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航空会社のマイルと格安航空券
- 航空会社のマイルと格安航空券の比較
- 航空会社のマイル貯めと格安航空券の利用方法
- 航空会社のマイルと格安航空券のメリットとデメリット
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質問者が選んだベストアンサー
こんにちは。私は現在10のマイレージプログラムに入会してマイルを貯めている者です。クレジットカード利用分をポイント、マイルのいずれで貯めるかは確かに悩みどころですね。 判断の鍵は「手に入れたい特典航空券に必要なマイル数と、その区間の有償航空券の値段の比」です。具体的には「有償航空券の値段÷必要マイル数」が1マイルあたり1.666...円以上あればマイルとして貯め特典航空券に交換するのがよく、それ以下であればポイントとして貯めてキャッシュバック+商品券で還元するのが有利です。 ポイントはシンプルなシステムで利用額を手堅く還元できるのに対し、マイルは工夫して使えば1マイルが5円分にも10円分にもなるところに面白さがあります。いくつかの例で見てみます。 JALの東京-福岡線を特典航空券で往復するのに必要なマイル数は15,000です(*1)。ご承知の通りJALカードを150万円分使えば15,000マイル獲得できます(*2)。同じ区間の有償航空券の値段をどう見積もるかはなかなか難しいのですが、とりあえず最も安い「スーパー先得」運賃で計算します。片道11,800円(4月)なので往復ならその倍の23,600円です。 さて1万5千マイル貯めるために使った150万円ですが、これをポーラスターカード<プラス>で支払っていたら1万5千円分のキャッシュバックと3,000ポケット・ポイントの付与があります。3,000ポケット・ポイントは例えばプリペイドカード「QUOカード」の1万円分に相当しますから、還元額は合計で2万5千円に相当します。 150万円をJALカードで払ったら23,600円(少なくとも)の価値のある航空券を入手でき、一方でポーラスターカード<プラス>を使っていたらキャッシュバックとQUOカードで25,000円が還元されることになります(*3)。ポーラスターカード<プラス>が若干有利ですが、この程度の差ならどちらでも好みで決めればよいでしょう。 東京-福岡は需要が多いこともあり割引運賃の割引率は高めですが、地方都市への路線などあまり割引のない場合は、相対的に特典航空券の方が有利になります。 マイルの価値が最も高くなるのは長距離の国際線、それもビジネスクラスやファーストクラスの特典航空券に交換する場合です。例えばANAカードを1,200万円利用して12万マイル貯めると、成田-ロンドン往復のANA便ファーストクラス特典航空券に交換できます。同じ1,200万円をポーラスターカード<プラス>で支払ったならキャッシュバック12万円+QUOカード8万円で合計20万円の還元を受けられます。しかし成田-ロンドン往復のANA便ファーストクラス航空券は購入すれば220万円もしますからマイルの方が圧倒的に有利と言えます。参考までにこの時の1マイルの価値は18.33円にも相当します。 これらの比較は次のように一般化できます。ポーラスターカード<プラス>は利用額100円に対し1.666...円が戻ってくる計算です(*4)。一方、ANAカードやJALカードは利用額100円に対し1マイルが付与されます。ですから1マイルを1.6666....円以上に使えるならANAカード/JALカードでマイルとして貯めた方が有利で、逆にそれ以下でしか使えないならポーラスターカード<プラス>で還元を受けた方が得です(*5)。 質問者さんが狙っておいでの特典航空券(区間、時期、搭乗クラス)が分かりませんが、希望の特典航空券の必要マイル数および同等の航空券を有償で購入した場合の価格を調べ、1マイルを1.666...円分以上に利用できるか否かで判断すればよいわけです。 あるいはひょっとするとお悩みは、特典航空券で乗りたい区間がまだ定まっていなくて、一般論・平均論としてマイルが有利なのか否か知りたいということでしょうか。 国内線では1マイルの価値が1.666...円を割り込むことは多くありません。冒頭の試算例に示したように、割引率が最も高い運賃(JAL「バーゲンフェア」「スーパー先得」「バースデー割引」、ANA「超割」「スーパー旅割」)との比較で若干割り込む可能性があるくらいです(*6,*7,*8)。 