元印刷会社勤務です。
原稿にはだいたいのイメージで文字をいれておいてもらえればなんとかします。
活字にしたい文字は、鉛筆で入れておきます。
鉛筆書きの文字を、その文字と同じくらいの大きさで、入れたい範囲に収まるように写植屋さんが活字を組みます。この時出力される字は白い印画紙に乗っています。
印刷屋さんかデザイナー或いは出版社の方が、原稿の鉛筆書きを消して活字を貼り付けます。こういうのはアルバイトさんの仕事かもしれません。
フキダシの中に入っていなくても、原稿上に鉛筆で文字が入っていれば活字になります。斜めに入っていれば斜めに貼られます。
鉛筆書きではなく、ペンで文字を入れておけばそれはそのまま絵の一部として生かされます。
また、ベタの中に白抜き文字や白フチ取り文字が入ることがありますね。
写植屋さんからもらう字はみんな白い印画紙に黒文字ですから、貼るだけではいけません。印刷屋さんの多大なる協力があって望みが叶います。
作家さんは黒い原稿にどうやって文字を書いておけば良いかというと、原稿(部分的でも大丈夫と思います)の上にトレーシングペーパーをかけ、活字を入れたい部分に鉛筆で文字を書き込みます。
スクリーントーンや絵にかぶるように活字を入れたい時にも、同様の作業で活字が乗ります。
どうしても書体にこだわりたい場合には書体を指定します。この時もトレーシングペーパーをかけておけば解かりやすく、伝わり漏れも少なくなります。また原稿も汚れずに済みます。
具体的に指定するのも勿論良いのですが、書体を知らなくても「太く」「極太」や「かわいい字」「弱々しい字」「おどろおどろしい書体」など抽象的な指定でも、その道のプロが希望に合わせた書体をみつくろってくれるので大丈夫です。
また、作家の方で特に指定がなくても、編集部側で「ここは怒鳴り声だから太い書体を指定しよう」等臨機応変な判断が下ることもあるかと思います。
と、十数年前までの写植及び印刷事情で解説しましたが、今は印刷業界も漫画作家もパソコンを利用した技術の導入が著しく、どんなことになっているのやら解かりませんが。
ご参考まで。