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ギリシャが破綻したあと
ギリシャが破綻したあとはどの様な為替変動が予想されますか? ユーロは下がり出して、ますます円高が予想されますが。
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ギリシアの破綻だけなら円高は今の水準で推移し、事態が沈静化すれば120円くらいまで戻ることもあるでしょう。しかしギリシアの破綻がそれだけでとどまるというのは、楽観的すぎる予想だと思います。 まず「ギリシアの(経済)破綻」という言葉の意味ですが、ギリシア経済は他のユーロ圏の国の支援なしにはやっていけない状況にあるという意味ではすでに破綻しています。次のステージは他のユーロ圏の国の支援が追い付かず、ギリシア国家が支払不能(デフォルト)になるという状況です。 具体的にはギリシア国が発行した国債が大幅に割り引かれるか紙屑になるのですが、これにより資産としてギリシア国債を保有している多くの銀行が損失を被り倒産するところも出るでしょう。とうぜん連鎖倒産も起きます。ギリシア国内では預金封鎖もあるでしょう。ただ、ここでとどまるならリーマンショックほどの影響もないでしょう。というのも過去にアルゼンチンがデフォルト宣言をしましたが、国際経済への影響は限定的だったからです。ここで収束すれば円高は今の水準が最高で、あとは円安に振れるでしょう。 しかし、多くのエコノミストはこれでは済まないと思っています。最悪ユーロそのものがなくなるかもしれないのです。脅威はふたつ、他のユーロ圏国家の経済破綻誘発と経済難民の大量発生です。 ギリシア国家経済破綻の恐ろしいところは、ユーロでつながっている他の国の経済破綻を誘発する恐れです。とくにイタリアとスペインがデフォルト宣言をするような事態になるとユーロそのものが消失しかねません。こうなると欧州は再び国ごとに違う通貨を設定する経済に戻らざるを得なくなります。欧州経済は今の半分以下の規模にまで縮退するでしょう。円は新マルクと為替設定することになりますが、ドイツが被る経済負担次第でレートは大きく変わります。 ギリシア国家経済破綻は経済難民を生じさせる可能性が高いです。これがドイツやフランス、そして世界にとってアルゼンチンの破綻や私企業であるリーマン破綻とは比べ物にならない脅威です。アルゼンチンは南米にあり周囲にリッチな国は無かったので国民の難民化は起きませんでした。リーマン破綻は多くの失業者や倒産をもたらしましたが、これらの問題は最終的には国家が援助救済することでダメージを拡散させました。 ギリシアは国民の20%が公務員であり元公務員の年金生活者も多いのですが、国が経済破綻すれば最終的には彼らは収入ゼロになります。公務員や年金生活者を相手にしていた商売もゼロになります。収入を失った国民は不満を爆発させて暴動を起こすでしょうが、本来それを抑える警察も軍も公務員ですから機能しません。暴動は破壊を伴い荒れ狂い、国をより酷い状態にするでしょう。 こうなると、あるいはここまで行かなくても、国家の将来に見切りをつけて、よりましな経済状態の国へ移り住もうとする人々がドイツやフランス、あるいは北欧諸国に押しかけることになり、各国で高まりつつある排他的民族主義と激しい衝突を起こし、経済的に大丈夫だったはずの国も、混乱に引きずり込まれることになりかねません。