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Wグロピウスの思想と設計について
- Wグロピウスは「造形は機能に従う」という考えを持ち、機能を突き詰めることで美しさが生まれると信じていました。
- 一方で、彼は芸術も重要視しており、工業製品の普及によって失われつつある手工業を復活させようとしていました。
- また、彼は世界的な統一様式の実現を目指し、建築家たちの共有価値観や国境を超えた建築様式を提案していました。
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グロピウスには、工芸の世界のように職人の手に工業製品(のデザイン・造形)を取り戻すような発想があったと思います。そのように機械生産と芸術を結ぶ職人をデザイナーと考えたのでしょう。 グロピウスの考えている「機能美」とは「その物の持っている機能を思わせる・機能を表現する美しい形態」と考えて良いと思います。それは機能優先主義=機能だけを考えて形態の美は一切切り捨てるのとは全く違う考え方です。 「造形は機能に従う」とは機能と無関係な様式的な装飾をほどこして「デザインしました」とすることではなくて、例えば形は同じだけど金メッキしましたからこっちの方が良い、というのではなくてチープな素材であってもそれを活かして美しく見せることを考えるべきではないか、コンクリートで作ったとして、形態をろくに考えずに作ってその表面に何か豪華に見えるような物を張りぼてで貼り付けるのではなくて、その素材の質感や工法から出てくる形その物を活かして美しく創るべきだというようなことなのです。 バウハウス流のデザインの特徴を観るならば、模様などに頼らずに、美しいプロポーションであるとか、幾何的なわかりやすく単純化された形態の構成のバランスや対比の美しさへと抽象化する考え方があるように思います。 「国を超えて、世界的に統一された様式をもたらす」とは共通の工業的基盤を持つ段階に入った世界の文明の中にそのような美しさを共通の言語として通用させようではないか、偏狭な思想を超えて共通する根源的な価値観を見出して行こう、という発想があると思うのですが、確かにおっしゃるような弊害はあります。ですから後年「ポストモダン」という運動の中で批判されて装飾であるとか象徴的な形態であるとか、民族性、地域的な風土や伝統様式が見直されてもてはやされたのでしょう。 個人的な物とか抽象化しきれない物をおしなべて否定するべきではないですね。
お礼
私はだいぶ勘違いをしていたようですね。 大変分かりやすい解説ありがとうございました。 とても参考になります。