たとえば、ペニシリン系の抗生物質は腎臓に負担がかかるので腎臓に問題がある患者さんには使えません。これは医者は常識として知っています。どのくらいの常識かと言うと、自動車は石炭ではなくガソリンで走るのだ、というのと同じくらいの常識なのです。
ある製薬会社が新しい抗生物質を開発したとします。ペニシリン系の抗生物質です。ホームページにはどんなことを書くでしょう?
「他社の薬品や従来の薬品と比べてどのくらい良く効くのか」を書きます。では腎臓に関しては書きますか?自動車メーカーのホームページに、「この車はガソリンで動きます」なんてことは書いてありませんよね。ですから、製薬会社も医師が見るためのホームページには、「この薬は腎臓疾患のある人には使わないで下さい」なんてことは書きません。それは常識だからです。
でもその医者にとっての常識を知らない一般の人がこれを読んだらどう思うでしょう?そんなに良く効く薬なら自分にも使って欲しいと思うかもしれません。そしてその人は腎臓に障害があり、ペニシリン系の薬剤は禁忌の人なのかもしれません。そして医師がその薬を処方してくれないために、使ってくれる病院を求めてあちこちと渡り歩くうちに手遅れになってしまうかもしれません。
こういう事態は困ったことです。ですから医療関係者専用のページがあるのです。医療関係者専用のページには医師が常識的に知っているはずの知識は書かれていません。前提となるその知識無しに医療関係者用のページを読み、前提となるその知識無しにそこのページに書かれていることだけから判断をするのはとても危険なことです。
製薬会社としては医療関係者以外には見て欲しくないのですが、関係者以外を完全に閉め出し、かつ関係者は全員がアクセスできるようにする、ということが技術的に困難なので、こういった方法を取っているのです。
会社によっては、医師であることを確認して登録をした人にのみIDを交付してアクセスできるようにしているサイトもあります。
お礼
回答ありがとうございます なるほど、患者さんに「なぜこっちの薬を使わないのか」という説明をする手間が増えるだけかと思っていましたが、お互いそういう話をしないままに患者さんが一人で走ってしまう可能性もあるのですね。それは恐いなと思いました…。