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電車車両の寿命
昔、JR東日本(東日本旅客鉄道)で209系が登場した際、電車の寿命が10年ほどと聞いた覚えがあったんですが、あってますでしょうか。 正しい場合、まず209系に限らず最近の電車はそのような感じなのでしょうか。 また、その「寿命」というのは、具体的に何が使えなくなるとか悪化しているとかで、改造や交換などのメンテナンスをしても営業運転は難しいものなのでしょうか。それとも、メンテナンスや改造をするより一から作った方が安いのでしょうか。 すみません、お詳しい方がいらっしゃいましたら、色々と細かく教えていただけましたら幸いです。
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まず、電車の形をイメージして下さい。 __________ |_________| ○○ ○○ もし、これが乗用車のような薄い鉄板で出来ていて、そのうえラッシュ時に定員の2倍超のお客さんが乗ったとしたら… 車体中央が撓んでしまいますよね? その上、何両も連結するので前後の引張力にも耐える必要がありますし、衝撃にも耐えうる強度が必要でしょう? ですから鉄道車両の筐体は必然的に相当丈夫に作る必要があり、太い骨材と分厚い鉄板で組みあがる事になるので、結果的にとても丈夫で長持ちする物になるのです。 なお車両の耐用年数は、物理的耐用年数と経済的耐用年数(後述)を考える必要がありますが、少なくとも物理的耐用年数は新幹線車両でも20年超、車体のストレスが少ない普通鉄道(在来線)車両では手入れ次第では60年は持ちます。 ただし鉄で出来ている物体の宿命で腐蝕による劣化が必ず起こりますので定期的なメンテナンスは必須で、また当然多少の腐蝕は起こりうる事を前提として必要最低限の強度を上回る厚さの鉄板や骨材を使用する事になり、必要以上に重くなってしまいます。しかしそれでもメンテナンスを怠ると寿命も短くなります。 そうした問題の解決のため、最近の車両はステンレス製のものが増えました。工作は難しく材料代も高いので製造コストは高くつきますが、腐蝕による劣化を考えずに済むので薄くて軽い車体にする事ができ、メンテナンスのコストが殆どかからない上、軽量化によって動力費(電気代や燃料代)を抑える事ができ、そのうえ線路に与えるダメージも少なくなるので線路の保守費用も抑えられるなど、さまざまな利点があります。なおステンレス車体も経年により金属疲労のような状態になり、やがて寿命を迎えますが、その時まで車体は殆どメンテナンスフリーと言ってよい代物です。 そして、お待たせしました、電車の寿命です。 先ほど申し上げた通り、メンテナンス次第では60年は持つ、と申し上げましたが(実際に60年以上長生きした鉄道車両はいくらでもあります)、実のところ長持ちした車両も外板などは相当な部分が張り替えられていたりしますし、内装はもちろん、床下にぶら下がっている機器類もかなりのものが取替られています、車輪もまず取り換えられていますから昔日のスポーク車輪など一部例外を除いてはお目にかかれません。古い車両も車輪はたいていの場合「タイヤ」と「輪心」が一体となった現在主流のタイプのものに取替えられています。 つまり、長生きしている車両にはメンテナンスに相当なコストがかかっており、またそうしたメンテナンスを行う事が出来る技術を持った人材も必要(人件費、養成費などのコスト増大要因)となるわけです。 そこで鉄道会社それぞれの経営姿勢が反映され、それらが経済的耐用年数に結びつくわけです。 平たく言えば、 (1)【作るコストを大きくし、メンテナンス費用を抑える】 VS (2)【メンテナンス費用を大きくし、作る費用を抑える】 という事です。実際の所JR東日本は前者の立場、JR西日本は後者の立場、という事が最早通説となっています。 なお、鉄道車両の減価償却期間は今では24年が普通で、13年というのは一部の「コスト半分、寿命半分」というJR東日本車両に対する特例だったかと記憶しています。 (蛇足ながら209系が登場した時、マニアから「走るンです」と渾名されました) そして、例えば建物等が減価償却期間の倍は持つ、等と言われているのと同様、やはり鉄道車両もその倍ほど持っている例は数多あります。 最後に、思いつくまま(1)と(2)の得失を記述しておきます。 (1)の利点 ・メンテナンスコストが安上がり ・常に最高性能の車両を投入する形になるのでスピードアップがし易い→競争力↑ ・同じ理由で旅客接遇面の品質向上が容易→競争力↑ ・同じ理由で省エネ効果大→動力費↓ (1)の欠点 ・新製コストが高くつく ・固定資産税が高くつく ・メンテナンス要員を減らすがため、技術力低下を招く ・伝統的技術を生かせず、初期故障などのリスクが増大 (2)の利点 ・新製コストが安上がり ・固定資産税が安上がり(減価償却期間を過ぎた車両は基本的に固定資産税がタダ) ・人件費はかかるものの、メンテナンスに必要な技術力が維持できる ・ある程度古い車両の方が現場サイドの慣れや蓄積した技術により案外故障は少ない (2)の欠点 ・メンテナンスコストが高くつく ・一部新車両を投入しても同じ線路を遅い旧車両が走っている状況ではスピードアップは困難 ・車両の内装など多少手をかけても陳腐化は否めない ・車両の省エネ性能が劣る場合がある
