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藪の中ー殺したのは誰だと思いますか?
1922年に発表された 芥川龍之介の小説「藪の中」 http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/179_15255.html 若者を殺したのは誰だと思いますか? いろいろな意見を聞きたいと思っています。 私は若者本人、つまり自殺だと思っています。 最後に近づいてきた者はドッペルゲンガーではないでしょうか?
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『薮の中』は、結局真相は分からない、という言葉の代名詞のように使われていますから,1の方の回答もありでしょう。 しかし、素直な読者が,犯人探しをしたくなるように書かれていることが、作者の工夫です。 その上で,犯人が分からないようにも書かれています。 さらに、読者の文化教養や精神,所属している時代や社会次第で、登場人物の誰かが犯人であるかのような推論が出来る様な、絶妙な設定でも書かれています。 例えば,ドッペルゲンガーという概念を知った人が,若者本人と推論を立てたことも、芥川龍之介が想定していた読者の一人だったのかもしれません。 しかし、女性の貞操に不信感を持っている男性や、またはその逆の女性の貞操に完璧な信頼を置いている人も,真砂を犯人とするかも知れません。 また、多襄丸を犯人にしたいと言う人は,何らかの理由をつけて,彼を犯人にします。 ☆ ☆ ☆ ですから、犯人は芥川龍之介だ、という、考えもありでしょうし、読者という意見もあるでしょう。 ☆ ☆ ☆ ちなみに,江戸川乱歩は、「登場人物ばかりでなく,作者を犯人とする推理小説はあるが,読者を犯人とする小説は,未だ無い。」と言っていました。 江戸川乱歩でさえ,読み切れなかった、高度な理由がほかにあるのかも知れません。 ☆ ☆ ☆ 一般語まで創ってしまった小説,ということが、凄いと思います。
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乞われていないのに,再答します。もっと若い質問者だと勘違いして,上から眼線で書きすぎたと、反省しています。 30年以上,凄いです。感激しました。 僕も,あなたの言われるように,芥川作品を読むと「心情」にも「深情」にも「真情」にも触れるような気がします。 短篇で、時間も本代も掛からないのに,深い印象や輝きを放ち続ける、最も経済的な小説作品です。 一度覚えたら、忘れられずに、無限のリフレインを生む,尾崎豊のようです。 とはいえ,経済的だから読んだわけではありません。 僕は,『薮の中』を読む時には,全く同じ時期に書いて発表した『神々の微笑』が脳裏に浮かびます。 すると,『薮の中』の鋭利な日本刀が醸してくれる狂気の(様な)文化ばかりでなく,日本の国土に踞っているマグマに触れるような気がします。 映画は,欧米でも評価されうる,軽薄さに満ちています。 その軽薄な工夫が無いと,映画ビジネスとしては成り立たなかったのでしょう。 芥川作品というよりも,黒沢作品としてみられた方が,賢明かと思います。 とはいえ,映画の『羅生門』さえ、半世紀以上前のものです。 複製の一つに過ぎない映画ですら長い命脈を保てる原作とは,なんて凄いのでしょう。
お礼
再回答ありがとうございました。 文章にすると、受け止め方は様々なので、 心配することもありますよね。 私は上から目線だとは思っていませんのでご安心を。 おかげで、探していた小説がわかりました。 「神々の微笑」です。 もう10年以上も前にラジオの朗読番組で 前半の部分だけ聞いたことがあります。 芥川のファンでありながら未読だったので、 いつかは読もうと思いつつ、 子育てで謀殺されているうちに題名をすっかり忘れてしまいました。 いつかこのサイトで小説の題名を聞こうと思っていたのですが、 pinaisa-laさんのおかげでその必要もなくなりました。 実は昨晩、この「神々の微笑」の内容を子どもと話していたので、 なんか、不思議な感じがしています。 私の中では 「藪の中」は日本近代文学の最高傑作品なんです。 また読んでみます。 回答ありがとうございました。
犯人が解らないから「藪の中」です。
お礼
回答ありがとうございます。 30年以上何度も何度も読み返しています。 読むたびに新鮮さをおぼえます。 内容そのものを楽しみ、 人間の心情に触れます。 短編でここまで書ききってしまう芥川に 末恐ろしいものすら感じます。 「藪の中」は一般語にまでなっているのですか・・・ もっとも私もよく使いますが。 この小説を知らない人は「?」のようです。 そういえば、映画ではどういう結論にしたのでしょう。 やはり、自分で考えてね、ということでしょうかね。