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飛行機の速度はもっと上げれない?
ジャンボジェットの速度は900キロくらいみたいですが、 2000キロとか技術的に無理なんでしょうか?
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まず最初に知って置いて欲しいのは空気抵抗は速度の2乗に比例するということです。これは速度が2倍になると空気抵抗は2倍ではなく2×2で4倍になってしまいます。速度が3倍なら空気抵抗は9倍です。 技術的には可能ですが、現時点では経済的に不可能です。ジャンボなどの旅客機が900km/h程度の亜音速で飛ぶのには理由があるのです。ひとつは機体の構造、もう一つはエンジンの構造です。超音速で飛ぶためには衝撃波に対する対策が必要になりますが、じつはこれが結構厄介なのです。衝撃波は空気の当たる先端部分から発生(先端以外からも発生しますが)し、マッハ1(音速の二倍という意味であって時速何キロとかいう絶対的な速度ではない。空気の温度や密度などにより同じマッハ数でも速度は異なる)では先端から60°の角度で円錐形に広がる外側に衝撃波が発生します。この衝撃波の破壊力はかなり大きく、実際に超音速飛行の黎明期には衝撃波による破壊力が不明であったため、それを考慮していない機体が空中分解などの事故を巻き起こしています。衝撃波による破壊を避けるには機体を非常に丈夫につくるか、衝撃波の発生する円錐形の内側に入るような形状にするなどの工夫が必要です。そしてそれはコンコルドのような形状になるか、可変翼(速度や操縦状況に応じて翼の角度を変えられる機構。F-14などが有名)にするか、むやみに丈夫に作るかということになりますが、まずコンコルドのような形状にすると離着陸の速度が高くなり操縦が難しく、滑走路の長さも長く必要になります。可変翼形状では離着陸時には翼を開いて低速での飛行が可能ですので、滑走路の問題は回避できますが、機体が重くなることは避けられませんし、可動翼のため空気抵抗は可動装置をもたいない翼より大きくなります。当然それに対応するだけエンジン出力は大きなものが要求されます。むやみに丈夫に作るのは、言い換えれば重くつくることですから、これも燃料を大量に消費してしまい軍事用以外では採算が取れないでしょう。 エンジンについては、現在の旅客機のほとんどがハイバイパスジェットエンジンを使っていることに寄ります。旅客機のエンジンを見ると、前半分が太く、後半が細くなっていますが、実はターボジェットエンジン自体は後半の細くなった部分だけです。前半の部分にはファンと呼ばれる、大量の空気を吸い込みわずかに圧縮しそのまま吹き出す装置が入っています。現在の旅客機のエンジンではエンジン前面から吸い込んだ空気の8割から9割程度はファンによりそのまま噴射され、残りがエンジン内部に吸い込まれ燃焼しガスタービンエンジンとしてファンを回す動力として使われ、残りがジェットとして推進力の一部になります。ハイバイパスジェットエンジンは亜音速では極めて効率良く働くので、このようなエンジンになっています。ところが超音速を必要とする場合には、ハイバイパスジェットエンジンでは無理があります。これは推進力のほとんどをファンによる空気の噴射で得ているため、噴射速度自体がそれほど早くないからです。ノズルを絞ってやれば噴射速度を上げることは可能ですが、それでは音速以下での推進効率が極端に落ちてしまいますし、現存のエンジンのようにファン部分の段数の少ないエンジンでは無理で、ファンというよりは巨大な軸流圧縮器のような設計が必要になります。これもやはり音速以下では効率のひどく悪いものになります。このような方法では効率のよいエンジンを作ることは難しいのです。 実際はコンコルドでも、戦闘機でもほとんどの場合アフターバーナー(リヒートともいう)という推力増大装置を使って超音速飛行を可能にしていますが、このアフターバーナーは比較的単純な構造でエンジン推力を著しく大きくできるのですが、燃費が非常に悪くなるという欠点があります。超音速飛行に適した効率の良いエンジンがないのかというとそんなことはなくて、ラムジェットとかスクラムジェットというエンジンがあります。このエンジンはきわめて単純な構造で、円筒形のエンジン本体の中に衝撃波を発生させるショックコーンと燃料噴射装置・燃焼器があるだけです。空気を吸い込んで圧縮するためのコンプレッサーも、それを駆動するためのタービンもありません。そして要音速領域ではターボジェットエンジンよりはるかに効率が良くパワーもあります。しかし、ひとつだけ重大な欠点があります。超音速でなけれなばエンジンが掛からないのです。このエンジンはエンジン全面で衝撃波を作り、それを圧縮に利用しているため、衝撃波が発生する速度でなければ動作しないのです。したがってこのエンジンを使うには音速を超えるまで別のエンジンで加速してやる必要があるのです。こういった理由があるため、実用機でラムジェットを採用した機体はアメリカの偵察機であるSR71だけです。この機体は通常のジェットエンジンの前方にラムジェットエンジンを設けた構造で、通常のジェットエンジンで離陸し超音速に達したのちに、エンジン内部での空気の通路を切り替えてラムジェットエンジンとして働くようにしています。このような機構をもったため、この機体ではマッハ3という速度での巡航(最大ではなく巡航)が可能になっていました。