国民全員のDNAを採取することってできないんでしょうか？？

質問

こんばんは，理系の男です．
　質問させていただきます．どうぞよろしくお願いいたします．

　現代のDNA鑑定の精度は非常に高いですが，犯罪問題に対して
効果が得られるのが毎回遅いように感じます．
　素人考えですと，国民全員のDNAを予め採取して検査しておき，
それらの測定値と照合するようなことはできないのかなと思う次第なのですが．．．
　もしかするとDNAの一致・不一致というのは，標本同士を相対的に評価しないと
判断できないものなのでしょうか？？
もし絶対的な評価ができるのであれば，道で拾った標本の分析結果でも
それと一致するデータをスクリーニングするだけでよいのでは？と考えるのですが．

　無理な理由を並べるのであれば，プライバシー侵害，データ量の飽和，
データの長期的信頼性欠如，等いくらでも出てくるかもしれませんが，
難しい問題点としてはどのようなことがあるのでしょうか．
　もしお詳しい方がいらっしゃいましたら，お教えいただけると嬉しいです．
　どうぞよろしくお願いいたします．

回答No.5

nidonen · ベストアンサー

国民皆ＤＮＡ鑑定を不可能にしている法的な理由は、
ユネスコによる「 ヒト遺伝情報データについての世界宣言 」です。

　同宣言ではＤＮＡ鑑定の目的を４つに限定しています。
法医学、医療、研究、裁判の証拠がそうです。さらに、
被験者に対してはインフォームドコンセントが義務
付けられています。容疑者なら裁判所の許可ですね。

　よって、ユネスコに加盟しているすべての国と地域では、
あらかじめ国民からＤＮＡを採取しておくことはできません。

　また技術面でも、国民全員からのＤＮＡ採取は不可能です。
ＤＮＡは指紋採取とは違い、人の手でかなりの手間をかけて
調べます。具体的には試料のたんぱく質を酵素で分解、脂質を
除去、不純物を除去するなどしてＤＮＡを抽出するところから
始めます。

　さらにＤＮＡの結晶化を行なって、初めてＤＮＡを鑑定する
入口に立つことができます。少なくても試料を機械に入れれば
自動的に数値が得られる、なんて簡単なものではありません。

　他の方がコストについて触れていますが、現状でも全死者の
２％しか解剖されておらず、事件性のある不審死が見逃されて
いるという批判があります。『チーム・バチスタの栄光』で知ら
れる医師で作家の海堂尊氏が、『死因不明社会』という著作で
警鐘を鳴らしているのです。

　これについても予算がつかないので、解剖を増やせないという
のが現実です。年間１００万人の死亡者を解剖することさえでき
ないのに、１億２０００万人のＤＮＡを採取することは不可能です。
年間１０００万人ペースでやっても１２年かかるんですからね。

> もしかするとDNAの一致・不一致というのは，標本同士を相対的に
> 評価しないと判断できないものなのでしょうか？？

　親子判定や容疑者の同定であれば、相対判定なので髪の毛一本の
試料があれば可能です。それに対し、任意のＤＮＡを絶対判定で
見つけるなら、ＤＮＡ試料の精度を大幅に高める必要があります。

　そのためには採血のようにちゃんとした機関と技術で試料を採取
するところから始めなければなりません。その処理も訓練された専
門員でなければ扱えないのです。町の医者では手に余ります。

お礼

nidonen 様
　ご親切にどうもありがとうございます．
＞同宣言ではＤＮＡ鑑定の目的を４つに～
　こういうところに非常に無知ですので，勉強になります．
技術面の話につきましても，興味がありますのでお教えいただいた
キーワード中心に自分でも調べてみます．
ご紹介いただいてどうもありがとうございます．
＞現状でも全死者の２％しか～
　今，Wikipediaで海堂尊氏の唱えられた医療問題について読んでおりますが，
非常に興味深いですねー．
具体的な数字をご紹介いただけたことと併せて，このような勉強の幅が広がる
ご回答をいただけると非常に嬉しいです！

　試料とその判定精度についても勉強になりました．
閲覧していただけてよかったです．
どうもありがとうございました．

回答No.6

sudacyu

問題点を指摘していただきたいということなので。

　ＤＮＡデーターを本人が請求できるかも問題となります。
　基本的に本人情報は、本人に対しては開示しなければなりませんが、親子関係が否定されるなどで、相続などで社会問題が発生しそうです。
　子供が本当に実の子か疑っている父親などでは、ＤＮＡ鑑定によって本当の親子であれば、財産を相続させるなどの遺言も出てきそうです。

