床の補強が完全であると仮定して、床材をどうしようかと考えたときですが。。
音響を考えたときの考え方として、基本、音が跳ねないということだと思います。
その意味で、木材の床において堅木と言われる堅い樹種のものは音が跳ねやすく、柔らかいものは吸収しやすいと考えることが出来ます。
反面、堅木は床の強度が保て、比較的施工時の平滑さを保てます(不陸がない)、柔らかい樹種は加重による不陸を生み、ピアノのように水平を保つことを重要とするものに影響を及ぼす可能性があります。(あくまでも、可能性の問題です。)
ちなみに堅木の代表的な流通している樹種は、ナラ、ケヤキ、オーク(レッド、ホワイト)、ヒノキ、サクラ、バーチ、チークetc
柔らかいものとしては、パイン、杉、スプルース・・・。
こうしても、見ても堅木のほうが使用されている樹種が圧倒的に多いのは、床という性質がストレスに耐えられる強度を要求されるからですね。
さて、音の問題ですが、前述したように堅い樹種は跳ねやすい、つまり反響しやすいといった性質をもっています。音学において、音の聞こえ方で重要なのは、その音をリアルタイムに反射し遅延した音ではなくダイレクトに聴くということです。
しかしその意味で、木材は堅い柔らかい問わず反響しやすい側面をもっています。
余談ですが、現在わたしはマーチンのギターを部材で購入し製作中です。ギターに使われるボディーの表面、トップの樹種は柔らかいスプルースでバックの裏板はマホガニーなどの比較的堅い樹種です。
これはバックの板で音を表面に反射させ表面のスプルースで適度な振動、ゆらぎを表現させるためです。
ピアノも箱は木であり、音を適度に反射、ゆらぎを持たせ音を奏でているのです。
そのゆらいだ音がさらに環境によって、意図せぬ形で揺らいでしまうのはよろしくない、というのが基本的な考え方です。
じゃあ、どうするってことだよ!って、ことになりますが、以上を踏まえ要約しますと・・;;
樹種によって変わる音質のことは考えず、ピアノが精度よく設置され続けることを重要としナラ、サクラ、などの堅木を選択。その際、完全な無垢材ではなく、細かいピースで成形された集成財による無垢のフローリングとする。
(収縮、変形が少なく、ピアノに与える影響がすくない。)
その後、音質を求めるのであれば、ピアノ用の吸音マットを敷いたうえでピアノ設置をする。(床への傷防止にもなります)
以上が、わたしの考え方であります。ミソは音を揺らすのは楽器であり、環境でゆらしてはいけないと言う事と、楽器の性能を維持、発揮させるためには環境を変化させない性質の材料を選択するということであります。
長文になりましたが、御検討くださいましまし。。
お礼
ものすごく参考になりました。こんなに細やかに書いてくださって、感激しています。ありがとうございました。今後、大工さんと、この知識を持って話せるか、何も知らないで話すか、全然違うと思います。大感謝です。