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核燃料棒について

福島原発では、地震と同時に制御棒が挿入され緊急停止になったということですが、熱が冷めるまで相当年月がかかると聞いています。素人考えだとすぐにでも冷める気がするのですが、何でそんなに時間がかかるのでしょうか。臨海の状態ではないにしても、核反応は続いているのでしょうか。また、冷やし続けないと臨海に近い状態に戻ってしまうものなのでしょうか。ご教示ください。

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  • okormazd
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回答No.4

制御棒が挿入された原子炉では、ウラン235の核分裂連鎖反応は起こりません。 したがって、核分裂による熱の発生はありません。 つぎに、連鎖反応を停止した後の原子炉の発熱は、ウラン235やプルトニウム239の核燃料の自然崩壊による熱ではありません。これらの熱も全然ないわけではありませんが、主要なものではありません。もし、これらが主要なものだとすれば、使用前の燃料の管理にも使用済み以上の冷却管理が必要になります。また、使用済み燃料を再処理してウラン235やプルトニウム239を取り出すこともできないでしょう。ウラン235の半減期は7億年、プルトニウム239の半減期は2万4千年です。これらの熱であれば、いつまで冷やせばいいんでしょうか。 いま壊れた原発で冷却に苦労している発熱は、核分裂生成物、クリプトン89、ストロンチウム89,90、イットリウム90、ジルコニウム95、ヨウ素131、キセノン133、135、セシウム137などをはじめとする、非常に多数の、数日以上の半減期を持つ放射性物質の崩壊による放射線エネルギーによる熱です。半減期が秒単位の短い物質の放射線は急激に減衰するので始めの発熱量は大きいが、数日も経てば問題にはなりません。 使用済み核燃料には、未反応のウラン235やウラン238が中性子を吸収してできたプルトニウム239がありますが、これらの崩壊熱も発熱の主因でないことは、原子炉内と同じです。発熱の主因は上記のとおり核分裂生成物です。未反応のウラン235やプルトニウム239を取り出して再利用しようというのが使用済み核燃料の再処理ですが、日本では再処理工場がうまく稼働していません。 半減期が数日から数年、数10年の放射線による発熱を冷やすので、期間は年単位が必要でしょう。 「冷やし続けないと臨海に」(臨界です) なることはありません。核分裂は温度上昇とは関係ありません。核分裂で熱は出ますが、その逆、熱によって核分裂することはありません。 ウラン235が臨界になって核分裂連鎖反応を起こすためには、 1. 熱中性子が必要なので核分裂で出てきた高速中性子を減速材で減速しなければならない。 2. 連鎖反応を継続させるためには、中性子が原子核にあたるように核物質をある量以上に集積しなければならない。 3. 核分裂物質の濃度がある程度以上高くなければならない。 などの条件が必要です。 1999年にJCOの臨界事故がありましたが、そのときはこれらの条件が満たされていました。ただし、使用済み核燃料ではなく、濃度も高く、水溶液でしたので減速材もありました。 天然原子炉もあるということなので、原理的に起きないというわけではありませんが、そのためには条件があるということです。 http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/02/02020314/02.gif http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%81%AE%E5%A4%A9%E7%84%B6%E5%8E%9F%E5%AD%90%E7%82%89

kenbone
質問者

お礼

色々とありがとうございました。核反応は日常生活の中での出来事じゃないので、頭の中で勝手に想像し理解しているので掴みにくいです。臨界に持って行くために、ウランを濃縮するとかの人間の力が必要なのですね。その技術も凄いなと思います。この領域の事象は、パンドラーの箱だと思います.あけてよかったのか、まずかったのか・・・。おかげさまで理解が深まりました。

その他の回答 (5)

