特に期限は設けられていませんが、事故から10日前後までに届け出る方がスムーズです。
診断書の提出を受けた警察は、その内容と物件事故の記録などから受理・不受理を判断しますが、不受理とするにはそれなりの理由が必要ですから、ほとんどの場合受理されます。
警察は人身事故として受理すると、自動車運転過失致傷罪として捜査をしなければならず、実況見分調書・供述調書などの刑事記録を作成して、検察庁へ送付しなければなりません。刑事記録の作成は、司法警察職員という資格を持った警察官でなければならないため、特定の人に負担がかかります。ですから、警察官は軽傷であれば人身事故届け出を受理したくないという心理が働き、物件事故で済んでよかったと思っているところへ、遅れて人身事故の届け出が出されると、嫌みの一つも言いたくなるのです。
また、事故から初診が遅れた場合でも、医師は患者の申告通り診断書に「交通事故により受傷し」という文言を入れますから、診断書上は問題がありません。医師は診断書に事実でないことを記載(不実記載)すると処罰されますが、患者の申告を信じたことに過失がなければ、患者の申告が事実でなかったとしても不実記載とはなりません。
警察も当たり屋、保険金詐欺などの犯罪性が認められない限り、診断書を書いた医師に確認することはありません。
ただし、初診が事故から1カ月経過後である場合、警察が人身事故を受理したとしても、自賠責保険は事故との因果関係を否認して、支払いません。(これは正当な理由がなく、通院間隔が1カ月以上あいた場合も同様です)
さらに、診断書に全治2週間と書いてあっても届け出が3週間後であれば、全治3週間以上となりますので、加害者に科される行政罰が重く(加算点数が多く)なります。これは警察が受理を渋る表向きの理由としてよく使われます。