- ベストアンサー
企業のクレーム対応どうなっているの?
企業のクレーム対応どうなっているの? 「先日スーパーで購入したエッグロールパンの中に中身のないものが1個ありました。会社に電話すると謝罪がないばかりか『何がお望みですか』と言われ、嫌な思いをしました。一方で苦情にきちんと対応するところもあると聞くのですが…」=埼玉県川越市の女性(54)
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
■ルール作りが重要 消費者が製品やサービスに対して苦情(クレーム)を言いたい場合、企業・団体に直接連絡するか、国民生活センターなどにアプローチするのが一般的だ。インターネットや「クチコミ」の情報が幅をきかせる時代でもあり、火種が小さいうちに対処しようと、大企業だけでなく中小企業でも消費者対応を重視する考え方は広まりつつある。 消費者関連の問題について研究する社団法人「消費者関連専門家会議(ACAP)」事務局長の石川純子氏は質問者の体験について「消費者が企業の対応に不満を持ったのであれば、それは企業の窓口に聞き取る力がなかったということ」と指摘。「電話をとる瞬間から企業の代表として、消費者の言いたいことをくみ取るコミュニケーション能力と〝消費者の目〟がなければ失格」と厳しい。 苦情対応の国際規格「ISO10002」などの認証機関であるBSIジャパンのプロダクトマネジャー、大貫敏彦氏も「苦情は組織の問題として会社全体で対応することが必要」と強調する。 ISO10002とは、窓口の設置▽分析・評価方法▽事後対応|に至る一連の苦情処理システムの構築方法を定めたガイドラインのことだ。各企業や団体はこれに沿って、自社に合う形に工夫したシステムを作る。昨年は山梨県の保育園が教育・保育機関としては全国で初めて認証を受けた。業種を問わず、苦情対応の仕組み作りは急務ととらえられているようだ。 ■苦情はチャンス 苦情というとネガティブなイメージが強いが、最近ではリスクをいち早く発見し、かつ製品、サービスの開発や改善につながる〝うまい循環〟を生むものとして、ポジティブにとらえる企業も増えてきた。「お客様の声をおきかせください」と4年前から商品にフリーダイヤル番号を記載しているのはスナック菓子大手のカルビーだ。 「苦情に目立った変化はなかったが、これを契機に意見や要望は激増した。その声からいくつもの商品が改善されたし、新商品も生まれている」 同社お客様相談室長の天野泰守氏はこう話す。同社が行った苦情対応に関するアンケート調査によると、苦情を申し出た消費者のうち「カルビーの製品を再購入する」と答えた割合は9割に上り、「今まで以上に買う」と回答した消費者も増えているという。 同社では平成12、13年にかけて、ポテトチップスへのトカゲ混入など3件の自主回収案件が発生した。その経験から天野氏は「一度離れてしまったお客さまは戻ってこない」と強調。その上で「窓口が企業寄りに話をすればお客さまに嫌な思いをさせる。〝絶対〟はないのだから、まずは消費者の言葉を受け止める姿勢を持つことが大切」と消費者を納得させる対応の重要性を語った。 苦情や問い合わせが急増したのは12年のことだ。この年には雪印乳業集団食中毒や三菱自動車のリコール隠しなど、企業の信頼性を根本から問う大きな事件が相次ぎ、消費者が企業に物申すということが当たり前になった。 だが、そうした流れに便乗して増加したのが過剰に苦情を申し立てる「クレーマー」の存在だ。クレーマーに対しては企業側も警戒感を強めるが、好意で苦情を申し出た消費者にも過剰反応し、クレーマーだと思いこんでシャットアウトしてしまうことは相互にとって不利益。ACAPの石川氏は「明らかにそうと分かるまでは普通の客として対応し、過度の要求が出てきたときに初めてクレーマー用の対応をする。対処方法を決めておくことが消費者と窓口担当者、両方のストレス軽減につながる」と話す。 また最近では苦情を〝予防〟するため、商品に管理方法を記載したり、誤使用を防ぐセミナーを開催するなど「消費者教育」に力を入れる企業も多い。家庭、地域の教育力や生活力が低下し、害虫やカビなど消費者側の管理責任で発生するトラブルの相談が増えたからだ。企業は消費者の声に耳を傾ける姿勢が、そして消費者も知識と常識を持って商品やサービスとかかわっていくことが求められるのだろう。(田中佐和) ◇ 「社会部オンデマンド」の窓口は、MSN相談箱(http://questionbox.jp.msn.com/)内に設けられた「産経新聞『社会部オンデマンド』」▽社会部Eメール news@sankei.co.jp▽社会部FAX 03・3275・8750。