まず想定されるトラブルをいくつか挙げますので、整理して下さい。
その(1) 査定から契約に至るまで・・・
買取専門店に査定に行く時は、あなた自身が『もういつ手放しても構わない』という状況になってから行って下さい。
『今は未だ売れない』という時に行っても、『本当の値段』は教えてくれません。
せいぜい『良いお値段』を言われて、気持ち良く帰って来れるだけでしょう。
ただし、その値段では買ってもらえると思わない方が良いでしょう。
なぜならば、買取専門店は『その時の相場(オークション相場)』を元に買取値段を算出しますので、『いつ売るか分からない、または直ぐには売らないお客さん』は真面目に相手しません。
ただし、本当に売るときには来て欲しいので、『高い価格を提示して戻って来させる』という手段を使います。
俗に『ブーメランを投げた』という隠語を使う場合もあります。
まあ、1週間も経ってしまえば『あの時はその値段で買い取れたんですけどね~』と言われて値段を下げられるのが関の山です。
これは『今の相場で買ってる相場師の元に、今は売れない人が行く』訳ですから、行く方が悪いんですよ。
その(2) 契約時の注意点
では直ぐに売れる状況で価格交渉する場合ですけど、この場合は『直ぐに売れる。 今日にでも車を置いていける』というのをアピールした方が良いでしょう。
これは上記に書いたのを逆手に取った商談方法で、買取店はこの状況に弱いのです。
なぜならば、『直ぐに売れるお客さん→直ぐにオークションに出せる→直ぐに換金出来る』というメリットがあるからです。
それに『今日このまま車を置いていける』なんて殺し文句を言われれば、『競合店にも行かない』ということですから、なんとか値段で納得させようと本気モードになります。
最後の最後で値段が決まったら、『自動車税とリサイクル料金は当然、別に返してくれますよね』と念を押して下さい。
軽自動車以外なら自動車税は月額で清算出来ますし、リサイクル料金は その車を解体にしない限り あなたに返さなくてはならないものだからです。
ほとんどの買取店は『この値段の中にそういうのも全て込みです』と言うでしょうから、決まった額から約2万円を引いてみて下さい。
自動車税の戻しとリサイクル料金で、おおよそ2~3万円になります。 (車両の大きさや排気量にも寄りますが・・・)
その価格で納得出来なければ、契約しないことをお勧めします。
その(3) 支払いについて・・・
買取専門店の相談で一番多いのが支払いについてです。
最近の“ちゃんとした買取専門店は現金払いをしません。
むしろ『現金で払う!』というお店の方が気を付けた方がいいでしょう。
なぜならば、“銀行振り込み”は第三者の金融機関(銀行)に、『○○年○○月○○日に、□□会社から誰へ、○○万円の入金が行われた』と記録が残ります。
これはお客様にもお店にも、非常に大事なことです。
しかし現金では“証拠”が残りません。
だから、ちゃんとしたお店(会社)ほど“銀行振り込み”をやりたがるのです。
ただ、振り込みまでの間、不安は残るでしょう。
そこである程度名の通ったお店(会社)をお勧めします。
例)ガリバー、アップル、ラビット、ハナテン、カーセブン、T-UP、カウゾーなど・・・
その地域に1~2店舗しかない会社や、中古車屋の買取は気をつけた方が良いでしょう。
その上で、売買契約書を交わし、裏面の“約款”も確認しておきましょう。
その(4) 名義変更について・・・
契約が済んで、車両を引き渡して、書類を渡して、お金が振り込まれる。
殆ど方は『これで無事に終了した』と思いがちですが、あともう一つ確認しなくてはならないことがあります。
それが名義変更はいつ、誰がやってくれるのか? という事です。
個人情報保護法ってご存知ですよね。
しかし車の売買の現場では、恐ろしいくらいに無視されているのが現状です。
通常の買取専門店では、そこのお店は名義変更を行いません。
それは無駄な経費と時間が掛かるからです。
では あなたの売った車をどうなるのでしょうか?
あなたの売った車がオークションに出された場合、落札するのは誰か分かりません。
そして落札した業者は、あなたの車と書類をオークション会場から貰います。
この時の書類とは・・・・
あなたの印鑑証明書と実印が押されてる書類、車検証など個人情報どころか、他人じゃ手に入らない重要書類なのです。
最近ではオークション会場で買った車両を、別のオークション会場で売るブローカーも増えています。
そうやって業者に転売を繰り返される度に、あなたの印鑑証明書と実印を押した書類が知らない人の手を渡るのです。
名前、住所、電話番号、生年月日、場合によっては住民票、戸籍謄本などが垂れ流し状態で流出するのです。
ではどうやって防げば良いのか?
これは契約の時に『ここのお店(会社)の名義に変えてから転売するなら契約します』と約束することです。
契約書にも一筆書いてもらい、同時に何という会社に名義が変わるかを聞くことが大事です。
ガリバーやアップル、ラビットなどは殆どがフランチャイズのお店です。
ですからガリバーやアップルという名前にはなりません。
有限会社○○とか△△株式会社になるでしょう。
まあ、『私は個人情報などは気にしません』という人なら良いんですけど・・・・
以上、長くなりましたが、私は某大手買取専門店で長年 店長をやって、今は某ディーラーで仕入れを担当している者ですので、参考になればと思い投稿させて頂きました。