中部電力の社員の主張は、おおよそ次のような内容だったと記憶しています。
1.原子力発電のリスクが過剰に捉えられている。
2.福島第一による放射線の直接的な影響で亡くなった方はいない。
3.それは今後5年、10年経っても変わらないだろう。
上記3.項の直後に「嘘だ!」「嘘をつけ!」という聞くに耐えないヤジが飛びました。
まず2.項についてですが、他の方も回答されているように、放射線の直接的影響で亡くなった方は1人もいません。それは、致死量に及ぶ放射線を浴びないよう、作業員であれ一般公衆であれ、適切に扱われたからです。
ただし、最近、元請である東京電力の目を盗み、線量計を鉛で覆って浴びた放射線量を誤魔化し、作業を続けることによって請負金を稼ごうとした事例がありました。累積線量がどの程度になるのかデータを持ち合わせていませんが、影響については注視していく必要があります。
1.項について
私はその方面の専門家ではありませんが、リスクとは「事象の重大性」と「事象の発生確率」の積(掛け算)だと聞いたことがあります。
事象の重大性については、前記で述べたとおり、福島第一の爆発に伴う放射線被曝によって犠牲者は1人も出ていません。一方で、最近発生した九州地方の豪雨災害では、20万人以上の人々が避難を余儀なくされ、さらに9人もの尊い人命が失われています。(数字はいずれもニュースで見た記憶です。正確には違っているかもしれません)
同じように住民の避難を要する事故・災害が起こりながら、豪雨では簡単に死者が出てしまい、逆に福島では出ていません。これを冷静に考えると、確かに中部電力社員の言うとおり、原子力のリスクが過大に見積もられていると言えるでしょう。
事象の発生確率については、原子力工学の専門家に聞いてみると良いと思います。なお、豪雨災害は最近よく目にする気がします。
3.項について
福島第一の放射線の影響によって、住民の方々に健康被害が発生する確率が将来的にも低いのではないかということは、専門家の間でもよく指摘されます。
その理由としては、まず放射線に関する国の暫定基準および基準が非常に低く設定され、マスコミの反応もあってそれが厳格に取り扱われていること、さらに人々が放射線被曝を過剰に恐れるあまり、受診率が今後上がるだろうということも考慮しています。
放射線被曝に関しては、100ミリシーベルト未満の被曝では健康影響を特定することができません。それよりも喫煙または喫煙者の副流煙や、偏食、ストレスなどの方が癌になる確率が高くなります。また、低線量被曝は逆に健康を増進するという動物実験結果、広島・長崎の原爆被爆者の生存データ等が報告されており、『放射線ホルミシス効果』と呼ばれています。
以上、回答が長くなりましたが、上記3項目により、私個人としては、中部電力社員の主張は正論だったと捉えています。
お礼
回答ありがとうございます。 あの発言が正論だったというのは、にわかには認めたくないですが、他の方の回答も含めて考えると実はそうなのかなとも思います。 ちょうど今日、知人からの連絡で河北新報の1面に載った記事を読みました。避難中に亡くなった方は放射線の直接的な影響ではないのですが、うまく議論のすり替えがなされていました。河北新報は、バリバリの反原発で毎日新聞系列の地元紙だそうです。 放射線ホルミシス効果については、あたしも調べてみたいと思います。 科学的に筋道立てて教えていただき、ありがとうございました。