確かに疑問ですよね。
米国の社会保険番号と同じ様な、国民総背番号制度ですね。今の徴税システムはサラリーマンの源泉徴収精度とその他を比べて、10 5 3 (トーゴーサン)とか 9 6 4 (クロヨン)とか呼びますね。サラリーマンを100%としたら、事業主商店は50%、農家は30%という意味です。
納税者番号制度というのは、納税者の識別や本人確認を、番号を使って効率的に行う仕組みです。税務当局は、納税者のさまざまな取引について、その相手方から支払調書や給与の源泉徴収票等を提出してもらい、納税者からの申告とマッチング(「住所・氏名」による名寄せ・突合)させることにより、適正な課税を執行しています。このシステムは情報申告制度(法定資料制度)と呼ばれており、この仕組みが有効に成り立つためには2つの条件が必要となります。第1に、情報に記された納税者の名義が真正で、本人確認されたものであること、次に、大量の情報を効率的に納税者ごとに名寄せし、本人の申告とマッチングさせるので、コンピューターを活用することです。そのためには何らかの番号制度が必要で、その仕組みが納税者番号制度です。
われわれには、基礎年金番号と住民票コードが、生涯変わらない番号として付いています。ただし、基礎年金番号が付いているのは20歳以上のみです。ところが、金融所得や配当所得は20歳未満にも発生する可能性があるため、基礎年金番号より、より悉皆的な住民票コードを納税者番号とした方が良いという議論があります。ただ、住民票コードとなると、今度は、外国人に付いていない問題をどう解決するかを考えなければなりません。基礎年金番号は法律に依拠する制度ではないという大きな問題もあります。日本で現実的に活用できる番号はこれら2つの制度のいずれかなので、今後は、どちらを活用するかという観点から議論が進められていくと思われます。
納税者番号制度ではどのような情報を収集するのでしょうか。
この問いに対する答えを考えるには、制度を導入する理由を明らかにしなければなりません。従来、政府税制調査会は、納税者番号制度を導入する理由として次の3つを掲げてきました。
(1)税務行政の機械化・効率化のため。
(2)利子・株式等譲渡益の総合課税のため。
(3)相続税等の資産課税の適正化のため。
上記(3)については、納税者番号を導入する諸外国でも、不動産や貴金属といった資産に関する情報まで収集している国はなく、税制調査会でもその後、そこまでの税務国家にはなるべきではないとの意見が圧倒的多数を占めるようになり、また上記(2)は金融所得は分離して低率で課税する方向で議論されており、事実上消滅しています。
日本が納税者番号を導入する場合、納税者番号導入済の国(米国やオーストラリアなど)との比較において新たに取ることになる情報は、預貯金口座開設情報ぐらいでしょう。口座残高まで情報収集されることを懸念する向きもありますが、諸外国の例をみても、口座残高情報まで収集している国はありません。納税者番号制度で収集するのは、あくまで所得に関する情報だからです。
事実上消滅した2つの理由を除いて残るのが「税務行政の機械化・効率化」ですが、この理由だけで、国民の大半に影響を及ぼす納税者番号制度を導入できるのかという疑問が生じます。そこで私は、新しい納税者のための税制を構築するために納税者番号制度を導入すること、あるいは納税者番号制度の導入で新しい税制を実現することが必要だと考えています。
現に、与党の税制改正大綱や民主党の税制抜本改革アクションプログラムでも、「国民の利便性に配慮した番号」や、「社会保障給付と納税の双方に利用できる番号」、といった新たな切り口での議論が始まろうとしています。
補足
それだと、今までと同様、経費として申告可能な支払い(受け取る側にとっては収入)についてしか把捉されないと思いますけど、税務当局の手間を減らすのが目的であって、非給与所得の把捉率向上の効果は無いってことでしょうか?