ヨーロッパのある地方の、いつの時代だったかに、
水と石だけでスープを作るお話がありました。
あれはおいしそうだった。
なぜって、スープの中はおいしいものを食べたい気持ちであふれていたでしょうから。
次作がいつも待ち遠しい岡田淳の「こそあどの森」シリーズ。
その最初の話は『不思議な木の実の料理法』
その料理の仕方がわからないので主人公の少年は森の住人たちに聞いてまわります。
最後はすっかり親しくなった彼らと一つのテーブルを囲む。
なるほどこれなら何を食べても飲んでもおいしいに違いありません。
安房直子の童話には食べ物の話がいっぱい出てきます。
不思議な生き物がせっせと作ってくれる飲み物(『ハンカチの上の花畑』など)、
不思議なしかけ(『木の葉の魚』など)、
料理人の話もありました(『魔法をかけられた舌』『海の館のひらめ』『あるジャム屋の話』など)
八つの小さなお話があつまった『風のローラースケート』は「山の童話」で、
そのなかにでてくる、うさぎたちの「よもぎだんご」はちょいと食べてみたくなるし、
いのししたちの囲む「ふろふきだいこん」の夕べは、もうもうとたちこめる湯気のなか、
ぜひいつか一度ご相伴にあずかりたい。
たぬきの会員制ホテルで出される山菜料理は、
そのまわりにたっぷりと生えていて夜は心地よいベッドにもなる、ゆきのしたのてんぷらをはじめ、
たんぽぽの花のサラダ、たらの芽のてんぷら、つりがねにんじんの油いため、
雪笹のおひたし、シオデのゴマあえ、花いかだのたまごとじ、などなど。
「お味がうすいようでしたら、塩をひとふりしてください」と言われると、ほんと、ますますおいしそう♪
富安陽子のシリーズ「スズナ姫」か「やまんば」だったかは、たしか朝焼けの雲が食べ物でした。
あれは旨そうですね。
雲のやわらかいマシュマロのなかにはきっと、七色の虹がつまっている。
それが口のなかでしゅわっと溶けて、かげりがちな私の背中に羽を生やしてくれそうでした。
お礼
たくさんありがとうございます! 美味しそうな食べ物の出てくる童話・児童文学は魅力的ですね!