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星の王子さまの時代
最近、初めて『星の王子さま』を読みました。どこか不思議な物語に惹かれて、何度か読み返していたのですが、あの作品に流れている感情はサン=テグジュペリが生きた時代と深く関わっているのではないかと思い始めました(そりゃそうだよ…)。そこで、サン=テグジュペリが生きて、死んだ時代。第二次世界大戦前夜から第二次世界大戦の終結までを概観できるような書物で皆さんのお勧めをご紹介いただけないでしょうか。出来ればノンフィクションが嬉しいですが、その時代を感じられるのならフィクションでも構いません。欲張りな質問で申し訳ありません。よろしくお願いします。
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何はともあれおすすめしたいのは、サン=テグジュペリ自身の著作ですね。 「人間の土地」「戦う操縦士」「夜間飛行」の3冊が新潮文庫から出ていますが、これらの自伝的作品群を読んでから、あらためて「星の王子さま」を読み直すと、それまでと全然違った世界が広がっていくのに息を呑みます。 彼と同時代人の児童文学作家で、やはり大戦中に戦闘機乗りをしていたロアルド・ダールの「単独飛行」(ハヤカワ文庫NF)も最近読んだんですが、サン=テグジュペリと同じ時代の空気を別の視点から描いていて、忘れられない本でした。これは小説的要素を排した、かなり正確な自伝になっています。 また、「星の王子さま」の美しい読後感を汚されたくない方にはおすすめしませんが、塚崎幹夫「星の王子さまの世界 ―読み方くらべへの招待」(中公新書)は、この作品に込められた寓意を、当時の歴史的背景まで掘り下げて読み解いている意欲作です。 もうひとつ。ちょっと異色ですが、「宮崎駿の雑想ノート」(大日本絵画)。模型雑誌 MODEL GRAPHICS の連載をまとめたものですが、航空機黎明期の名もなき飛行機乗りたちの悲哀がつぶさに描かれていて泣けました。
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- naox
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書籍ではないですが、現在刊行中の週刊朝日百科「世界の文学」64号に ●サン=テグジュペリ「おとな」の世界を超える/稲垣直樹(京都大学教授) が掲載されています。「世界の文学」シリーズは作品が書かれた背景などが ビジュアルに紹介されていて手軽に知りたい時は参考になると思います。
お礼
「世界の文学」シリーズは、「古事記」を読みました。確かに作品の背景等がビジュアル的に紹介されていました。これは是非、参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
- Eivis
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サン-テグジュペリは確かに第二次大戦中になくなられましたが、その頃私はまだ戦争中で子供でした。 戦後になって「星の王子さま」を初めて読んだ時、彼の乗っていた複葉の飛行機の印象から第一次大戦の頃のイメージが強いのです。 まして彼が一次大戦後乗っていた例の郵便飛行機乗りの時代のイメージは空中戦などにも「騎士道」にも似た「飛行機道」的な精神が 残っていた時代のような気がするのです。 東京の空の上で見られた空中戦は、もはや複葉機でもなくスピードも速かったせいか私には二次大戦が結びつかず、どうしても お薦めしたいお話となると一次大戦下の「西部戦線異常なし」の方に行ってしまうのです。 これは原作よりも映画で有名であり、かの淀川長治氏も名画の中に加えていますが、相手国ドイツ青年は戦争をどのように感じて いたのかを比較する意味でも面白いと思います。 レマルクの原作の本の方は文庫本にあるかどうか知りませんが、映画の方はヴィデオで鑑賞できます。 この映画ほど直接的表現ではありませんがサン-テグジュペリも戦争はいやで嫌でしょうがない人ですから通じるところはある筈です。 ・・・それにしても裕福な育ちの彼が、あえて危険を求めた人生・・・その辺りが人の胸に迫るものがあるのでしょうか! *西部戦線異常なし:1930 ルイス・マイルストーン監督 ルイ・ウォルハイム、リュー・エアーズ、ラッセル・ダーリン出演.
お礼
「飛行機道」ですか。何かわくわくする言葉ですね。宮崎駿監督の『紅の豚』のような感じものを思い浮かべてしまいます。近所にレンタルビデオ屋さんがあるので『西部戦線異常なし』も借りてきて観てみようと思います。ありがとうございました。
- shigatsu
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書物ではないんですが、箱根に星の王子さまミュージアムがあります。 作者のことについても結構いろんな資料が置いてありますので、もし行ける距離であれば一度行ってみてください。
お礼
MOEか何かで、見た憶えがあります。でも、すっかり忘れてました。箱根は日帰りはきついですが、行けない距離ではありません。温泉旅行も兼ねて、遊びに行ってみようかな…。思い出させてくださってありがとうございます。
直接の答えではありませんし、専門的な書物の紹介は憚れるのですが、 永遠の少年 『星の王子さま』の深層 46判 322頁 ¥2,524 M.-L.フォン・フランツ 松代洋一,椎名恵子訳(1982) 〈4-314-00396-0〉 サン=テグジュペリの『星の王子さま』を題材に,大人になることを拒み,現実を生きられない永遠の少年の病理をユング心理学の立場から析出した,数あるメルヘン分析の中でも最高に刺激的な書。 というのがあります。買ってまで読むほどのものではないのですが、少しユング心理学を知っていると、こういう読み解きの仕方もあるのかと思う書物です。不思議さの一面だろうと思われます。
お礼
フォン・フランツ女史のことは河合隼雄氏の本で読んだ憶えがあります。確か昔話を扱った本だったと思います。女史は『星の王子さま』についても言及されていたのですね。言われてみれば、砂漠の中の井戸などユング的な象徴が見受けられます。今すぐというわけには行きませんが、いずれ読んでみたいと思います。ありがとうございました。
お礼
塚崎さんの本は読みました。読後感を汚されるどころか、サン=テグジュペリが『星の王子さま』に託した怒りとか悲しみといったものの一端を垣間見れた気がして、むしろ爽快だったのを憶えています。サン=テグジュペリ本人の作品は、是非、読んでみようと思います。早速、書店で『夜間飛行』(新潮社)を購入してきました。『単独飛行』も、とてもおもしろそうですね。そう言えば、いま、手元にある『夜間飛行』の表紙絵が宮崎駿だ…。ご意見、とても参考になりました。ありがとうございました。