同じ容量であれば、断然セルフサーボ(自己倍力)効果のあるドラムブレーキの方が効きは上です。よく二輪などでドラムは効かないということを言われますが、それは油圧式ディスクブレーキとワイヤー式ドラムブレーキを比較するため効きが弱いというだけです。油圧とワイヤー式では同じ入力でも出力が全く異なります。リアのドラムブレーキを油圧にすれば非常によく効きます。
ただどちらにも利点欠点があります
<ドラム>
ブレーキの効き自体はディスクを上回る
構造が少々複雑なうえ分解を伴う手入れは面倒
放熱性がディスクに比べて悪いため、峠の下りではフェードしやすい
排水性が悪いため、水たまりを通過後水が抜けるまで制動力が弱まる
コントロール性がディスクに比べて悪く、急激に制動力が高まる
ツーリーディングの場合、後進の際の制動力が極端に落ちる
<ディスク>
ブレーキの効きはディスクに劣る→多板化することで制動力確保可能
(たとえば、バイクの前輪ブレーキはダブルディスクの車種もある)
構造が単純かつ分解しやすい
放熱性、排水性ともに良好
コントロール性がよく、入力に対して相応の制動力を発揮
前進でも後進でも制動力が確保される
ちなみに、航空機の場合確実な制動力を確保するためにドラムを用いるかと思いきや・・・ディスクブレーキが使用されています。
放熱性、排水性が良好なため+コントロール性がよいため+整備性がよいためです。
ただし、ディスクブレーキの欠点である制動力を稼ぐためにディスクを多板化しています。F1やMOTO GPマシン同様カーボンローター、カーボンパッドです。カーボンブレーキはある程度高温にならないと制動力が上がらないため、F1のような常に高温な状態や、航空機のような着陸で時速300キロ近くから停止させるようなブレーキ温度が急上昇する場合に用いられます。かっこいいからと言って、街乗り専用車にカーボンブレーキを付けると全くブレーキが効きません。
以上よりレースでディスクブレーキであるのは
コントロール性、放熱性、排水性、整備性がよいという多少制動力が落ちてもドラムブレーキの制動製の優位を上回る利点があるからなのでしょう。ドラムですと、おそらくフェードする、ヴェイパーロックする、かっくんブレーキになるなどでレースでは大変なことになると思います。