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- GINGA0730
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JR東日本が設計した新型車両は、寿命を短くして製作コストなどを抑えています。また、寿命を短くすることで最新の機器を搭載した新型車両に次々置き換えることができるので、乗客からも喜ばれるためです。車で言えば、カーナビの無い車に乗っているようなものですね。 209系以降のJR東日本の新型車両は基本10年寿命に設計されています。 寿命が経過しても改造などすれば寿命の倍は走れます。ただ、その改造費に新型車両製作費の4分の3を注ぐので、僕は一かた造った方がいいと思いますが・・・。
お礼
なるほど、確かに私もそんな話なら変える方で話を進めると思います。 ありがとうございました。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40F03401000015.html 上記リンクの別表第一「車両及び運搬具」のところをご覧いただくと、電車車両の耐用年数は13年、とあります。ただ、ここでいう耐用年数とは税法上の減価償却期間(あくまでも計算上の数値)を指すのであって、実際にはそれ以降も、だいたい30~40年くらいは使われる車両が多いです。もちろん13年を超えて使ったらダメとか、何か問題があるということは一切ありません。 1993年に209系が登場した頃のコンセプトは、「減価償却期間中の13年間はメンテナンスフリーとして余計な出費を避ける。減価償却終了後は、その時の情勢に応じて機器更新か廃車かを選べるようにする」というものでした。もちろん機器更新すれば長く使えますが、仮に13年で廃車にしても経営への影響が出ないようにするという狙いがありました。これがいわゆる「寿命半分」「寿命10年」などと呼ばれるようになったものなので、「寿命」というとちょっと意味は違うかもしれません。少なくとも、10年たったら使い物にならなくなるとか、安全上問題が出るとか、そういうものではありません。 で、実際に約13年たったわけですが、似た系列のE217系やりんかい線の70-000系などは、まだまだ活躍できそうということで機器更新の道を選びました。一方、209系は0番台を中心にかなりの車両が廃車になりました。決定的だったのは、京浜東北線の混雑緩和のため幅広車体の導入が急がれていたことかと思います。機器類なら交換すればある程度は何とかなりますが、車体幅とか、ドアの数というものだけはどうしようもありません。逆にいえば、仮に209系0番台が幅広車体だったらE217系と同じ道を歩んでいたかもしれません。しかし、その時の情勢で活躍の場がなくなったので廃車になった。ただ、経営への影響は出ない。すべては想定どおり、計画どおりというわけです。 ところで、電車の車両にもその時・その年代によってトレンドやニーズがあります。1990年代は、徹底的なコスト削減によって車両の代替サイクルを早め、結果的に新技術(省エネなど)や新サービスの導入を進める、というコンセプトも1つの考え方としてありました。しかしこれは、最近ではあまり流行らないようです。 たとえば、機器を二重系統化したり衝撃吸収構造を用いたりして安心性を高める。車内に空気清浄機や防犯カメラをつけたり、座席を改良したりして快適性を高める。最近のこうした取り組みは、1990年代のコスト削減志向とは明らかに逆行するものです。また、視覚・聴覚・触覚など様々な面からのバリアフリーへのニーズ。こうしたものも1990年代にはない発想でした(初期の209系には車いすスペースすらありませんでしたので)。そうなると1両あたりのコストは徐々に上がり、早期の代替は難しくなっていきます。また、特にJR東日本に関していえば、1990年代には国鉄から引き継いだ古い車両が首都圏でも数多く残っていましたので、これらを早急かつ一斉に取り替えることは省エネ、省コスト、サービス向上など様々な面から急がれていたと思います。しかし今はそれも一段落して、次から次へと急いで車両を新造する必要もありません。そういう意味からも、209系の頃と最近とでは若干流れは違うのではないでしょうか。
お礼
なるほど、寿命ではないんですね。 また、ニーズに合わせて迅速に対応されたりなどもふくまれていたんですね。勉強になりました。 ありがとうございます!
