生物種の固有の性質や習性は、個々の性格差をはるかに超えているというのが
生物学的な見解(動物生態・行動学)となります。
ネコ科の動物の習性は、肉食獣の基本形とも言える【単独性】であり、オスもメス
もそれぞれが「縄張り」を持ち、その中で狩りを行います。
繁殖期のみごく一時的にカップルをつくることもありえますが、普段は他の個体が
縄張りに侵入することを大変嫌います。
子育ては、メスのみが行なっており、成長したら我が子といえども縄張りから追い
出します。
追い出された兄弟姉妹たちも、それぞれに分散していきます。
娘ネコは、母ネコの近くに縄張りを得ることもありますが、息子ネコはうんと遠くに
離れることが多いですね。
(近親交配を避けるための重要な習性でもある)
母親代わりにエサを与えてくれる飼い主さんに甘えることはありますが、元から孤
独生活者ですので、置いてきぼりにされたからといって、寂しがるということは少な
いでしょうね、成ネコの場合は。。。
狭い室内に【★閉じ込められたこと】が主なストレスになります。
一方イヌは、【★取り残されること】がストレスになります。(特に車内など・)
これは、イヌ科の特徴的な習性です。
イヌ科はイヌ・オオカミ・コヨーテ・ジャッカルなどのようにはっきりとしたランキングの
ある社会をつくるグループと、タヌキ・ヤブイヌ・キツネなどの一夫一婦制のグループ
に大まかに分けられます。
前者は、先に草原に進出した大型草食獣を追うかたちで、草原生活に適応したもの
と考えられています。
集団で獲物を狩るため、長時間の脚力に優れる一方で、獲物の種類によっては、相手
の群れを分断させる役、フェイントをかける役、待ち伏せする役、~といった具合に複
雑な役割をそれぞれが分担することもあります。
オスは、「第一位のオス」に従順であり、メスは「第一位のメス」に従順です。
第一位のオスとメスが最も容易に繁殖しますが、他のイヌたちは、どの子イヌに対して
もおよそ好意的であり、威嚇もまずしませんね。
対立する群れであっても、相手が子イヌであれば寛容です。
後者は森林性であることから、原始的な形態とネコ的な性質を残していますが、それで
もネコ科と比べたなら、つがい関係も母子関係もうんと濃厚ですね。
こうしたことから、イヌは孤独ではいられない動物であるといえるでしょう。
ネコは、ちょっと気に入らないことがあると家出することも多いですが、イヌは、なかば
虐待のような仕打ちを受けても、じっと耐え続けることもありますね。
(元 飼育屋)
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ありがとうございました。