心理士でうつ病当事者です。
うつ病と診断された初期には、薬と休養が必要です。
うつの状態が多少とも改善してきたら、生活リズムを整える、散歩などの軽い運動を試みる、負担のない範囲で趣味や、活動する時間を設けるというように、単に休養するだけの状態から、可能な範囲、あるいは、疲れが残らない程度に活動するようにしていきます。
その後も、体調の波があったり、体力の回復が十分ではない状態が続くと思いますので、主治医とも相談しながら、適宜、休養を取り入れながら、普通の生活に向けて活動の範囲を広げていくことになります。
また、うつ病には、うつになりやすい性格や行動傾向、発病前に大きなストレスがあったことが指摘されていますので、それらについても徐々に改善をしていくことが必要となります。
通院していらっしゃる病院に臨床心理士など、心理療法やカウンセリングを担当するスタッフが所属していれば、主治医にもご相談になり、了解をいただいて、相談することも有効です。
その他に、うつ病の経験者や専門家がたくさん本を書いていますので、その中から読みやすいものを読んで、療養生活の参考にされるとよいでしょう。
ただ、素人の書かれたものは、その人の経験だけに基づいた、内容的に偏ったものもありますし、医師が書いたものの中にも、かなりユニークな理論、技法(はっきり書けば、眉唾物もありますし、現代の一般的なものからかけ離れた内容)を主張しているものもありますので、複数の本を比較してご覧になることをお勧めします。
ところで、主治医が、「最近どう?て聞いて……」という聴き方をするのは、一見するとやる気がないなどのように聞こえてしまうかも知れませんが、患者さん自身が、最近の自分の状況のうち、何が心配や困りごとの中心になっているのかを知り、また、患者さん自身が、自分の言葉で自分の状態について話してもらいたいために、こういう聴き方をすることが多いはずです。
私たち臨床心理士でも、初めての相談では、「どういうことで、今日はいらっしゃいましたか?」とお聴きしますし、2回目以降は、「最近は、いかがですか?」と切り出すことがほとんどです。
逆に言いますと、単純にイエス・ノーで応えられる質問をしてしまうと(例えば、前回の薬はよく効きましたか?など)、そこから話が広がらなかったり、患者さん自身の最近の状況が、具体的には分からなかったりしてしまいます。
こういうことがあって、「最近どうですか?」という聴き方から始めるよう、ある意味で、訓練されているのです。
ですから、その際、ご遠慮なく、前回以降の体調や気分の変化、薬を飲んでみてどうであったか、あるいは、その時点で心配なこと、気になることを、なるべく具体的にお話になることが大切です。
それによって、主治医が必要と判断されれば、薬の処方を変更されたり、量を調整されたり、あるいは、生活上の注意点やアドバイスがもらえると思います。
もし、質問者様の方から、具体的な状況をお話になっても、あまりにも聞いて頂けないとか、無視されるに近い対応が続くようであれば、医者を変えられることをお考えになった方がよいかと思います。
ちなみに私の主治医は、「この2週間はどうでしたか?」と毎回、決まって同じ言葉で、診察を始めます。
それに対して、私の方は、ある程度詳しい状況や、薬を服用した感じ、体調の変化などを伝えますと、必要な説明をしてくれたり、わかりにくいところは質問をしてこられますし、処方を変える際には、どういう薬で、出るかも知れない副作用についても説明してくれます。
質問者様も、遠慮なさらずに、ご自身から積極的にアプローチをなさってみる価値は十分にあると思います。