- tecnoritama
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私は、某鉄道会社で運転士(動力車操縦者)をしていますが、鉄道法規上・環境対策上の観点から説明します。 まず、JR東日本殿の209系製作上のコンセプトは、前述の方の通り、「コスト半分・寿命半分・電力使用量半分」です。これにはいろいろな理由がありますが、今、鉄道会社各社が抱えている課題として「環境への適合」「省エネルギー」「バリアフリー」「リサイクル」があります。 この4点をクリアする為には、短期的な車輛更新が必要となります。特に、環境への適合では、使用素材の規制(構体素材、制振材素材、シール素材、冷媒、線材、シート素材…ありとあらゆる物に係ります)、沿線への騒音・振動対策(新幹線電車ではこの課題がいつも必ずついてきます。)が年々厳しくなっていること、省エネについては皆さんご存知の通り、エネルギー効率の向上とCO2削減、そしてバリアフリーについては、法律で公共交通機関では特に細かく規定が定められています。この進展が近年著しく、その為、車輛更新時期に改造・修繕をして更新検査(全般検査。いわゆる自動車でいう車検です。)を国土交通省に届け出るよりも、いっそのこと新造して届け出たほうが、その時代の技術適合に合うとの考えからです。特に大手鉄道会社では、このような考え方にシフトしています。また、その際、廃車後の「リサイクル」「リユース」についても設計時点から、鉄道会社車輛部門と車輛製造メーカー担当者との綿密な検討が行われています。つまり、車輛製造=環境・バリアフリー・省エネ・リサイクルの基本の上に、新技術投入があるのです。 次に、車輛の寿命ですが、法規的にはっきり言うと「更新検査に合格できなくなった時点が寿命」です。 ですから、メンテナンス(鉄道では「検修」といいます。)を確実に行い、更新検査に合格する限りは使用可能です。が、実際は補修部品の供給年限があり、この年限を超えて部品調達することは極めて難しく、特にSL(蒸気機関車)の検修では、部品調達が出来ないので自社で鋳造して部品を作ったり、JR九州殿8620形の大修繕で話題となった主台枠の新造(日本車輌製造で当時の図面を基に現代の技術を結集して製作されました。前代未聞のことです。)をしてまで調達する程です。ですから、残そうと思えば残せますが、コストは莫大なものとなります。そこで地方の民営鉄道では、旧大手鉄道会社の車輛を譲り受けて使用している例があります。これは、更新に必要な検修を行い、最小限の費用で車輛を使用する手段として多く用いられ、40年以上も現役の車輛が多くあります。逆に、新幹線電車は高速で長距離を毎日酷使していますので耐用性の観点から概ね15年~18年程度となります。その意味で、300系新幹線電車の引退は、当然のこととなります。 以上のことから、大手鉄道会社では新製が多く、地方鉄道等では中古車輛の譲り受けでの使用が多く、SLや文化的価値の高い車輛は、可能な限り、部品を一から作ってでも使用する…ということになると思います。 今度、鉄道に乗車される際には、これらの裏方の事情・努力を感じて頂けたら嬉しく思います。
お礼
なるほど、法的なものもあるのですね。 また、私鉄会社も新型導入に限らず古い電車を改造しているのはそのような理由があったのですね。 とても参考になりました。ありがとうございます!
- こげ まぐろ(@koge-magu)
- ベストアンサー率59% (1010/1693)
こんばんは。 首都圏の私鉄で電車運転士をしております。 私の学科教習の時、教師から教わったことを記します。 現代の技術で作られた鉄道車両は、概ね30~40年は使えるモノです。 普段は予防整備で壊れる前に部品を交換しているのですが、数少ない故障事例を精査し、車種や部位、そして原因調査の結果、10年位経過すると故障が多くなってくるという経験を既に学んでいます。 昨今の鉄道車両はVVVF制御で交流モーターを制御していますが、この制御器には半導体を多く使用しています。使用している半導体は実際の所10年程度しか持ちません。 その為、車体はさておき制御装置は10年程度で更新する必要があります。これは鉄道会社の差異ではなく制御器の寿命の問題で、制御器の寿命に関してはどの鉄道会社でも同じです。 他の鉄道会社の場合は制御部分の更新で済ますのですが、JR東日本の場合は車両全部を総取り替えをするという考えを持っています。 制御器を取り替えるのではなく電車そのものを取り替えるという発想です。 その為、「寿命半分」とのキャッチコピーがあった209系ですが、決して10数年経過したから車体鋼体が寿命を迎え安全性に支障があるという訳では無く、10数年後に廃車にしても経営上は損はしない、そういう意味です。 