多数の衝突による月の形成
イスラエル・ワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)のラルカ・ルフ(Raluca Rufu)氏が月の起源に関して、現在主流となっている「ジャイアントインパクト」説が描くシナリオに沿って形成されたものではなく、原始地球に対して微惑星の衝突が数多く繰り返された事によるものであるとする論文を、英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)で発表したそうです。
しかしながら、多数の微惑星の衝突は原始地球に特有な現象ではなく、水星や金星、火星などでも形成初期には頻繁に起きていた事であるにもかかわらず、水星や金星、火星には地球の月の様な大型の衛星は存在していません。
「ジャイアントインパクト」説であれば、地球の月の様な大型の衛星が生じる条件は限られていて、しかも1つの惑星に対する「ジャイアントインパクト」レベルの規模の衝突回数は多くともせいぜい2桁しか起きておらず、その回数が限られている巨大衝突の中で大型の衛星の形成に繋がる様な条件を満たしている衝突が起きる確率は小さいため、地球の月の様な大型の衛星が生じる事は稀とまでは言えずとも、頻繁に起きる様な事ではないという事になりますので、母天体に比して比較的大型の衛星が地球や冥王星などの少数の母天体にしか存在していない事の説明が付きます。
それに対して、母天体に比して比較的大型の衛星の形成が多数回の微惑星の衝突によるものであるとした場合には、多数回の衝突が必要とされている以上、どの惑星においても頻繁に起きた事と考えざるを得ませんから、水星や金星、火星に大型の衛星が存在していない事の説明が付かないと思われます。
この「水星や金星、火星に大型の衛星が存在していない」という事に関して、ラルカ・ルフ氏はどの様にして自説との整合性を取っているのでしょうか?
【参考URL】
国際ニュース:AFPBB News > 環境・サイエンス > 科学・技術 > 月の起源、「巨大衝突」ではなかった? 定説覆す論文発表 [2017年01月10日 06:15 発信地:パリ/フランス]
http://www.afpbb.com/articles/-/3113531
お礼
回答ありがとうございました。木星だったんですね!かなりスッキリしました