  • jkpawapuro
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回答No.6

崩壊熱の利用 プルトニウム原子力電池なるものがあり宇宙探査機やペースメーカーに使われた歴史があるらしいですね。 ただβ崩壊は放射線が厄介だし、α崩壊による放射線なら遮蔽できるとはいえプルトニウムはあまり流通させたくないし、利用法はあるものの安全で便利な代物とは言い難そうです。

kenbone
質問者

お礼

もう実際にポータブルなものが開発、実用化されていたのでね。 これから先に時代にきっと放射線を気きっちり管理できる方法が見つかる気がしまし、そうなることを早く望みたいです。

  • kenchin
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回答No.5

>何でそんなに時間がかかるのでしょうか。 端的に言うと、燃料の中にあるU235が核分裂を起こして熱を発生し続けるからです。 核燃料はU235が3%位、U238が96%位、その他1%の中にプルトニウムだの諸々の核物質を含みます。 U235は空気中であろうが水中であろうがある種の核分裂を同じような速度で出して、自分自身が燃え尽きるまで強い放射線を出し、この放射線が燃料などを熱して熱を出すんです。 水の中につけようが空気を遮断しようが核分裂は止まらないので、U235が燃え尽きるまで(って表現をしますけど、実際は核分裂で他の物質に変化し終わるまで)冷やすしかない。 冷やすには水が最も効果的なので、現在は水を掛け続けてるってことです。 >冷やし続けないと臨海に近い状態に戻ってしまうものなのでしょうか。 99.9%再臨界はしないです。 良く誤解されるんですが.....。 臨界というのは「分解したU235から出たある種の放射線が他のU235を次々着火させ続ける」って現象なんです。 核分裂にも色々な反応があるんですが、原子炉で熱を取り出す時の反応はU235に遅い中性子をぶつけてやる反応です。 U235に遅い中性子を1個与えると、U235が核分裂すると同時に早い中性子が出る、この速い中性子を減速してやると遅い中性子が生まれて次のU235を分解させて......と、連鎖的に、ある種の核分裂が起きます。 これが原子炉の反応。  1)U235+遅い中性子→速い中性子  2)速い中性子+減速材→遅い中性子   で、ここで注意が必要なのは、「U235が自然に起こす核分裂と、遅い中性子で起こす核分裂はチョット違う」ってことです。    A)U235が自然に起こす核分裂は速度が上がらない=従って熱の発生はマイルド    B)U235が遅い中性子で起こす核分裂は速度が速い=従って熱の発生はハード ってことですね。 上の例なら、2)を起こしてやらないとB)の反応は起きない、つまり臨界は治まります。 でもA)の反応は水中であろうが空気中であろうが発生するので、崩壊熱=徐々に発生する熱が生まれ続けるわけです。 言い変えたら、原子炉は無理やりアクセルを踏み続けてB)の反応を起こす(核分裂を加速させる)ことで短時間に熱を取り出す装置なんです。 今の状態の燃料棒を再臨界させるためには、減速材を与えてやるかU235の濃度を上げてやった状態で、再度火種になる遅い中性子を与えてやる必要がある。 しかしこれがナカナカ難しい。 単純な空気や水では減速材になりませんし、U238と混じったU235は自然に濃度が上がったりしないので。(両者の比重差は極々小さいですから) また、そうなっても適切な着火源は自然界中には余り存在しないので。 と言う事で、再臨界は奇跡が3重に起きない限り「起こしたくても起こせない」状態です。

kenbone
質問者

お礼

送信ミスでお礼が遅れました。すもみません。臨界というのは、やはりヒトの意思、力がはいって達成される物なんですね。中性子のスピードをコントロールすることが重要だということもよく分かりました。とりあえず、今の原発事故で再臨界する心配がないというので安心しました。核分裂の解説も解かりやすかったです。ありがとうございました。

