本人確認法という話が出ていますが・・・
本人確認法(正式名称は「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律」といいます。)は,預金口座の貸借を禁止する法律ではなく,偽名口座,仮名口座を禁止する法律です。
ですから,ある預金口座を開設するときに,本人が銀行に行って,自分の口座だとして開設すると,本人確認法に違反することはありません。それは,No5 の方がいわれているとおりです。
また,この法律は,名義貸しが横行しているから出来た法律ではなく,犯罪資金(犯罪に使われる金や,犯罪で得られた金)が,偽名口座や仮名口座を通じることで,誰の金か分からなくなることを防ぐために立法されたものです。
ということで,自分で作った口座を,他人の金の出し入れに使わせていることは,それ自体では犯罪にはなりません。
ただし,難しいのは,自分の本人確認書類を他人に渡して,その他人が,本当は自分の口座とするつもりで他人名義の口座を開設した場合であり,これは,本人確認事項を隠蔽したということになり,その他人が本人確認法違反ということで処罰され,本人確認書類を渡した方も,その共犯として処罰される恐れがあります。
ところで,資産家さんが何を考えているかということですが,多分,他人名義の口座を沢山集めて,資産隠し,財産隠しをしようということでしょうね。また,そのことによって,いわゆる裏金づくりをしようとしているのかもしれません。いずれも直ちに犯罪になるというものではありませんが,決して好ましいことではないですね。犯罪ではないけれども,違法なことです。
財産隠しがばれると,多額の税金を取られます。その程度であれば,名義を貸した方にお金を取られたり,処罰されるなどの直接の影響が及ぶことはありませんが,税務署などからいろいろ調べられて迷惑することになるでしょうね。
税金でも目に余ることになれば,処罰される可能性もあります。(いわゆるマルサというやつです。)
また,名義を貸した方としても,口座の名寄せをされると,本来は他人の財産なのに,貸した方の財産ではないかとして,税務署などから調べられて,他人の財産であることが説明できなければ,自分の法で税金を負担する目に遭うことも考えられます。
次に,問題はカードです。ローン機能のない,単なるキャッシュカードなら良いのですが,他人のカードを使って金を借りれば,借りた方は,直ちに詐欺の罪になります。貸した方も共犯にされる恐れがあります。
より現実的に面倒なのは,銀行との契約で,他人にカードを使わせたときの借金などは,名義人の負担とされていることです。他人にカードを貸して金を借り逃げされれば,名義人がその支払いをしなければならないということです。
悪いことをすると,すぐに犯罪ということが思い浮かびますが,世の中の現実としては,むしろそのことによって金を払わされたり,裁判に訴えられるということの方が多くあります。
お礼
長文で、長々とありがとうございました。物凄く役に立ちました。ありがとうございます。