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補正予算と解散総選挙の関係について
- 補正予算成立後に総選挙と早期総選挙の両立は難しい
- 関連法規として衆議院の予算先議権や補正予算案の成立手続きがある
- 衆議院が解散されると国会会期は終了し、参議院で審議することはできない
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>>今回の政局に関連して、「補正予算成立後に総選挙」と「11月上旬などの早期に総選挙」は両立できないと考えて良いのでしょうか?<< その通りです(11月上旬に総選挙の投開票が行われる、という意味だとの理解のもとにお答えしています)。 今般の総裁選後の臨時国会は24日召集です。おそらくその日のうちに首相指名選挙が行われ、新内閣が(認証式は別にして)発足するでしょう。その後、新首相による施政方針演説は29日、各党の代表質問は10月1-3日という日程が内定しているようです。 一方、憲法は解散後40日以内の総選挙(投票)を定めており(54条)、12日間の選挙期間(公選法31条4項)含めて事務的な準備におおむね30日前後かかるとされていることからして、補正予算審議に入った時点で11月上旬に投票日を設定することが不可能になる、言い方を変えると、11月上旬に総選挙の投票を行うには、代表質問終了時に解散する(いわゆる冒頭解散)をしなければ日程上不可能になる、ということになります。仮に代表質問終了後であってもおそらく11月2日は無理で(また3連休の中日なので可能でもやらないでしょう)、最速11月9日になることでしょう。 すなわち、11月上旬(前半、という言い方も含めて)の総選挙を所与の前提とする限り、補正予算は審議にも入れない(従って与党単独採決などする余地もない)ということになります。逆に補正予算成立をまって解散するならば、いかに衆院で多数を占めるといっても予算審議には相応の手順が必要なので、10月末に衆院を通過させるのがぎりぎりでしょう。そうすると最速で解散は11月末となり、越年選挙となる可能性が高くなるので、、与野党合意の上で衆参での予算審議を加速させ年内(おそらく12月中旬)に総選挙を行う「話し合い解散」が模索されることになるでしょう。 蛇足ながら、 >>■関連法規として、<< 以下の部分にもお答えすると、 >>【4】補正予算案も、法案と同じで、同一会期で衆参両院が議決しなければ成立しない。<< もちろん自然成立の場合は除きます。 >>【7】衆議院が補正予算案可決後に解散すると、参議院は(緊急集会などにより)その補正予算案の審議することはできない。<< 理論的には、内閣が緊急集会を召集し、補正予算案の審議を求め、可決させることで予算を執行することは可能になります。この場合、すでに同一議案を衆院が可決していることはその効力に関係ないので、憲法54条3項で定める総選挙後の衆院の同意が得られない場合は、その時点で失効することになります。 なお、 >>【3】補正予算案も、法案と同じで、予算委員会が否決しても本会議が逆転可決すれば問題ない。<< については、基本はその通りですが、委員会はその審議の中で、本会議にかける必要のない議案を決定することができます(国会法56条3項)ので、委員会審議のみで廃案となる可能性もあります。
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- lequeos
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いやはや、総選挙は予想を上回る速さでやる方向になってしまったようで、おのが不明を恥じておるところです。さて、 >>これについて、衆院の先議権との兼ね合いから、予算と条約については参院緊急集会だけでは審議できないのではないか、と素人考えでは感じてしまいます。<< についてですが、参院の緊急集会は、(次に国会が開かれて10日以内に衆院が同意する、という前提で)「国会」の権能そのものを参院が代行する制度ですので、条約や予算についても問題なく審議・議決することができます(憲法54条には緊急集会で審議できる議案の制限はないことから、当然にそういう解釈になります。といっても性質上、内閣不信任の決議や首相の指名は除かれますがね)。実際に、暫定予算と日切れ法案を成立させた例が戦後すぐにありました。ただ、緊急集会が開かれるのは本当に緊急の場合なものですから(過去2回しか例がない)、条約にしろ予算にしろ、最大で70日以内に必ず開かれる国会を待たずに議決する必要がある場面というのは少ないでしょう。上述の暫定予算の例でも、特別国会召集を待っていては年度をまたぐことが確実なために緊急集会が開かれたというものです。2月総選挙の場合は、当初予算案にしろ暫定予算にしろそこまで切迫した状況にはなりませんので、選挙後の国会で処理したということになります。
お礼
またまたご丁寧な回答、本当にありがとうございます。 > 参院の緊急集会は…条約や予算についても問題なく審議・議決することができます > 実際に、暫定予算と日切れ法案を成立させた例が戦後すぐにありました なるほど、よくわかりました。ありがとうございます!
補足
(#2へのお礼のつづき) ごめんなさい、ご回答を受けて調べてみたら、Wikipediaに解説記事がありました(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%82%E8%AD%B0%E9%99%A2%E3%81%AE%E7%B7%8A%E6%80%A5%E9%9B%86%E4%BC%9A)。 > 上述の暫定予算の例でも、特別国会召集を待っていては年度をまたぐことが確実なために緊急集会が開かれたというものです。 というのは昭和28年度の暫定予算のことですね。 > 2月総選挙の場合は、当初予算案にしろ暫定予算にしろそこまで切迫した状況にはなりませんので、選挙後の国会で処理したということになります。 なるほど、確かに大事な選挙戦で参議院議員からの応援が得られないのでは、特に自民党候補者は困りますからね。さらに、五五年体制が成立してからは参院緊急集会が開催されていないことも興味深かったです。 たいへん勉強になりました。本当にありがとうございます!
お礼
ご丁寧な回答ありがとうございます。実はこのサイトで何年か前に継続審議についてお聞きした際もlequeos様からご回答をいただいたことがあって、ちょっと感激しています。 13日未明配信の読売新聞の記事だと、「与党は、解散総選挙をさらに前倒しして、10月26日投開票で調整中」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080913-00000005-yom-pol)、「政府は、1兆8100億円の補正予算を準備中」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080913-00000007-yom-bus_all)となっています。ご回答を踏まえれば、自民党総裁選の候補者がいずれも補正予算に言及している現段階でも、「与党や新首相が早期解散に打って出るかもしれないけれど、そうならないかもしれないから、政府としてはとりあえず補正予算の準備もしてます」ということのようです。 ご回答のなかで、参院緊急集会での補正予算案成立の理論的可能性についてご指摘をいただきました。これについて、衆院の先議権との兼ね合いから、予算と条約については参院緊急集会だけでは審議できないのではないか、と素人考えでは感じてしまいます。たとえば、1990年の総選挙は「1月解散→2月投開票」でしたが、補正予算も暫定予算も当初予算も総選挙後に審議されているようです(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%A1%E9%99%A2%E5%8D%94%E8%AD%B0%E4%BC%9A#.E4.BA.88.E7.AE.97.E3.81.AE.E8.AD.B0.E6.B1.BA.E3.81.8C.E8.A1.86.E5.8F.82.E3.81.A7.E4.B8.8D.E4.B8.80.E8.87.B4.E3.81.A8.E3.81.AA.E3.81.A3.E3.81.9F.E4.BE.8B)。もっとも(今と同じで)当時は与党が参院で少数派だったという事情もあったのだと思うのですが、このあたりはいかがでしょうか? 再質問で恐縮なのですが、よろしくお願いします。