ただ、余りにもデリケートな機体で、しかも操縦が非常に難しい(離着陸のような低速での飛行が難しい)ため、維持が難しく現在ではすべて退役しています。 そのほかにも高速になると空気との摩擦熱も無視できません。先に挙げたSR71では空気との摩擦により600度以上まで機体の温度が上がる部分があり、通常の飛行機に使う材料では耐えられないため、機体のほとんどを高価なチタン合金で作る必要がありました。温度がこれほど大きく変わるということは機体を構成してる材料の熱膨張も無視できません。地上で常温の時に隙間なくピッタリと作ってしまうと、温度が上昇した時に内部と外部で温度差が出るために、翼などの機体外面には金属が伸びたためにしわが寄ってしまうでしょう。それだけの速度で飛ぶとなると高度も現在の旅客機よりはるかに高いところを飛ぶ必要(空気が濃いとそれだけ抵抗も発熱も多くなる)があるため、宇宙船並みの機密が必要になります。乗客やパイロットが軍用の気密服を着るなら別ですが、機ないの気圧を保つことも容易ではありません。 そのほかにも難しい点はあります。要は料金をとって飛ぶには余りにも料金が高くなりすぎて、ごく一部の人しか利用しない物になっていしまうので、現在の旅客機のような運用はとても無理だということです。
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- Tacosan
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#7 に追加すると, スクラムジェットの制御は非常に難しく, 現状では「台風の中でロウソクの火を灯す」とまで言われています. また, SR71 は地上では隙間があるため燃料が漏れてます.
- x530
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2009年に日本とフランスの2国共同で、音速の4倍で飛行するCO2排出量0の極超音速機開発の研究を行っているむね発表がありました。 「東京=パリ」間を2時間半で飛行する航空機で、2020年を目途に試作機を完成させる予定とのことです。 もちろん、衝撃波の問題も解決し、燃費も省エネ飛行機です。 http://www.jwing.com/w-daily/bn2009/1113.htm http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2807359/7390620 なお、JAXAでは、2005年に超音速機の実験飛行を行っていました。 http://www.jaxa.jp/projects/aero/sst/index_j.html
- kuni-chan
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音速を超える事は経費の面で問題があるのはコンコルドが普及しなかった事が証明しています。 超音速で発生する衝撃波の対応は地上だけでなく機体にも大きな制約を生みます。今の機体設計では超音速飛行はできません。コンコルドの機体と今の旅客機を比べればよくわかります。 また小さな胴体は定員を少なくしますから、人気路線では輸送力不足になります。 技術の問題より、経費の問題でしょう。
- mimazoku_2
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無理じゃないよ。 ただ、速度が上がると、より高々度を飛行しないといけないし、飛行機の形状も矢印状に変形させないとね。 滑走路も長い距離が必要になってくるね。 エールフランスのコンコルドがそうだったじゃない。 マッハ2だよ。 でも、運行を、飛行を止めたね。
- Kon1701
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現在、旅客の速度は若干低くなってきています。効率よい大型エンジンで数を減らす方向にありますから。 時速2000Km、もちろん可能ですが、効率が悪くなりそうです。つまり、より多くの燃料が必要になって運賃が高くなります。また、超音速なので地上への影響があるため、速度を揚げられるのは海の上のみになるので、速度が倍だから所要時間も半分、とはならないです。 今の世の中、少しでも安く、という人が多いので、所要時間が6割だけど運賃は2倍、というのでは利用する人は限られて採算が難しいと思います。 ボーイング社が提案したソニッククルーザー、現行機より高速のものですが、これもすぐに中止になってしまいましたし。
技術的問題はありません。でも超音速旅客機がコンコルド以外に出ていないのは、燃費の問題だけではなくて、超音速飛行によって発生する衝撃波(ソニックブーム)のせいです。これ、騒音なんて生やさしいものではなく、窓ガラスが割れるほど強烈なので、アメリカのように広い国ですら、コンコルドは陸上で超音速飛行しちゃいかん!と規制がかかっていました。こんなものが日本みたいな人口密集地の上空をバンバン飛び回ったら、大変なことになりますよ。
コンコルドはマッハ2出しましたけど。 戦闘機ならもっと速いでしょう。
全然問題はありません。 追い風・向かい風でスピードは倍くらい違います。 ただ、 (1)燃費の問題。スピードを出すと燃費が悪くなる。 (2)時間の問題。空にいる時間を短くすると、ただでさえ過密と言われている空港の離着陸が混雑してしまいます。 そんなこんなで、500~1000キロ位で飛行するよう便数が組まれています。
お礼
皆様、回答ありがとうございました。助かりました。