  • x530
  • ベストアンサー率67% (4457/6603)
回答No.3

> 素人考えだとすぐにでも冷める気がするのですが、何でそんなに時間がかかるのでしょうか。 ・ウランなど原子量の多い重たい元素は、すべてが不安定な元素で、時間の経過と共に、自己崩壊する性質があります。 この、自己崩壊にはα崩壊とβ崩壊があります。 ウラン238の場合は、α崩壊とβ崩壊を繰り返し、最後の最後は、自然界に存在する「鉛」になり安定します。 http://www.houshasen.tsuruga.fukui.jp/c0480982.html 厄介なのは、ウラン燃料は、この自己崩壊の際に発熱する性質があります。 ペレット(発電所の燃料で、大きさが単三電池の半分ほど)一個では、超高温になることはありません。 ですが、ペレットを詰め込んだ燃料棒などを、一カ所に大量にまとめておくと、地球上のほぼすべての物質を溶かす数千℃まで加熱してしまいます。 そうなると、鋼鉄製の原子炉圧力容器、原子炉格納容器、分厚いコンクリートまでも溶かし、その際に、放射性物質や猛毒のプルトニウムなどを撒き散らす危険性があります。 このウラン燃料の崩壊と発熱反応は大気中の方が激しく、水中では緩やかになります。 だから、今現在はの段階では、必死に、水を掛けて冷却しているのです。 今後、ある程度、崩壊が落ち着き、温度上昇が収まったら、いよいよ、核燃料を原子炉から取り出し、ガラス樹脂などでコーティングを行い、放射線量をギリギリまで減らして、地中深く(地下約420m)に埋設する事になります。 下記、地底処分場は急ピッチで建設中です。 http://www.numo.or.jp/q_and_a/03/01.html > 臨海の状態ではないにしても、核反応は続いているのでしょうか。 ・地震と共に、原子炉は停止し、核反応(臨界)状態は脱しています。 もしも、核反応(臨界)状態ならば、超危険な中性子が大量に吹き出すので、誰も原子炉に近づけなくなります。 > 冷やし続けないと臨海に近い状態に戻ってしまうものなのでしょうか。 ・はい。 燃料棒が溶けて(メルトダウン)、原子炉圧力容器の下部に大量に溜まれば、際臨界する危険性があります。 どんなことがあっても、たとえ、環境破壊や海を汚しても、再臨界だけは阻止しなければなりません。 もしも、再臨界状態に陥れば、チェルノブイリ同様、福島原発を中心に周囲50km圏内は、3万年ほど誰一人住めなくなります。

kenbone
質問者

お礼

極微細な素粒子の世界の出来事が、こんなにも強力な高熱を発すること自体不思議だなあと思います。決して踏み入れてはいけない神の領域に踏み込み、パンドラーの箱を開けてしまった気がします。放射線というまだ人間がコントロールしきれない難題が原発には残されているのだと思います。今回の事故が、これ以上被害を広げることなく収束することを祈ってます。 おかげさまで理解が深まりました。ありがとうございました。

  • RTO
  • ベストアンサー率21% (1650/7787)
回答No.2

冷めません 放射性同位体が勝手に崩壊しその際に熱が出ます。 これは化学反応である燃焼のように「一度冷やしたら止まる」あるいは「「酸素を断ち切れば止まる」ものではありません 冷やし続けない場合 熱の逃げ場がありませんので 臨界に成る前に燃料棒が溶けて制御不可能になります

kenbone
質問者

補足

臨界状態の稼動時は、炉心温度は何度くらいを維持しているのでしょうか。もし分かればお願いします。

  • jkpawapuro
  • ベストアンサー率26% (816/3045)
回答No.1

核分裂は完全に終わってます。 ですが核分裂といっても一度でウランが完全に安定な物質になるわけではなく、分裂直後は不安定な放射性元素になりそれが徐々にベータ崩壊していきます。 そのベータ崩壊の過程で熱を出します。 冷やし続けないと原子炉も格納容器も建物も何もかも溶かしてしまいます。

kenbone
質問者

お礼

早々にありがとうございました。崩壊熱ということを知りました。安全で日常に使える温度ならカイロや部屋の中でも使えるのになあと思います。そんな物質が見つかるといいなと思います。

kenbone
質問者

補足

福島第1原発1から3号機は今まだベータ崩壊が続いているということですね。