お礼

sudacyu 様
　閲覧してくださりどうもありがとうございます．
おっしゃられる通り，表で認識されている血縁が覆る事例は膨大でしょうねー．．．国民全員のDNA測定なんてやると．
　他にも，sudacyu様にいただいたような，実施後に予測される問題というのは
数が多そうですし，むしろそちらへの対応を予めできるようにすることの方が
大変かもしれませんね．
　ご回答を多くいただいております質問にも関わらず，閲覧してくださったことに
感謝いたします．
どうもありがとうございました．

回答No.4

pri_tama

そもそも、一卵性の場合DNAは同じになるので、個人の特定は出来ません…。

　あと、現在は特徴の出やすい遺伝子(多くて10数種)を判定するだけの物ですから、親兄弟間(DNAが似通っている)で誤判定が全く出ないとは言えません。
　（「精度が○○分の一」という主張は、実証に基づいたものではなく、単に複数のパターンの出現率を掛け算して算出したものに過ぎず、掛け算で算出するためには確率論的独立性が成立する必要があるが、確率論的独立性が成立するかどうかの検証は行われていない。）

　また、犯罪現場には都合良く犯人の遺伝子だけが残っているとは限りませんから、DNA鑑定だけに頼るのは危険です。
　(婦女暴行殺人事件で遺伝子が発見されても、それが犯人の物 or 被害者の彼氏の物か成否を知っているのは、被害者だけですし…。)

　遺伝子が複数の人物間で混ざる可能性も有りますし…。
　(鑑定自体に意味が無くなる)

　当然犯人は、後でDNA鑑定がやりやすい様に試験管とかに入れて残してくれている訳では無いので、犯行現場などによっては変質してしまう可能性も無いとは言えません。
　(まあ、変質しにくい物質では有りますが…。)

　親子間の判定(DNAが似ているかどうかの判定)だけで10万円かかるのですから、個人を有る程度特定出来るほど詳細に調べると、どれ程予算が必要か…。
　同じかけるなら、一卵性も判別できる指紋(後天的要素の方が強い)の方が安く出来るだけ…。

お礼

pri_tama 様
ご親切にどうもありがとうございます．
ご指摘いただいたとおり，どの理屈からも確立的な話になるので
１検体の測定結果で決め手にはなり得ないですね．
自分も原子検出等，試験を行っております故，測定結果の信憑性の低さについては痛いほど．．．．orz
　＞同じかけるなら、一卵性も判別できる指紋
　おっしゃるとおりでございます．
勉強になりました．ご親切にどうもありがとうございました．

回答No.3

QES

つまり私があなたの捨てた吸殻・チリ紙・髪の毛等を拾っておいて、
犯行現場に残しておけば、いくらあなたが知らないと言い張っても
動かぬ証拠として有罪に出来るわけですね。

お礼

それに近い例も残念ながら何件かありましたが，
試料の状況と確率論の総合判断でしょうね．

回答No.2

mimi3030

１億2千万人のDNA採取をしたら幾らかかりますか？
仮に一人5000円としても6000億円かかります。
予算案が通過すると思いますか？
他にも税金を投入する案件は沢山あります。

国民全員のDNAを採取するとしても、優先順位としては限りなく低いですね。

お礼

閲覧してくださりどうもありがとうございます．
　自分も，現実的にコストが一番の問題かなと考えておりましたが
実際に数字にしてみるとあり得ないですね．
どうもありがとうございました．

回答No.1

rikukoro2

多分・・世論が由としないでしょう。
その前にＤＮＡを採取して、どのように管理するのでしょう。
本籍・姓名・生年月日で管理するのは少々困難なので、どうしても国民個別の番号が必要になります
　でも・・それは国民背番号制は何度も野党の反対でダメになってますよね・・・
　ですのでＤＮＡはマズ無理でしょうね

お礼

閲覧してくださってどうもありがとうございます．
　＞本籍・姓名・生年月日で管理するのは少々困難なので、どうしても国民個別の番号が必要になります
この辺りがどうもきちんと理解できていないようでございます．
国民背番号制，あたりで検索すればいろいろでてきそうですね．
勉強になりました．
どうもありがとうございました．