これらの運賃は制約(購入期限が早い、予約変更不可、取消料が高率)が厳しいのですが、質問者さんにとってその制約が問題とならないなら、これらの運賃の金額を基準に1マイルの価値を判断することになります。 国際線はシーズンによる運賃変動幅が大きいこともあり、閑散期(主に冬期)の長距離路線で1マイルの価値が1.666...円を割り込むことが起こり得ます。距離の割に航空券が安い北米、東南アジアは要注意です。 そのほか、いくつかの注意点を記します。 (1) マイレージプログラムの規則は複雑 ポイントは「利用額100円あたり○○円還元」とシンプルで分かりやすいのですが、マイレージプログラムの規則はずっと複雑です。マイルを少しでも有利に利用したいなら、規則をある程度理解しノウハウも身につける必要があります。それが面倒に思えるならポイント(+キャッシュバック)の方がよいでしょう。 (2) マイルには有効期限がある 既にご承知のことと思いますが、日本の2社のプログラム(JALマイレージバンク、ANAマイレージクラブ)はマイルの有効期限の規程が厳しく加算から36か月で失効します。「なるべく得になるマイルの使い方をしたい」といっても、その選択肢は36か月で貯まるマイルの範囲で考えることになります。 (3) 希望の便に空席があっても、特典航空券で取れるとは限らない 特典航空券への座席配分は限られており、有償の航空券なら空席がある便でも特典航空券では予約が入らないことはしばしば経験します。特に年末年始やゴールデンウィークなどの超繁忙期は配分は極めて少なく、そのような時期にしか旅行できないならマイルを貯めることは勧められません。またそこまで極端でないにせよ、シーズン中の国内線土曜日午前下り便、日曜日午後上り便は一般に取りにくいものです。 休みを取れる日にある程度柔軟性があり、空席のある便をうまく繋いで旅程を組み立てられるなら、マイルとして貯めてもよいでしょう。 【まとめ】 (1) ANAカード/JALカードと、ポーラスターカード<プラス>の有利不利の比較ですが、希望の特典航空券に必要なマイル数と、その区間の有償航空券の価格の比で判断できます。1マイルが1.666...円以上に相当するならマイルで貯めた方が有利で、それ以下ならポーラスターカード<プラス>でキャッシュバック+ポイントで還元した方が得です。 (2) 1マイルの価値が1.666...円を割り込む事例はそう多くありませんが、国内線では割引率が最も高い運賃(JAL: バーゲンフェア/スーパー先得/バースデー割引、ANA: 超割/スーパー旅割)の一部では割り込む可能性があります。国際線では閑散期の長距離路線で注意が必要です。 *1 必要マイル数が割引かれる「ディスカウントマイル期間」なら12,000マイルで交換可能。その場合はクレジット利用額は120万円で足り、またもしポーラスターカード<プラス>で払っていた場合の還元分は2万円となる。 *2 有利な割合でマイルが付与される特約店の利用は計算に含めていない。 *3 厳密に比較するにはそれぞれのカード年会費や関連手数料を引く必要がある。2年間かけて150万円使ったとすると、JALカードが年会費とショッピングマイル・プレミアム参加費で8,400円(2年分)。ポーラスターカード<プラス>が年会費2年分で6,300円。それぞれを差し引くと15,200円対18,700円になる。 *4 ポイントをQUOカードで還元した場合の試算例。利用額100円あたりキャッシュバックが1円、ポケット・ポイントが0.2ポイント。0.2ポイントはQUOカードの0.666...円分に相当するので合計1.666...円。 *5 今回の判断に生活スタイルはほとんど関係しない。日常の出費の中で、JALカード/ANAカードの特約店の利用がよほど多いなら「貯まり易さの違い」も考慮する必要があるが、そうでなければ単純に「利用額100円で何円相当が戻ってくるのか」を考えればよい。 *6 割引率が一段落ちる運賃(JAL「先得」「特便割引」、ANA「旅割」「特割」)を基準にしての比較であれば、1マイルの価値が1.666...を割り込む事例は極めて少ない。 *7 路線によってはJAL、ANA以外の新興航空会社の運賃との比較も必要になってくる。一般に新興航空会社は、割引運賃もJAL/ANAより安い価格に設定している。 *8 このほか短距離の離島路線(福岡-対馬、那覇-久米島など)でも、1マイルの価値が1.666...円を割り込むことがある。
お礼
大変分かりやすい回答を頂き、もやもやしていたものがスッキリした気分です。ありがとうございました。