韓国経済で特徴的なのは、財閥系企業による輸出重視という点です。国際企業を援助し、国内産業は置き去りにする政策をとっています。国際企業が外国でたくさんお金を稼げば、税収が増え、その税収で国内産業を助けようという政策です。それがいかに失敗しているかについて述べたいと思います。サムスンやLGは電気メーカーとして大成功を収めていますが、その利益が本当に国内に還流しているのかが疑問です。サムスンLGは生産拠点を海外に移し国際競争力をつけた一方で、国内工場は閉鎖され雇用を創出しなくなってきています。いわゆる産業の空洞化が日本よりも進んでいる状態です。また、ビジネス用語にU字カーブというものがあり、これは横軸に部品産業組み立て産業小売業というサプライチェーンを横に並べたもので、縦軸は利益率になっています。これは図を見なくては難しいのですがかいつまんで説明すると、利益率の高い産業は部品産業と小売業で、組み立て産業が一番もうからないという意味です。組み立て産業は技術的な模倣困難性が最も低く、資本さえあれば誰でも始められる産業です。サムスンやLGはこの組み立て産業に位置します。そのため海外で稼いだ利益を税収という形で国に十分貢献できているかという点で失敗しています。中国で最も伸びてきている分野も組み立て産業なので、価格競争力で勝てない韓国は非常に危うい状況にあります。そして部品産業は日本企業や欧米企業がその技術力で大きなシェアを取ってしまっており、サムスンもLGも部品は日本製がほとんどなのです。また、国内の優秀な学生が理系よりも文系に集中し米国型のMBA重視で、お金儲けのテクニックは必死で学ぼうとするが、技術的な発展にはあまり興味を持っていません。つまり長年日本の経済発展モデルを手本にしてきた韓国ですがついぞマネできなかったのが技術力です。近年は部品産業の半導体の分野で日本企業に勝てるぐらいにはなってきているので、もう少しという気もしますが、これがなかなか超えられない壁だったりします。最後に小売業は内需の大きな国ほど有利で、外需依存型の韓国では彼らが期待するほどの利益を上げることができないのが現状です。
次に中国経済ですが、中国は先にも述べたように組み立て産業ですので、価格競争力が高い今は大発展していますが、元高になると競争力を一気に失う危険性があります。組み立て産業の最高の成功パターンは規模による大量生産でコストを抑えるという戦略ですが、工場がすべて外資系で分散してしまっており、統合が困難、そもそも中国人に一致団結という言葉が最も似合わないことから規模戦略は難しいでしょう。韓国ぐらいまでは成長すると考えられますがそこから先の価格以外の競争力を身につけるのは茨の道です。しかし、中国の優位性は世界最大の消費国となりうる点です。つまり小売業が今後おどろくほど発展していくと考えられ、内需依存型の経済になっていくと考えられます。これは日本に似ていますが、日本の10倍の規模といわれるとどんなとてつもないことが起こるのか創造できません。ただの10倍なのか10倍ならではのビジネスモデルが生まれるのか誰にも予想できません。人類がいまだ経験したことのないことが起こるのは間違いありません。
最後に韓国人は自国の経済を理解しているのかについてですが日本よりは理解できていると思います。日本は評論家の悲観論が多く(評論家はそれが仕事です)危機感を持つのはいいのですが、一般人から見ると本当の実力を過小評価している点で理解度が低いです。韓国は基本楽観的なのですが、日本と比較することで自分達の弱点を見つけることが比較的容易である分日本よりは理解度が高いと思います。反日思想もそれなりに彼らの経済発展に貢献しているということです。
お礼
大変、細かく教えていただきありがとうございました。 他の国のことよりもまず、日本・・頑張らなければなりません。 ありがとうございました。