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原発を止めてる時と動かしてる時のリスクの差は?
なんか定期検査か何かで原発を止めたまま再開できないと聞きますが、それは運転中に緊急停止した原子炉のソレと違うんでしょうか? 例えば大地震で電力が全て失われる事態を想定した場合、何か決定的な違いがあるんでしょうか? もしかして・・・発電をするしないに関わらず、原発本来のリスクにさほどの違いも無いとしたら、今原発を止める事に心理的な理由以外の意図があるんでしょうか? これは原発交付金の上積みを狙うストでしょうか?電気代の値上げとは、そのコスト増でしょうか?
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核燃料が炉心に入っているのならば、運転中も停止中(制御棒挿入中)もリスクは殆ど変わりません。差が有るのは、運転中は温度が高く炉心の水は沸騰していて蒸気が循環してタービンを回して発電しています。冷温停止(停止中、制御棒挿入中)は水の温度が100度以下に成った状態である状態言います。実は冷温停止といっても燃料棒は膨大な崩壊熱を出しています。この崩壊熱を冷ましてあげないといけません。 http://darylfranz.tumblr.com/post/3948700593 これは崩壊熱の量です。制御棒挿入後1時間で原子炉運転出力に対する比率で約1%強の崩壊熱がでます。たったこれだけの熱でも炉心が簡単に溶解します。1年後でも0.2%ですが、電源が喪失して崩壊熱が除去されない場合、核燃料は加熱を始め、ジルカロイ製の被覆管の急速な酸化(~1200℃)、(同合金の)溶融(~1850℃)、そして燃料自体の溶融(~2400-2860℃)などの望ましくない事態が発生することになります。すなわち福島原発で起こったことが起こるってことです。福島では炉心溶解まで8時間程度でした、仮に運転停止から長時間経っていれば出る崩壊熱が少ないので炉心が危険になるまで時間が数倍違うこととなります。したがって対処できる時間が長くなる分、炉心溶融が起こる可能性は低くなります。すなわち外部電源を復旧させる時間的余裕が増えるってことです。 したがって、根本的に燃料棒が入っている限りリスクはあるってことです。実は他にも問題があるのです。それは使用済み燃料棒も冷却しないと行けないのです。使用済み燃料棒は原子炉建屋内のプールに沈めてます。使用後5年間冷却して崩壊熱を取ってあげます。5年経過後最終処分されます。処理後でも暫くの間(30万年に対しての暫くの間ですの人間したら膨大な時間です)100度以上の崩壊熱を出してます。 結局原子炉が安全に成るには、燃料棒を使いきって5年間崩壊熱取って上げて原子炉が撤去してから安全になるのです。実は、取り敢えず運転して燃料棒を使い切るのを最低しないと駄目なので止めてても意味が無いんです。 原発を止めてる時と動かしてる時のリスクの差は?については以上です 他に質問あれば判る範囲で書きます
お礼
ありがとうございます。 私は当初、原子炉の再稼働はさほど問題視されないだろうと考えていました。しかしメディアを通してみると、これが思いのほか難航しており、かつ「運転中=危険・運転停止中=安全」というステレオタイプな思考停止が蔓延してはいないかと疑った次第です。 原子力はデリケートなテーマですし、あえて今は世論に反論しないのかなぁとか、原発交付金(つまり保険料率ですね)の再査定が背景にあるのかなぁとか思った次第です。 燃料棒に関するご説明、大変参考になります。 原発は(同上の理屈から)運転していたほうがいいと言った学者か政治家がいたと思うのですが、失念してしまいました。(メディアに黙殺されたのかなぁ)。