過呼吸ではありません。
最近「過呼吸」という言葉が独り歩きしているように感じています。
「過呼吸」とか「過換気症候群」というのは、過度に激しく呼吸をする結果、血液中の二酸化炭素が過剰に排出されてしまい、酸素が赤血球のヘモグロビンから離れなくなってしまい、細胞に酸素が供給されない状態です。
人間が呼吸をすると、肺から取り込まれた酸素は赤血球の中のヘモグロビンと結びついて全身へ運ばれます。全身へ運ばれた赤血球中のヘモグロビンは、運んできた酸素を離して細胞に酸素を供給します。このとき酸素をヘモグロビンとくっつけたり離したりするためのスイッチが必要です。このスイッチの役割を担っているのが二酸化炭素です。ヘモグロビンは二酸化炭素が少ないと酸素と結びつき、二酸化炭素が多いと酸素を離す性質を持っています。
肺の中は呼吸によって換気されているので二酸化炭素が少なくなっています。ですから肺の中ではヘモグロビンは酸素と結びつきます。全身の細胞は酸素を消費して二酸化炭素を出していますから、全身の筋肉や内臓や脳などの中では、二酸化炭素が多くなっています。ですから、全身へ運ばれたヘモグロビンは酸素を離します。しかし、あまりにも過剰に呼吸を繰り返すと、全身の二酸化炭素があまりにも少なくなりすぎてしまい、ヘモグロビンは筋肉や脳の中でも酸素と結合したままで酸素を離さなくなってしまいます。ですから全身の細胞が酸欠状態になってしまいます。
脳は、酸素がないので酸素を取り入れようとして激しく呼吸をしようとします。激しく呼吸をすると血液中の二酸化炭素がもっと減ります。二酸化炭素がもっと減ると、ヘモグロビンは酸素ともっと強く結びついて酸素をしっかりと捕まえて離さなくなります。脳はさらに酸素が不足します。
酸素が不足するので脳はもっと強く呼吸をしようとします。もっと強く呼吸をすると二酸化炭素がもっと少なくなり、その結果ヘモグロビンは酸素ともっと強く結びついてもっと離さなくなり、もっと酸素不足になり、脳はもっともっと強く激しく呼吸をしようとし、もっともっと二酸化炭素が減り、ヘモグロビンは酸素ともっともっと強く結びついて・・・・・
というのが「過呼吸」です。
ですから、まず過剰な呼吸からスタートします。呼吸が速くならないのであるなら過呼吸ではありません。
お礼
ありがとうございました。よくわかりました。 実はこの後、さらにショックなことがあり、ほんとうに過呼吸を起こしてしまいました…