから知らないかな。ライシャワーは元々は外交官でなくて学者で、『入唐求法巡礼行記』を研究し英語に翻訳して博士号を授与された人です。
『入唐求法巡礼行記』といえば、最後の遣唐使として唐に留学した円仁が著した日本人初の旅行記と言われています。
こういう調子で、話のネタを拾うんです。それを現状分析と提案という形でスピーチにまとめます。
私はここまで調べて以下のような問題意識を持ちます。
『入唐求法巡礼行記』を欧米に紹介したのが、どうして日本人でなくアメリカ人のライシャワーだったのか。
日本人は日本の歴史を理解し、欧米に紹介しようとする努力が足りなかったから、あの戦争に至ってしまったのではないか。
日本人はそういう己の努力不足を棚に上げて、欧米は日本を理解しようとしないと被害者意識を持ちたがるのではないか。
今、日本は不況といわれているけど、それは日本の文化を世界に発信しようという努力が足りないからではないか。
といった論理展開で質問者さんの会社、または質問者さんご自身の課題に結びつけるのです。
現代はグローバル社会といわれているけど、日本は国際社会で期待される役割を果たそうとしているのか。
そういう問題意識を、自分の会社・企業にあてはめて考えてみる。
以上のような話の流れで、10分間のスピーチを作って、最後に質問者さんからの提案をつなぎあわせて、スピーチを締めくくるのです。