制御機器を更新すれば、「寿命半分」と言われた209系でも、今までの鉄道車両と変わらず30~40年使えます。 なので・・・ >また、その「寿命」というのは、具体的に何が使えなくなるとか悪化しているとかで、改造や交換などのメンテナンスをしても営業運転は難しいものなのでしょうか。それとも、メンテナンスや改造をするより一から作った方が安いのでしょうか。 メンテナンスすれば、全然使えます。営業運転にも支障ありません。 また、制御器に使用している半導体は10年程度が寿命なので、その制御器を取り替えれば30~40年使用続けることも可能です。 勿論、一から作るより経費は安いのは言うまでもありません。 ただ、昨今、ホーム柵設置などの要望から、車両改造を行う事も多くなってきました。 そうなると無理に改造するよりも、将来展望も踏まえて設計して一から車両を新造し、現行車両を制御器更新時期に合わせて他の地区へ転用改造を行った方が、施工回数が少なく効率的な場面も出てきています。 同一時期製造の車両でも廃車になるのと、改造され継続使用される車両があるのは、転用先があるか無いかになります。
お礼
なるほど、車両自体はメンテナンスをすれば使えるものなんですね。 また、メンテナンスをして使い続けるほうが経費は安いのですね。 ありがとうございました。
- sss457180
- ベストアンサー率34% (398/1162)
>電車の寿命が10年ほどと聞いた覚えがあったんですが、あってますでしょうか。 JR東の車両はそのコンセプトで作ってます。しかしそれはあくまでもJR東の コンセプトであるため、全部の電車がそうであるというわけではありません。 >改造や交換などのメンテナンスをしても営業運転は難しいものなのでしょうか。 寿命により廃車されるはずの209系でしたが、お上の鶴の一声で 改造、交換などのメンテナンスをして千葉県房総で第二の人生を 走っています。なので、メンテさえすれば寿命は延びます。 JR西では国鉄時代の車両をきちんとメンテしながら使い続けてます。 >一から作った方が安いのでしょうか 経営方針によると思います。同じような車両を大量生産することで コストを下げることができます。JR東は自社工場を作り、これで経営してます。 自社だけでなく関東各地の私鉄や海外にも同じようなコンセプトの車両を製造し 販売しています。大量生産によるコスト削減。家電製品や自家用車などと同じ 考え方ですね。 また、昨今の技術革新によりメンテしながら使い続けるより新技術を導入した 新しい車両を作ったほうが良いという世の中の動きもあります。 ブラウン管から液晶テレビになったり、ガソリンからハイブリッド、電気自動車 と世の中が移り行くように。 もちろん、それにはある程度の資金を持った会社でないとダメという制限は ありますけど。
お礼
なるほど、JR程の資金のある会社だからこそできる、メリットの出せるやり方なんですね。だから、JRと似た車両が多少デザインを変えて私鉄でも登場したりしている(大量生産してコストを抑えた車両を私鉄が導入している)のでしょうか。都営新宿線や相鉄線に乗る機会があったときに、山手線や総武線の黄色い電車に似てる気がする、とちょっと思ったもので。 ありがとうございました。
- kuma-gorou
- ベストアンサー率28% (2474/8746)
JR東の通勤電車の基本コンセプトです。 製造コスト半分・寿命半分・電気使用量半分との考え方です。 ゆえに、基本設計以外、溶接等車体の製造仕様はメーカーで微妙に違います。 まぁ、地方に行けば、半世紀も前の車両も走っています。 つまり。メンテで延命は図れますが、新しい技術を取り入れる事は出来ません。 要するに、延命はせずに、その時代の使える技術を積極的に取り入れて行く。これが、JR東の考え方なのです。
お礼
なるほど。個人的には新技術を早いサイクルで入れ替え導入していくというその考え大好きです。やっぱり昔の電車と比べて早いんですね。埼京線と京浜東北線を比べて確認もせず納得してましたが、明確な知識を付帯出来て助かりました。ということは、メーカーの差で改造したりなんだりして使用できるものがあるから、千葉の房総・成田方面や八高線や南武線に今でも使用されてる209系やりんかい線の電車があったりするんですね。 ありがとうございました!
- E-FB-14
- ベストアンサー率14% (401/2862)
矢張り金属疲労などで車体にゆがみが出てくるのでは・・・・・・・・ 乗用車などと違って短期間で長距離を走るために 憶測の域をでませんが
お礼
なるほど、そうなんですね。アルミ合金という素材が関連してるんですかね。ありがとうございました!
お礼
なるほど、ありがとうございました。 たしかに大阪に遊びに行ったときに見てきたので、わかりやすい例えでした。 車両自体は使えるのが前提で、あとはどうするか、という話なんですね。 ありがとうございました。