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花なら桜。
いつの頃からだろう、桜を求めて旅に出るようになったのは。キオクの糸を手繰っても、あまり昔のことなので思い出せない。
毎年、桜の開花ニュースを聞く頃は腰が落ち着かない。今年もまた花に会えるという期待と、早くしなければ散ってしまうという焦りで、居ても立ってもいられなくなる。
花を求めて旅に出る。とくに京都が好きで、よく出向く。咲き始めと散り際と二度、訪れることもある。
私にとって桜は見るというより、出会うという印象の方が強い。気まぐれな恋人に会いに行くように、タイミングの計り方が難しい。そこがまた憎い。
「そうどすなぁ、昨日まで綺麗どしたけど、晩に雨が降りましたんで、だいぶ、散ってしもうて・・・・・・」
銀閣寺に通じる哲学の道の石畳が、花びらで覆い尽くされていた。小雨が降りしきっていた。茶店で買ったトウメイなビニール傘は、花びらのせいでピンクに染まり、すぐ''女物''になる。
雨に打たれた桜はそれこそ雪のように、はらはらはらと舞い散る。しばらく立ち尽くして見とれていた。花びらの中にすっぽり包まれて、異次元の世界に入り込んだようだ。
疎水に花びらが浮かぶ。土手の雪柳も満開でリスの尻尾のように、ぽてっとした花をつけている。
桜が散る。雪柳も散る。大粒小粒の''妖精の涙''が、花吹雪になって視界を遮る。
極楽のように綺麗だと思った。でもすぐに、極楽にしては美し過ぎるから、地獄かもしれないと思い直した。息を呑む華麗さの中に、何やら底知れぬ恐ろしいものが住んでいそうだ。人を誘い、閉じ込める不思議な絡繰り箱の中に迷い込んでしまったようだ。
思えば一年中、気分的には桜の花に閉じ込められている。当分、いや多分一生、私は桜の花から逃れられない。
只今、桜前線は北上中。
今年も花を求めて旅に出る。
お礼
ありがと うございました(*^^*) スゴク参考になりました! こんど友達に借りて みてみます!!