細かいことを言えば、1日のうち読書に費やす時間がどのくらいか、その読み方も、単に字面を追うだけなのか、初めから熟読するのかなどの条件によって違うでしょうが、そのあたりを適当に考慮すると、読了まで7~10日というのが妥当なところでしょう。
この類いの専門書は、何日かけて読むかよりも、何回読むかということが重要になります。一般には、3回くらい通読すれば、大概の内容を把握できるといわれます。
1回目から気合を入れて熟読しようとすると、読めない漢字や理解できない専門用語でつまづいて、読了までに相当の時間がかかります。この読み方がまずいのは、読んでいる途中で前の方の記述内容を忘れてしまい、大きな体系の中に占める個別事項の位置を見失うことです。
そこで、1回目は素読する程度にとどめて、7~10日で読み終えるようにします。その際に、理解できない箇所は印でも付けておいて、読み進めます。まず、全体像を把握するために、初回は速く読む必要があるのです。
2回目は、辞書やコンパクトな法律用語辞典などと照らし合わせながら、前回に理解できなかった点をじっくりチェックしていきます。そうすると、疑問点の半分は解決しますが、新たにもっと高度な疑問が出てきます。
そこで、3回目の通読に臨むと、2回目の疑問も解消され、全体像から個別事項が理解でき、また、個別事項から全体像が理解できるようになります。
ここまで読み込めば、その法分野を自分のものにできるのです。
僭越ですが、いくら趣味とは言っても、「3日でわかる刑法」というタイトルのような平易な入門書ではなく、あえて専門的な概説書に挑戦するのなら、それを繰り返し読むことの楽しさを知ってほしいと思う次第です。